優勝を決めガッツポーズするスタニスラフ・ココリン(ロシア)

世界トップのスピードクライマーが集結/SPEED STARS 2018

 4月29日、MORIPARK OutdoorVillage(東京都・昭島市)にてスピード単種目の国際大会「SPEED STARS 2018」が開催された。

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 第2回となる今大会には昨年に続き世界トップレベルのスピードクライマーが集結。昨季のW杯男子年間王者であるヴラジスラフ・ディヴリン(ロシア)、女子世界記録(※)保持者のユリア・カプリナ(ロシア)らが名を連ねた。今大会は国際スポーツクライミング連盟の公認を受けた大会で、国際資格を持った審判も来日。日本発の公式世界記録が生まれる可能性もあり、多くの注目を集めた。

※現在の公式世界記録=男子5秒48、女子7秒32

 出場選手は男子14名、女子7名。予選は2回の試技を行い、どちらか速いタイムが予選記録となる。そして男子は上位8名が、女子は上位4名が決勝トーナメントに進み、予選と異なり対戦者との一騎打ちで勝った選手が次ラウンドに駒を進める形だ。日本男子からはスピード国内ランキング2位の楢崎明智、3位の池田雄大、オリンピック強化選手である土肥圭太、リード日本代表の田中修太がエントリー。女子では野中生萌、野口啓代の2人が出場した。

 予選は慎重な登りで着実に決勝トーナメントに進出する海外選手が多く出る中、楢崎が自己ベストの7秒37に迫る7秒42を記録し、日本人で唯一の決勝トーナメント進出を決める。男子のトップはスタニスラフ・ココリン(ロシア)の6秒25で、女子はアレクサンドラ・ルズィンスカ(ポーランド)が7秒79をマークして首位通過となった。日本女子では野中の10秒02が最速だった。

 15時から行われた決勝トーナメントでは、世界トップ選手の速さを一目見ようと、横断歩道を挟んだ反対側の道路にも人が集まるほどの盛況で、入場制限も実施された。多くの声援が飛び交うなかでディウリンとの準々決勝に臨んだ楢崎は中盤で足を踏み外してしまい、10秒55で7位だった。決勝は女子がルズィンスカとカプリナ、男子はディヴリンとココリンの組み合わせとなった。

昨年のW杯年間王者・ヴラジスラフ・ディヴリン(ロシア)と相対する楢崎明智

会場には入場制限がかかるほどの観客が駆け付けた

 先に行なわれた女子決勝では、中盤でフットホールドを捉えられなかった世界記録保持者を尻目にルズィンスカが7秒83の好タイムで優勝。男子では過去3度W杯年間王者に輝いているココリンが今大会唯一の5秒台、5秒94を叩き出し、ディヴリンを0.07秒差で押さえ雄叫びを上げた。

 会場には老若男女問わず幅広い世代が詰めかけ、ボルダリングやリードの大会にも引けを取らない盛り上がりを見せたSPEED STARS 2018。日本でスピード人気に火がつく、その可能性を大いに感じさせる大会となった。

 

楢崎明智コメント
「かなりひどい内容で負けてしまったんですけど、日本で登る大会はやっぱり気持ち良いですね。登る前から皆に『ガンバレー!』って言われて、若干気が緩んでしまった。スピードは1発勝負なのでちょっとピリピリしてる感じはしますね。リードの決勝前に似ている。今後人気種目になる可能性はあると思います。早く勝負が着く方が見やすいし、分かりやすい。(今の自己ベストは7秒37だが)今年中には6秒台を出せるようにしたいです」

 

野中生萌コメント
「(参考になったことは?)スピードはウォーミングアップで壁にいる時間が圧倒的に少ないですね、ボルダー、リードと比べて。スピードの選手はほとんどのアップを地面で行う。ダラダラ走ったりするんじゃなくて、瞬発的な動きが多い。縄跳びとか、足を左右交互に上げる動作を連続でしていたり。(昨日東京選手権で自己新が出たが?)もちろんまだまだ修正点はあるんですけど、感覚的にもやっと慣れてきたというか。自分の登りが固まってきた中で、力を出せるようになってきていると思います」

