藤野柊斗 ロス五輪へ「優勝を重ねていきたい」【スピードジャパンカップ2025|決勝後の選手コメント】

 スポーツクライミングのスピードで競うスピードジャパンカップ(以下SJC)が16日、佐賀県多久市の九州クライミングベースSAGAで行われ、男子はシニア大会で自身初のビッグファイナルに臨んだ20歳の藤野柊斗が自己ベストを更新して初優勝、女子はセミファイナルで自身の日本記録を更新するなどした19歳の林かりんが2年ぶり2度目の頂点に輝いた。以下、決勝を終えた後の王者2人と、男子準優勝の大政涼(日本記録保持者)、惜しくも3連覇に届かなかった男子3位・安川潤の主なコメント。

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藤野柊斗(男子優勝)
「(初優勝は)かなり自信がついた。ジャンプ力や瞬発力は自分の武器で、今回はそこを生かせたと思う。立ち幅跳びは3m20が最高記録。(より筋肉が付いた印象があるが?)オフシーズンは肉体強化に重点を置いていた。トレーニングだけでなく食事管理のサポートをしてもらったこともあってこの肉体が手に入ったと思う。一度72キロまで体重を増やして、そこから今の69キロまで絞った。今がベストな体重だと思う。自分は上半身が細かったので(ホールドを)引く力が弱く、そこを重点的に鍛えたので引きやすくなった感じはある。

 メンタルの変化も大きい。自分は予選でいいタイムが出て、決勝だと実力を出せないことが多かった。今回はいつも通りに登るという目標を持ちながら登ったら、自分の登りができた。練習通りみたいな感じで、大会を大会だと思わない感じ。今後の目標はまず今年9月の世界選手権で優勝すること。その後はロス五輪に向けてW杯でも優勝を重ねていきたい。競技はロス五輪までで引退するつもり。(在学中の東洋大学を)卒業してから2年間ある中で、企業で働きながら競技を続ける方法を今は模索している」
 
 

大政涼(男子2位/日本記録保持者)
「自分の中でジャパンカップは大切な大会なので、優勝できず悔しさがある。ただ寒い時期でも5秒台前半を出せているのは成長しているところかなと思う。(ビッグファイナルについては)藤野選手とはジャパンカップ前の練習で会っていて調子がいいことをわかっていた。攻めなきゃいけないという気持ちで攻めた結果、体のバランスが崩れてしまった。(今春で松山大学を卒業するが?)西条市に3種目の壁がある立派な施設があるので、競技に集中して愛媛で練習していこうと考えている。今年の一番の目標は9月にある世界選手権で優勝すること。それまでのW杯で表彰台の常連になり、スピードと言ったらこの選手みたいなイメージがつくぐらいのいい成績、いい姿をお見せできたらなと思う。

 (優勝した藤野選手の印象は?)去年のアメリカでの大会後に非公式で4秒台を出していて、タイム的には日本のトップクラスで安川選手と同じぐらい意識している選手。トモアスキップの後に加速する際の足さばきが本当に速くて、参考にしている。脚力がある選手だと思う。立ち幅跳びも3mは跳ぶと言っていた。このオフシーズンに一気にでかくなった感じがある。アジアの選手は細くて背が小さいイメージがあるけど、藤野選手は足が長くてガタイがいいのでヨーロッパ系のイメージ。一緒にいて安心感があるというか(笑)。最後に出した5秒18は去年なら日本記録のレベルだと思う。日本は男子も女子もみんな成長している実感がある」
 
 

安川潤(男子3位/2023、24年大会王者)
「絶対に3連覇するという強い気持ちで臨んだ中で勝ち切ることができなかった。調子はよかったけれど思ったよりもタイムを出せなかった。(セミファイナルは大政選手との勝負だったが?)相手が大政選手だったので意識はしていたし、ここで勝ちたいという思いが強くて攻めた結果だった。まだまだ実力が足りなかった。(非公式を含めた自己ベストは?)昨年の10月頃、韓国でのW杯の直前練習で5秒03が出た。そろそろ世界でも勝ち切れる選手になりたい。まずは1勝、W杯を含めた国際大会で優勝したい」
 
 
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林かりん(女子優勝)
「7秒2で日本記録を出したいとずっと思っていたので(※大会前の日本記録は7秒32。7秒23で記録更新)、実現できたことはまた一歩成長に繋がったと思う。自分が一番持ちタイムが速いのはわかっていたので、あとはメンタル勝負というか自分にどれだけ集中できるかを予選が終わってから決勝までずっと考えていた。セミファイナルで日本記録を出せたのは自分自身よく頑張ったなと思う(笑)。本当にがむしゃらに登っていたので、まさか7秒2が出るとは思わなくて思わずガッツポーズが出てしまった(笑)。

 クライミングの基礎というかボルダリングでの登り方を見つめ直してから、スピードでもタイムが安定して練習で自己ベストに近いタイムを出すこともできていた。私は上半身で引く力のほうが強くて、下半身でうまく上体を上げて蹴ることがボルダリングでもスピードでもできていなかった。昨年のOQS(パリ五輪予選シリーズ)が終わってからそこを重点的にしていたら、足でも蹴れるようになった実感がある。

 今は地元の役場の方に声をかけていただいて、そこでの仕事と車の免許取得と練習を頑張っている。職場の方からはすごく応援していただいているので素直にうれしい。五輪というかっこいい舞台に私も出たいとパリ五輪を観て強く思った。あとはやるしかないみたいな感じでがむしゃらにやっている。日本女子初の6秒台を出したい。自分のタイムをもっと詰めていって9月の世界選手権で最高のパフォーマンスを出したい」
 
 

CREDITS

取材・文 編集部 / 写真 小野正文 / 株式会社C.P.I.

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