インタビュー:長森晴【住友商事 presents Enriching+賞】

 JMSCA(日本山岳・スポーツクライミング協会)はこのたび、今後のスポーツクライミングを牽引していく次世代のユース選手の支援を強化していきたいという、ゴールドスポンサーの住友商事株式会社(以下住友商事)からの申し出を受け、「住友商事 presents Enriching+賞」を新設した。住友商事の創立100周年に合わせて策定した同社グループのコーポレートメッセージ「Enriching lives and the world」に込めた想いを受け継ぎ、ステークホルダーと共に未来に向かって新たな価値を“+(プラス)”できるようなコンテンツを発信する公式オウンドメディアの名称「Enriching+」が同賞の冠となった。

 今回は8月に行われたIFSCクライミングユース世界選手権で優勝した6人が受賞した。副賞として日本代表オフィシャルサプライヤーの「THE NORTH FACE」のアイテムも贈られる。CLIMBERSでは各選手に同大会でのエピソードを中心に話を聞いた。本記事では男子ボルダーUnder18で優勝した長森晴選手のインタビューを掲載する。

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――ボルダーでの優勝、おめでとうございます。今の気持ちを教えてください。
「ありがとうございます。自分でも信じられないくらいです」

――昨年大会はリード2位、ボルダー3位でした。
「今回は得意のリードで失敗してしまって(7位)、ボルダーで頑張りたい気持ちが強かったです。でも用意された課題は得意というわけでもなく、表彰台に乗れればいいなと思っていたので、優勝できた時は『え、マジか』ってびっくりした気持ちのほうが大きかったです」

――優勝の要因をどう捉えていますか?
「決勝課題を見た時、全課題が苦手系だと感じました。それでも特に苦手だった1課題目を一撃できたことで、それ以降はいつも通りの調子で臨めました。そこが優勝できた要因だと感じています」

――1課題目の一撃は練習の成果が表れましたか?
「はい。プッシュする動きがすごい苦手なので鍛えるようにしていました。予選の前半ラウンドでみんなが登れていた1課題目にプッシュ系の動きが出てきて、自分だけ登れなかったので心配ではあったんですけど、決勝では何とか登れました。そこは成長できた点なのかなと思います」

――ユース世界選手権の直前にはパリオリンピックが開催されました。刺激は受けましたか?
「普段から(銀メダルを獲得した安楽)宙斗くんとは仲良くさせてもらっていて、オリンピックが終わった後に『次はお前の番だから頑張れよ』と言ってくれました。『俺も頑張らないと』って気持ちが燃えましたね」

――ユース代表選手をはじめ、同世代には多くの強いクライマーがいる中で、長森選手は何に自信がありますか?
「自分は身長が178cmと大きいほうなので、その身長を活かした登りや、コーディネーション能力には少し自信があります」

――コーディネーションが得意ということは、リードよりもボルダーに自信がありますか?
「好きなのはボルダーですが、結果を残せているのはリードなんです(笑)」

――JMSCAが主催、住友商事が協賛するEnriching+賞は、ユース選手を応援する新しい賞です。受賞した感想を教えてください。
「今までこのような賞を頂くことが少なかったので、こうして結果を残すことで賞を頂けるのはとてもうれしいです」

――住友商事グループのコーポレートメッセージ「Enriching lives and the world」には未来に向かって「世界を、社会を、そして人々の暮らしを、より豊かにしていく」という意味が込められています。長森選手が思い描いている未来はありますか?
「オリンピックに出場したい気持ちもあるんですけど、何よりもワールドカップなどの大会でコンスタントに表彰台に乗ったり優勝したりできる、ずっと強い選手になりたいです。選手を引退した後は、少しでもクライミングを盛り上げられるような活動をしたり、小学生など下の世代を教えたり、それこそユース日本代表のコーチもしたりしてみたいですね」

――そのために意識していることはありますか?
「自分はまだユースのカテゴリーですけど、すでにシニアを意識したトレーニングをしています。コーチとも『次はシニアの代表を目指そう』と話しています。『先を見ること』を重視しています」


長森晴(ながもり・はれる)
2008年10月1日生まれ。N高等学校所属。23年ユース日本選手権のユースBカテゴリーでリード、ボルダーの2冠。今年のユース世界選手権は前回3位だったボルダーで優勝を飾った。

住友商事公式オウンドメディア「Enriching+」
https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/enrich

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インタビュー・文 編集部 / 写真 © Richard Aspland/IFSC

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