原田海が「パーソルアクアパーク宮崎」の完成記念イベントに参加 2027年の国スポに「宮崎県代表として出たい」

 宮崎県が整備を進めてきた屋内プールやクライミングウォールなどを備える「パーソルアクアパーク宮崎」の完成記念イベントが3月15日に行われた。プールでの完成式典のほか、ボルダリングウォールを使用したイベントも実施され、東京五輪のスポーツクライミング日本代表・原田海が参加して地元の子どもたちのクライミング体験をサポートした。

 パーソルアクアパーク宮崎は、2027年に宮崎県で開催される「日本のひなた宮崎 国スポ・障スポ」に向けて建設され、昨年12月に完成した。JR宮崎駅からほど近い場所に50mの屋内温水プール(国内公認)、ボルダリングウォール、リードウォール、トレーニングルーム、会議室などが設けられ、4月1日に供用が開始される。ボルダリングウォールは規模こそ小さいものの、付けられたホールドは最新のものが多く、また屋外のリードウォールは高さが14mほどあり、原田本人は「国内有数の規模」と評した。

ボルダリングウォール

リードウォール

 ボルダリングイベントは県内の小学校に通う小学生を対象に募集が行われ、定員に達する25人が応募した。ゲスト講師として参加した原田は、宮崎県生まれで10歳まで宮崎市内で過ごしたことを明かすと、会場からは温かい拍手が送られた。その後、多くのスマートフォンが向けられる中、ホールドからホールドへ飛びつくランジや上半身の力だけで登るキャンパシングを披露。子どもやその保護者から歓声が上がった。

キャンパシングを披露する原田

 壁を登る体験パートでは、原田はアドバイスを送りながら子どもたちの挑戦に寄り添った。距離感に苦戦しながらもようやく完登して笑顔の子や、マットを叩いて悔しがる子、落ちまいと1分以上も粘る子など、子どもたちは短い時間の中でクライミングの楽しさ、難しさを実感した様子。原田は登り方の見本を示し、「ホールドの向きや次のホールドを考慮して身体の位置だったりどちらの手で取りにいくかだったりを事前に考えることが大事」などとコツを伝授した。体験会の最後には2027年の国スポに向けて「宮崎県代表として出場したい」との思いを明かし、場内からは再び拍手が送られた。

体験会の様子

体験会の様子

 その後、原田は宮崎県の強化選手が登るリードウォールでの練習会にも参加。登った後に助言を送るなどしてコミュニケーションを取った。強化選手の年齢は様々で、今後について悩みを抱える子もいたといい、原田は「無理に続けるのも良くない。楽しんで登ってほしいということを一番に伝えた」と話した。そしてイベント終了後、現在は岩場でのクライミングに取り組んでいる原田に話を伺った。

リードウォールを登る宮崎県の強化選手

強化選手たちと原田の集合写真

 

原田海インタビュー

――イベントを終えた今の感想から教えてください。
「みんな楽しんでくれましたし、怖がるような子もいなくて、僕が始めた頃より最初からうまい子が多いなと思いました。クライミングに運動神経は関係ないので、となると今の子には考える力があるんじゃないかなと」

――「パーソルアクアパーク宮崎」には屋内プールを中心にボルダリング、リードウォールがあります。施設の印象は?
「水泳もできて筋トレもできて、ボルダーもリードもできる。こういった複合的な施設にクライミングの壁が入っていること自体がすごくうれしいですね。リードの壁は横幅はそれほどないんですけど、高さは14mあるらしくて、国内では最大級だと思います。課題の本数はあるし、ホールドもいいので、あの壁で登り込んだら強くなりそうです」

――原田選手は現在、岩場でも活躍されていますよね。
「コンディションのつくり方だったり、課題を攻略する攻め方だったりが大会とはまったく違っていて、新鮮な気持ちでクライミングを楽しめています。日本では『スポーツクライミング』が注目されていて、岩場のクライミングに対する認知度が高くありません。岩場を登る人たちって命を懸けているし、正直、スポーツクライミングよりもすごいことをやっているんですよ。そういう部分を何とか広めていきたいし、だからこそ世界最難課題(V17)に挑戦して、岩場での活動を広めていくくらいの実力があることを証明したいとも考えています」

――つい最近もアメリカの岩場に行っていましたよね。
「2週間前まで(世界的に有名なクライミングスポットの)ビショップに行っていて、“Lucid Dreaming”(V15)にトライしたんですが途中で指を痛めてしまいました。登れなかったことにすごく落ち込みましたけど、ここまで落ち込んだことって久しぶりでしたし、すごく成長できたツアーになりました」

――今後の目標は?
「今年はコンペシーンに戻るつもりで、ジャパンツアーに参加してジャパンカップの出場権を得ることが第一目標です。岩場では先ほど話した世界最難(V17)の課題を登りたい気持ちが大きいです。まだ実力が足りていないのはわかっているんですけど、挑戦しないとわからないこともあるので、タイミングが合えば挑んでみたいですね」

――2027年にはここ宮崎で国スポ(国民スポーツ大会)が行われます。
「僕の出身地での開催ですし、もし許されるなら、宮崎県代表として出場したいと思っています」

CREDITS

取材・文 編集部 / 写真 小野正文 / 株式会社C.P.I.

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