 

野口啓代コメント
「スピードのトップ選手ばかりが出ている大会に出させていただいて、決勝に進むことはできなかったんですけど、ウォーミングアップを見たり、速い人と自分を比べたり。学ぶ部分がたくさんありました。ジャンプしたり、下半身を早く動かすアップが多かったので、自分も取り入れていきたいと思います」

 

スタニスラフ・ココリン(ロシア)コメント
「もちろん優勝して嬉しいのですが、今はW杯がスタートしたばかりなので、私も他の選手も含めてコンディションがいいとは言えない。それにもかかわらず、優勝できたというリザルトには満足しています。ただW杯だと5秒7~8を出さないと、メダルの獲得はできないでしょう。(以前臨時コーチとして日本代表を指導していたが)日本にはスピードをもっと上達させるような雰囲気が圧倒的に足りてない。だがそれにもかかわらず、去年と比べて上達している選手もいる。日本は昨今から本格的に取り組んでいるので、将来的にもっと良くなると思います」

 

アレクサンドラ・ルズィンスカ(ポーランド)コメント
「復帰戦でこんなにいい結果が出て幸せです。日本はスピードの大会を行うのに適した場所だと思います。観客の方たちがとても応援してくれるし、この(スピード壁の)環境も素晴らしい。(ポーランドの強さの秘密は?)私の国にはたくさん強い選手がいるので、お互いに刺激し合いながら高めて行けるということと、長い間伝統的に続けているトレーニングがあるので、それが強さの秘密でしょうか」

 

ヴラジスラフ・ディヴリン(ロシア)コメント
「全体的に充実していた大会でした。リザルトに関しても決勝まで行けたので、満足しています。(なぜロシアはこんなにも強い?)昔から速さを大切にする国民性だということと、ロシアには優秀なコーチのもとに有力選手が集まるシステムが確立されているんです。(スピードの魅力は?)精神力が問われる部分が好きですね。隣にいる選手との戦いというより、自分との戦いが大事になってきます」

 

ユリア・カプリナ(ロシア)
「組織だった大会運営が素晴らしかった。W杯よりも優れていたくらいです。自分のリザルトに関してはミスがあったが、もっと上達できるように頑張りたい。(ロシアには誰もがスピードを行なえる環境が整っている?)いえ、私がスピードを始めた頃は自分が住んでいた地域以外にスピード壁はなかった。今でこそ人気が出てきて増えてきてはいるが、それでも(国際規格の)15mの壁は10ヶ所ほどでしょう。中国の方が多いはずです。(スピードの魅力は?)登っている時に、飛んでいるように感じる。そこが一番好きですね」

 

<女子リザルト>

1位:アレクサンドラ・ルズィンスカ(24/ポーランド)/7秒83
2位:ユリア・カプリナ(24/ロシア)/8秒52
3位:マリーヤ・クラッサヴィナ(27/ロシア)/8秒14
―――――
6位:野中 生萌(20)/10秒02
7位:野口 啓代(28)/12秒97

 

<男子リザルト>

1位:スタニスラフ・ココリン(28/ロシア)/5秒94
2位:ヴラジスラフ・ディヴリン(23/ロシア)/6秒01
3位:マルチン・ジェニスキー(25/ポーランド)/不戦勝
―――――
7位:楢崎 明智(18)/7秒42
10位:池田 雄大(20)/8秒08
13位:田中 修太(17)/9秒27
14位:土肥 圭太(17)/9秒34

※左から氏名、年齢(大会初日時点)、所属国、成績
※1・2位選手の成績は決勝記録、3位選手の成績は3位決定戦記録
※日本人選手の成績は今大会の最高記録

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CREDITS

取材・文 篠幸彦・編集部 / 写真 森口鉄郎

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