
ボルダーW杯開幕前に各国の代表選手が日本で調整 「1分以内に2トライまで」の独自フォーマットで
18日に中国で開幕するボルダーW杯を前にした9日、「B-PUMP Training Camp for WORLD CUP」がボルダリングジム「B-PUMP荻窪」(東京都杉並区)で行われた。各国から2025年のボルダー代表あるいはリード代表が集い、「1分の制限時間」「トライは2回まで」という独自のフォーマット下で開幕戦に向けた調整を行った。
安楽宙斗らが参加した
同フォーマットは「Katsuフォーマット」と呼ばれ、考案者である宮澤克明氏の名前に由来している。もともと宮澤氏がプロデュースするイベント「THE 18」で取り入れているフォーマットで、英国のクライミングジムでも行った際に参加していた海外選手から日本滞在中に同フォーマットでのシミュレーションを開催してほしいと連絡があり、今回の実施に至ったという。
宮澤克明氏
宮澤氏は「大会に出場する選手たちは限られた時間やストレスのかかった状況下でも力が出せることを求めている。コーチングをしていても、そういったシチュエーションをつくるのが一番難しかった」と話し、最終的に1分の制限時間と2トライまでという限られた状況で力を発揮できるようにする今回のフォーマットが考案された。
トビー・ロバーツ
日本からは安楽宙斗、楢崎智亜・明智兄弟、伊藤ふたば、中村真緒ら11人が参加。開幕戦が行われる中国に近く、ボルダー強豪国でもある日本で最終調整をしたいという選手が多かったこともあり、海外からはパリ五輪男子金メダリストのトビー・ロバーツ(英国)ら15人が参加した。課題はバランス、フィジカル、コーディネーションの3タイプがレベル1から5までそれぞれ用意され、完登者のみが次のレベルに進むことのできるノックアウト方式で進行された。しかし、各国の実力者といえど制限のあるシチュエーションに一筋縄ではいかず、レベル5に達した選手は現れなかった。
当日の様子
選手たちに話を聞くと、安楽は「どのムーブを選択するかというコンペでの強さは上がると思う」、楢崎智亜は「1分間というのがキツい。1トライした後に液体チョークを塗り直すこともできなかった。でも疲れはあまり残らないし、集中する時間も短くて済む。面白かった」とコメントした。世界選手権2021女子銀メダリストのカミラ・モローニ(イタリア)は「失敗したら次の課題に挑戦できないため、コンペの時と同じようなストレスがあり、とても楽しめた」と話すと、五輪で男子2大会連続出場中のパン・ユーフェイ(中国)も「課題に対して迷わずに、集中を高める必要があったので、本当に面白かった」とし、W杯に向けて調子を上げていく貴重な機会となったようだ。
フリーセッションの時間も設けられた
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取材・文 編集部 / 写真 8611 Inc.
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