競技としてのスポーツクライミング

 テレビやWEBなどでスポーツクライミングの大会を観たことがある人も多いかと思います。スポーツクライミングにはトップ選手が出場するような世界大会から、趣味でクライミングをやっている人も参加可能な国内のクライミングジムで開催される大会までその規模は様々です。ここでは大会の種類や概要を説明していきます。

国際的なスポーツクライミング競技を統括するIFSC


写真:編集部

 スポーツクライミングのトップ選手が目指す世界大会として最も主要なものに「ワールドカップ」があります。ワールドカップに出場できるのは前年の成績上位者と、その年の各国の選考大会で上位に入るなどして代表となった選手のみです。ワールドカップはボルダリングが4~8月、リードが7~11月、スピードはボルダリングやリードと合わせて実施されることが多く、それぞれ7~10戦が開催されます。2017、18年に日本の八王子で開催されたボルダリングワールドカップを観戦した方もいるのではないでしょうか。

 また各大会の成績をポイント化して集計し、種目別と全種目総合でそれぞれ年間チャンピオンも決まります。これはまさにその年に世界で一番スポーツクライミングが強かった選手に与えられる名誉ある称号なのです。

 さらに、ワールドカップと同じかそれ以上に格式高い大会として、2年に1度開催される「世界選手権」があります。こちらはワールドカップと違い1大会に各国の強豪選手がひしめくため、レベルの高さはまさに世界一です。日本人で世界選手権で優勝したのはボルダリング種目における2016・19年の楢崎智亜選手、2018年の原田海選手のみです。

 これらの国際的なスポーツクライミング競技大会を統括しているのがIFSC(International Federation of Sport Climbing)こと国際スポーツクライミング連盟です。IFSCは大会の統括、競技規則の作成、情報発信、成績やランキングの集計・公表などを行っています。

国内競技を統括するJMSCA


写真:森口鉄郎

 日本国内ではワールドカップ等の選考大会として、ボルダリングはBJCこと「ボルダリングジャパンカップ」、リードはLJCこと「リードジャパンカップ」(2019年に「日本選手権」と統合)、スピードは本格的に競技をしている選手がほとんどいないため長らく国内大会はありませんでしたが、2019年にSJCこと「スピードジャパンカップ」が誕生しました。

 日本で最も人気の高いボルダリングの大会、BJCは毎年2月頃に開催されます。出場できるのは前年度の日本代表など優先出場権保持者と、一般選考会を通過した選手たち。男女それぞれで合計約50~60名が参加し、2日間にわたってボルダリングの代表選手および国内チャンピオンを決めます。同様にSJCは2月頃、LJCは3月頃に開催されます。

 これらの国内のスポーツクライミング競技大会を統括しているのがJMSCA(Japan Mountaineering & Sport Climbing Association)こと日本山岳・スポーツクライミング協会です。もともとは日本山岳協会として日本の登山界全体を統括する組織でしたが、スポーツクライミング競技が広まったことを受けて2017年4月に組織名を変更しました。

一般の方が参加する国内大会


写真:牧野慎吾

 スポーツクライミングを楽しんでいる人の中には、世界大会を目指してはいないけれども、趣味として大会に参加している方々も多く存在します。そのような公式ではないクライミングの大会を「草コンペ」と一般的に呼びます。

 草コンペにも大小様々な規模があります。大きいものとしては、地方大会から勝ち上がる仕組みで本戦には世界的トップクライマーまで参加する「THE NORTH FACE CUP」が有名です。小さいものとしては、各クライミングジムが独自に1日で終わる程度の大会を開催しています。クラスも分かれていることが多く、始めたばかりの方から実力者まで楽しめる作りになっていることが多いです。

 草コンペは今や毎週末に近い頻度でどこかのジムで開催されるほど身近で人気なものとなっています。クライミングを始めて実力を試したかったり、大会の雰囲気を味わってみたかったら、ぜひ草コンペに出場してみてはどうでしょうか。

CREDITS

植田幹也

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