安楽宙斗「優勝は努力の上にある結果だと思う」【リードジャパンカップ2025|決勝後の選手コメント】

 2日に行われたリードジャパンカップ(以下LJC)の男子決勝は、パリ五輪銀メダリストの安楽宙斗が予選、準決勝に続いて首位の座を守り、大会初優勝を飾った。以下、ファイナリスト8人の主なコメント一覧。

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安楽宙斗(優勝/成績 42+)
「ボルダー(ジャパンカップ)に続いてリードでも初優勝できてとてもうれしい。リードではミスが多くてまだまだ安定して登ることができなかったけど、いろんなところを見つめ直して取った優勝は努力の上にある結果だと思うので、本当にやってきてよかったなと思う。思ったより動きが気持ち悪いとか、ちょっと詰まった時にモタモタせず修正する能力だったり、基礎体力だったり。クライミング以外の体力面やメンタル面も含めて、常に何が起きても心が動じないようにしてきた。ちょっと(動きが)気持ち悪い、となると少し動きが速くなっちゃう傾向がまだあるので、そういうところはこれからも改善の余地があるかなと思う。

 (努力の上にある結果ということだが、その努力とは例えば?)張ってくると焦って動きが雑になってしまうところと、何も意識しないと腕で引いて取るのが僕の癖。腕を引いちゃうと余計な力を使うので、そこは意識してきた。肩で引くというか、足で乗り上げるスタイル。(さらに落ち着いてレストもできたことが結果に繋がった?)そうですね。僕が強いと思っているのは、レストのところで完全に肩の力を抜いてリラックスできるところ。そこの切り替えが上手いのが僕のスタイルであって、練習してきたやり方だった。それが予選を通して、完璧ではないけど、以前に比べたらとてもできるようになったと感じられた」
 
 

鈴木音生(2位/成績 37)
「優勝という目標には届かなかったが、予選から決勝までを通して今までのトレーニングの成果を感じる登りをすることができ、それが結果に繋がったことをうれしく思う。しかし決勝では、最終面に入る傾斜の切り替わりでのムーブの選択や重心の位置など、雑さが目立ってしまったので、疲労している状態でも冷静に最善の選択ができるようさらにトレーニングする必要があると感じた。今シーズンはW杯で優勝することを目標に、より強さを追い求めていきます!」
 
 

小俣史温(3位/成績 35+)
「あまり調子は良くなかったが、ラウンドが進むごとに気持ちが大会に順応していき、ギアを上げられた。W杯に向けての反省点なども得られ、収穫の多い大会だった。決勝ルートは全体的に足が悪く、下部から前腕の力などを使わせる動きが多いと感じた。それにより上部ではどれだけ上半身の余力があるかで勝負が決まった印象だったので、上半身の出力、持久力向上にも努めていきたい。今シーズンは世界選手権を一番にフォーカスしていきたい。貪欲に優勝を狙っていきたいが、今のコンディションやパフォーマンスだと表彰台も難しい状態なので計画的に調子を上げていきたい。今回のLJCでたくさんのことを学べたので、その経験を練習に落とし込んでいきたい」
 
 

清水裕登(4位/成績 34+)
「決勝に残れたこと、そしてラウンド毎に順位を上げられたことが良かった。予選の順位もあまり良くなく、そのまま引きずらなかったことはメンタル面での切り替えがうまくできたのかなと思う。決勝ルートはこんな感じの内容だろうとある程度予想できていたので、あとは自分の持っている力を出し切るだけ、と気持ちを持っていけたことで競技に集中できた。その結果、少し順位を上げることができたし、競技者としてまだ戦えるなという自信にもなった。準決勝、決勝を通して下半身の疲労感が大きかった。下半身の使い方や強化に焦点をあててトレーニングしたい。そうすれば前腕も温存でき、持久力向上に繋がると考えている。W杯でもう一度メダルを獲得することを目標にトレーニングに励みたい」
 
 

樋口純裕(5位/成績 31+)
「決勝まで進めたことに驚いている。仕上がりが良くなく、予選もなんとか通過できたレベル。準決勝と決勝はほとんど勝負勘と経験で登っていた。決勝ルートは上半身のストレスが緩和できるポジションを基本的に取らせてもらえず、強度とリスクのあるムーブをいかによどみなく繋げられるかが攻略のカギだったと思う。この時の自分はそれらを十分に体現できなかった。ここから先はそれができなければ先シーズンと同じ轍を踏むことになる。基礎的な力はBJC(ボルダージャパンカップ)に向けたトレーニングで成長したので、それをリードでも出していけるようすることと、大会へ向けたピーキングが課題。今後の目標は、まずはW杯でのメダル獲得に尽きる。まだまだ最前線で戦えることを証明していきたい。そしてW杯をはじめとした国際大会で高いパフォーマンスを出し、ロサンゼルス五輪を目指す」
 
 

吉田智音(6位/成績 27+)
「積み重ねてきたものを出し切れずに終わってしまい。ただただ悔しい。久々のリードの大会で予選は緊張が強く、思うようなスタートができなかったが、準決勝からは雰囲気を楽しみながら登れていたのでやはり悔しさが強い。決勝は半分ほどしか登れていないが、全体的にポジティブなホールドが続いており、緊張感がありながらも着実に登っていける印象だった。自分がランジで落ちた点についても飛び出す際の両手が比較的持ちやすかったので、次のホールドもポジティブだと過信してフォールしてしまった。躊躇するのは違うが、もう少し慎重なクライミングをする必要が課題として見えた。まだW杯の初戦まで時間があるので、初めての優勝を目指して完璧な状態に仕上げ、シーズンインできるように調整しようと思う」
 
 

百合草碧皇(7位/成績 27+)
「たくさんの人に応援してもらえる中で大会に参加できたことにとても感謝している。決勝は下部から大きな動きや複雑なムーブが一手一手求められるルートだった。重点的にトレーニングをしてきた持久力には対応できていたと思うが、複雑なムーブを読み解く力や力強さは課題だと感じた。とても悔しい結果になってしまったが、今後の目標に向かって成長するために、さらにいろいろなことに挑戦したいと思っている」
 
 

本間大晴(8位/成績 24+)
「すべての力を出せたので、これが今の実力だと納得できている。清々しい気持ち。今大会は初の開催場所でとてもワクワクしていた。壁の形状も得意な垂壁が長く続く構成で、期待値も高かった。準決勝はそれに助けられたことで決勝に進出できた。予選からパワフルなムーブが続き、止まれない登りを要求される内容でかなり苦戦したが、自分のスタイルを見出せながら登れたことをまずは褒めたいと思う。準決勝はカチのような指先でつかむ内容、決勝は体で抑えこみながら登る内容で、異なる動きが要求される印象だった。敗因はカンテの処理能力の経験の浅さが淘汰されて裏目に出てしまったこと。崩されてしまい、後半は伸びなかった。カンテを保持した際に親指がボルト穴を使用していて、そこまでの高度になったのは残念。次回はこのミスを必ず起こさないよう気をつけたい。今年は優先枠的にW杯の全ラウンドに出場できるかわからない。しかしチャンスがいつ来てもいいように準備を怠らないようにしたい。またロッククライミングでも高難度を攻めて成果を残したい思いがある。大会と両立してどちらも欲張っていきたい」
 
 
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CREDITS

取材・文 編集部 / 写真 田中伸弥

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