日本代表が欧州2カ国と強化合宿を実施。楢崎智亜「来年は再び世界選手権で1位を」
スポーツクライミングの日本代表強化合宿が6日から8日にかけて都内で行われ、最終日には東京2020オリンピックの決勝を想定し、3種目を1日で行う実戦形式のトレーニングを実施。その模様が報道陣に公開された。
初日に国立スポーツ科学センターでのメディカルチェック、2日目に入間市にあるClimb Park Base Campでのトレーニングを経て迎えた8日。会場となったのはMORIPARK Outdoor Village(昭島市)とクライミングジム・マーブー(武蔵村山市)で、この日は10月に発表された第1期JMSCAオリンピック強化選手から楢崎智亜ら男女計9名が参加した。
また2日目からはオーストリア、フランス代表選手たちも合流しており、特にフランスからは今年のボルダリングW杯八王子大会4位のミカエル・マウェム、スピードW杯年間女王のアヌーク・ジョベール、世界ユース選手権ユースA複合金メダルのサム・アベズーなど有力選手が顔を揃えた。
午前に行われたスピードではまだまだ経験の差を見せつけられミスが目立ったチームジャパンだったが、ボルダリングでは楢崎明智の全完一撃など男女各3位までを日本勢が占める結果に。最後のリードでは野口啓代が「外岩のような感覚だった」と話したとおり雨が降りしきるなか行われたが、14歳の森秋彩が物怖じしない登りで完登してみせるなど若い世代も着実にレベルアップしている様子だった。
合宿終了後に取材に応じた楢崎智亜は1日で3種目を行うことについて「1日の活動時間が長くなるので、常にいい状態を維持できるようにすることが課題」とし、スピードについては「壁を足で蹴るパートで角度が定まらないとまだ減速してしまうが、7秒台前半は狙って出せるようになってきている。6秒台ももうすぐだと思います」と頼もしいコメントを残した。来季の目標については「一番は世界選手権での優勝です」と話した。
一方、野口は「コンバインドの合宿ははじめてでしたが、世界ユースなど複合種目の経験があるユース選手たちと情報交換することもできた」と話し「海外の選手はみんなアニメや漫画が好きみたいでよく知っていた。移動バスではそれぞれの国の早口言葉をお互いに教えて言い合っていました(笑)」と異文化交流の裏話も明かしてくれた。
安井博志ヘッドコーチは、自ら招いて実現したという欧州の強豪2カ国の来日について「W杯での躍進をみて日本への興味が高まったのではないか。旅費も各国の負担で、日本に来る価値があると思って来てくれていることについて非常に嬉しく思います。海外選手はスイッチの切り替えがすごい。オンオフがはっきりしていて、感情をむき出しにして吠えながら登る様子は日本の選手たちも刺激になったのでは」と話した。
今後、代表合宿はオリンピック強化選手の入れ替えが発表されたタイミングに合わせて行なわれていく予定だ。
W杯八王子大会で決勝に進出したフランスのミカエル・マウェム(写真手前)。
今年のスピードW杯年間女王アヌーク・ジョベール(フランス)。
いよいよ来年、W杯に出場可能な年齢に達する伊藤ふたば。スピードも練習を積み重ね、着実にタイムは伸びてきている。
ボルダリングでは楢崎明智が全完一撃のハイパフォーマンス。
女子では野中生萌がトップの成績。
交流のしるしに、2カ国には日本代表ユニフォームがプレゼントされた。
リードの会場となった「MORIPARK Outdoor Village」。同施設にはスピード壁も備わっている。
来季への意気込みを語る楢崎智亜。
CREDITS
取材・文 編集部 / 写真 森口鉄郎