そもそもクライミングって何ですか?

写真:アフロ

 クライミングとはいったい何か。言葉を直訳すれば「登ること」ですが、そのスタイルや対象は多岐にわたります。ジムに通い始めた、大会を観戦してみたい、そんな初心者クライマーにも知っておいてほしい基礎知識として、クライミングという行為の分類や起源から紹介していきましょう。

クライミングの分類


画像:編集部

 みなさんも「クライミング」や「ボルダリング」という言葉はきっと聞いたことがあると思いますが、最初にこれらの言葉を説明します。まず前提として、単に「クライミング」と言えばその直訳は「登ること」なので、岩を対象とする「ロッククライミング」に限らず、氷を登る「アイスクライミング」や木を登る「ツリークライミング」を広い意味では指します。しかし、ここでは「クライミング」と書いた場合は、自然にできた本物の岩やそれを模した人工的な手がかり(ホールド)を登る「ロッククライミング」に限定します。
 
 その上で、「クライミング」は前進手段に道具を使用せずクライマーの手と足のみで登る「フリークライミング」と、前進手段として道具を使用する「エイドクライミング」に大きく分かれます。ただし「フリークライミング」でも前進手段にクライミングシューズとチョークは使用することが一般的です。
 
 さらに「フリークライミング」は、ロープによって安全確保をする「ルートクライミング」と、ロープを付けない「ボルダリング」に分かれます。最近のブームもあって「ボルダリング」という言葉が広まった結果、「室内のカラフルなホールドを登る遊び」と紹介されることもありますがそれは間違いです。「ボルダリング」の語源は“boulder”であり「大きな岩」という意味なので、室内だろうと岩だろうとロープを付けない「クライミング」をボルダリングと呼ぶのです。ただし、本来ならばロープによる安全確保が必要なほどの高さの岩壁をロープを付けずに登る場合は「フリーソロ」という別のジャンルに分けられることもあります。

 そして、「ルートクライミング」はロープがあらかじめ終了点からかかっている状態で登る「トップロープクライミング」と、登りながらクライマーがロープを支点にかけていく「リードクライミング」に分かれます。

スポーツクライミングとは?

 では東京五輪にも採用された「スポーツクライミング」とは何を指すのでしょうか。こちらは最近作られた言葉なので人によって使われ方が違いますが、室内などで人工的なホールドを使用する「ボルダリング」「リードクライミング」に加えて、「トップロープクライミング」で登るスピードを競う「スピードクライミング」の3種目を指すことが一般的です。同じような言葉で「スポートクライミング」というものがありますが、こちらは「リードクライミング」でロープをかける支点があらかじめ構築されているジャンルのクライミングを指します。

クライミングの起源

 「エイドクライミング」は険しい登山を行う際に必要な技術で、19世紀頃にヨーロッパでアルプスなどの登山が始まった時期から行われてきました。一方でクライマーの手と足のみを使って登りそれ自体に楽しみを見出す「ボルダリング」や「ルートクライミング」などの「フリークライミング」は諸説ありますが、1920~40年代以降にアメリカのコロラドやヨセミテで発祥したと言われています。

 日本ではこちらも諸説ありますが、1970年代に埼玉の日和田山で「フリークライミング」が発祥したと言われています。日本のインドアクライミングジムは1989年に大阪に登場して以降、昨今のブームの影響もあり、この30年近くで500軒以上にまで拡大しました。

 アウトドア・登山のいちカテゴリーから、一般の人にも親しみやすいスポーツとして急速に発展を続けるクライミング。そのシンプルでありながら奥が深い世界を、みなさんも自由に楽しんでください。

CREDITS

植田幹也

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