インタビュー:通谷律【住友商事 presents Enriching+賞】

 JMSCA(日本山岳・スポーツクライミング協会)はこのたび、今後のスポーツクライミングを牽引していく次世代のユース選手の支援を強化していきたいという、ゴールドスポンサーの住友商事株式会社(以下住友商事)からの申し出を受け、「住友商事 presents Enriching+賞」を新設した。住友商事の創立100周年に合わせて策定した同社グループのコーポレートメッセージ「Enriching lives and the world」に込めた想いを受け継ぎ、ステークホルダーと共に未来に向かって新たな価値を“+(プラス)”できるようなコンテンツを発信する公式オウンドメディアの名称「Enriching+」が同賞の冠となった。

 今回は8月に行われたIFSCクライミングユース世界選手権で優勝した6人が受賞した。副賞として日本代表オフィシャルサプライヤーの「THE NORTH FACE」のアイテムも贈られる。CLIMBERSでは各選手に同大会でのエピソードを中心に話を聞いた。本記事では男子ボルダーUnder20で優勝した通谷律選手のインタビューを掲載する。

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――ボルダーでの大会3連覇、おめでとうございます。今の心境を教えてください。
「ありがとうございます。率直に『やった、うれしい』という気持ちです。何かから解放された感覚もあります。自分にとって最後のユース世界選手権だったこともあって、どうしても勝ちたいというプレッシャーはありましたね」

――予選、準決勝、決勝の課題内容はどう感じましたか?
「内容的にそこまでハードではなかった分、多くの選手が登っていたので、全体的にアテンプト数が大事だと感じました」

――ワールドカップにも出場する中で、例えばユースの大会に臨む際は気が楽になるなど違いはありますか?
「どちらかというと気楽ではないです。課題の難易度的には絶対に登れるとわかっているので、その分負けたり登れなかったりしたら嫌ですね」

――どのような大会と位置づけて臨みましたか?
「ワールドカップで勝つために必要な大会だと思って挑みました。確実に勝たないといけない大会で勝つ、という能力は絶対に必要なので」

――自分の強みはどう感じていますか?
「保持力は他の選手よりも自信があります。ホールドだとカチやピンチが得意です」

――その強みはユース世界選手権でも発揮できましたか?
「他の選手が掴めなかった最終課題のホールドもすんなり止められたので、強みを発揮できたのかなと思います」

――反対に改善したい点はありますか?
「スラブとコーディネーションはここ1、2年ずっと取り組んでいて、最近はその成果が少しずつ出てきています。オブザベ―ションをミスしてアテンプトが重なる点も意識して練習しています」

――ユース世界選手権はオリンピックが終わってすぐに行われました。銀メダルを獲得した安楽宙斗選手とは仲が良いと伺っています。安楽選手の存在は刺激を受けますか?
「自分と比べてムーブが完成されていると感じますし、(登る際の)ポジションも参考になります。考え方も自分とはまったく違うので刺激を受けますね。僕は何か迷ったらとりあえず好きなことをやろう、という感じなんですけど、宙斗は反対にプロ意識があって、『そういうことも必要なのか』と学ばせてもらっています」

――JMSCAが主催、住友商事が協賛する今回のEnriching+賞は、ユース選手を応援する新しい賞で、副賞も用意されています。受賞した感想を教えてください。
「素直にうれしいです」

――住友商事グループのコーポレートメッセージ「Enriching lives and the world」には未来に向かって「世界を、社会を、そして人々の暮らしを、より豊かにしていく」という意味が込められています。通谷選手が思い描いている未来はありますか?
「競技の目標はオリンピック出場ですね」

――競技以外の目標はありますか?
「岩場でのクライミングです。いろいろな所に行って、難しい課題を登りたいです。大会のシーズン中でも、ちょっと悩んだ時はとりあえず岩場に行ってしまえばすっきりするんですよ。岩場でも有名になりたいですね」


通谷律(かよたに・りつ)
2006年4月15日生まれ。佐賀県山岳・スポーツクライミング連盟所属。保持力などを武器にボルダーではすでにワールドカップの舞台で活躍中。ユース世界選手権は22年大会から3連覇を成し遂げた。

住友商事公式オウンドメディア「Enriching+」
https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/enrich

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インタビュー・文 編集部 / 写真 © Richard Aspland/IFSC

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