安川潤「五輪出場しか考えていない」【スピードジャパンカップ2024|決勝後の選手コメント】
スポーツクライミングのスピードで競うスピードジャパンカップ(以下SJC)が25日、佐賀県多久市の九州クライミングベースSAGAで行われ、男子は前回王者の安川潤、女子は3種目に取り組む竹内亜衣とパリ五輪出場に可能性を残す2人が制した。以下、決勝後の安川、大政涼(日本記録保持者)、竹内、林かりん(女子日本記録保持者)の主なコメント。
関連記事:安川潤が抜群の安定感で大会初連覇【スピードジャパンカップ2024】
安川潤(男子優勝)
「過去にケースがない2連覇を狙って気合を入れて臨んだ。オフシーズンのトレーニングの成果が出て満足な気持ち。決勝トーナメントでは勝ちを意識した戦い方をした。全力でタイムを狙う時はホールドを持つよりも駆け上がる感じで、安定してタイムを出そうとする時は(ホールドとの)接地時間を延ばすように意識している。プラクティスで調子がよかったので予選は2本とも4秒台を狙って突っ込んだがうまくハマらなかった。これだとW杯やOQS(5、6月の五輪予選シリーズ)で通用しない。全力の中での安定感を上げていくことが今後の課題。
(大政選手が非公式でSJC直前に4秒台を出したが?)登りを見てびっくりしたのもあるし、正直ちょっと悔しかったが、自分もそこに到達できる道筋が見えている。公式記録として先に4秒台を出すのは自分だと気持ちを切り替えて頑張っている。
このオフシーズンにはマルチンスキップというムーブを使う中間部のパートを改善するために取り組んできた。また初めて本格的なフィジカルトレーニングを取り入れて、質のいい練習ができるようになっている。(大学を休学していると聞いたが?)昨シーズンは世界ランキングが重要で、競技に集中する必要があった。休学の選択肢があったからこそ1年間集中してタイムを伸ばしたりしっかり体を作ったりすることができた。(今後の目標は?)OQSで五輪の出場権を取ることしか考えていない」
大政涼(男子9位)
「決勝最初のレースでおそらく体のバランスが崩れ、手が剥がれてしまった。そこまで攻めたわけではないのでなぜそうなったのかわからない。動画を見て確認したい。今年の初戦でいいスタートを切りたかったのでこの大会に合わせて練習してきた。正直ここで負けるつもりはなかった。
(非公式ながら4秒96が出たが?)非公式でも目標の1つだった4秒台に到達できて本当にうれしい。去年は後半パートがとても遅かったので徹底的に練習してきた。4秒台を出した時はスタート時のリアクションタイムがよかった。でも大会で攻め過ぎるとフライングになってしまう。そこが練習と大会で異なるので難しいところ。
国際大会で表彰台を争えるようなタイムは出せるようになってきたので、あとは今日のようなミスをなくしてより安定して登ることが大事になる。今シーズンはOQSで結果を残して五輪に出場すること、W杯で金メダルを獲ることが目標」
関連記事:“三刀流クライマー”竹内亜衣が初優勝【スピードジャパンカップ2024】
竹内亜衣(女子優勝)
「初優勝なのでうれしい。ボルダーやリードの練習で鍛えたパワー、力強い動きができるのが自分の強み。普段はボルダーとリードの練習がメインだが大会ごとに重点を変えて各種目バランスよく練習するようにしている。(3種目の中でどれが一番得意?)ボルダーが一番好き。今は3種目ともできる環境にあるので、それを生かしてどれも諦めたくない。今後どれかが伸びてたら自分の勝てる種目で戦いたい。
(3種目に取り組む選手が少なくなった中で3種目を続けるか悩んだ時はあった?)スピードのタイムが伸び悩んだ時だったりスピードをやっていることでリードの成績が落ちてきたりした時は悩んだが、自宅近くにスピード壁もあるなど恵まれた環境がある。何か1つを捨てるのはもったいないと思い3種目を続けている。種目を絞らないことでいいリフレッシュになる。
(各ジャパンカップの結果で3種目それぞれの代表に入ることが濃厚だが?)ボルダーとリードは決勝進出を狙っていたのですごく悔しいが、代表合宿などに行くことができるのでもっと実力を上げて来年は決勝に行きたい。(今シーズンの目標は?)OQSで五輪出場権を獲得できるように自己ベストを狙っていきたい。(今の自己ベストは?)公式で7秒7、8くらい。世界大学選手権にも出場したいので、そこに向けてボルダーとリードの練習をしつつ、スピードも狙っていこうと思っている」
林かりん(女子3位)
「すごく悔しい。昨シーズンからあまり調子がよくなかった中で自己ベスト(7秒43)に近いタイムが安定して出せたことはうれしかったが、日本記録を出すつもりで来ていた。苦手意識が強い中間部で飛ぶランジパートを練習していて、今大会はそこでいいパフォーマンスができた。気を抜かずに、より一層練習していきたい。(OQSに向けて)今のタイムでは全然通用しないと思っている。7秒台前半、6秒台後半を出していけるようにトレーニングしてメンタル面も鍛えていきたい」
「スピードジャパンカップ2024」大会特設サイト
大会公式掲示板(競技順・成績速報などはこちらから)
CREDITS
取材・文 編集部 / 写真 窪田亮