クロスステップでの攻略を図る楢崎。五輪直前まで多くの時間を割いて練習してきたという

【パリ五輪現地レポート】安楽の力みない完登、楢崎のクロスステップは見事 ヤンヤの強さは試合展開に影響

 5、6日に行われたパリオリンピックのスポーツクライミングボルダー&リード準決勝ボルダーラウンド。日本勢は男子で安楽宙斗が1位、楢崎智亜が2位、女子で野中生萌が7位、森秋彩が11位につけた。楢崎、野中のボルダーコーチでルートセッターとしての視点も持つ宮澤克明氏が現地からレポートする。

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▼男子ボルダーラウンド
 勝負のポイントは、やはり25点を取れるか、取れないかにあった。25点のホールドに悪さが集約されていた。中でもボルダーを得意とする選手の稼ぎどころとなるはずだったコーディネーション系の3課題目で完登がなかったことで、リードを得意とする選手との差がそれほど生まれなかった。30点差内にほとんどの選手がいる状況だ。

 宙斗は最初のフィジカル課題に対して得意のポジショニングでうまくはめていき、多くの選手が苦戦した終了点付近を力みなく完登した。2課題目をただ1人完登して唯一2完登に達したことにも大きな価値がある。智亜は多くの選手が再現性なく苦戦していた3課題目の10点付近を完璧な再現性で何度も越えていただけに、最後のホールドを取り切れなかったことが悔やまれる。ただ、五輪直前に多くの時間を割いて練習した4課題目のクロスステップは見事だった。最後に完登フィニッシュできたことはリードへの負担を考えるとのちのち大きな意味を持ってくるだろう。

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▼女子ボルダーラウンド
 やはりヤンヤ(・ガンブレット)がいることで課題の難しさが変わり、多くの選手に影響した。かなりの点差の幅が生まれる試合展開となった。彼女はずば抜けていて、勝負に絶対はないが、限りなく隙がない印象だった。各課題の完登数を考えると、エレクトリック系と思われる2課題目の難易度が少しやさしかったと感じた。勝負のポイントの1つは、コーディネーション系で設定されたように思う第3課題。リーチのある選手が足を凹角に張り、コーディネーションではなくスタティックなムーブを選択できていた。コーディネーションムーブで攻略できた選手はいなかった。

 生萌はフィジカル系の第1課題でしっかりと25点を取れたことが大きい。欲を言えば最後のスラブも登り、良い形でラウンドを締めたかった。秋彩ちゃんは1課題目でゾーンを取れずにキツイ展開となったが、その後冷静に登れる課題をしっかり登り切って2完登。彼女にとってボルダーラウンドの点数としては悪くないだろう。各日本人選手のリードでの登りにも期待したい。

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CREDITS

宮澤克明、編集部 / 写真 長田洋平/アフロスポーツ

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