久米乃ノ華が女子2位、安楽宙斗が男子3位でメダル獲得【リードW杯2023 第3戦シャモニー大会】
クライミングW杯リード第3戦の男女決勝がフランス・シャモニーで9日(日本時間10日)に行われ、日本の19歳・久米乃ノ華が女子2位、16歳・安楽宙斗が男子3位に入り、10代2人がリードW杯で初のメダルを獲得した。
今大会は来月の世界選手権に向けた調整のためか、ヤンヤ・ガンブレット(スロベニア)、ヤコブ・シューベルト(オーストリア)の前回大会優勝者をはじめとした何人かの欧米勢が不在となった。8日の予選は安楽、本間大晴、久米が2本のルートをそれぞれ完登して首位タイ発進。9日の準決勝では安楽が完登に迫る高度で再び首位タイ、女子は久米が3位、野中生萌が5位で決勝に駒を進めた。安楽は3戦連続、久米は初、野中は2年ぶりのリードW杯ファイナルを戦う。
女子決勝はボルダー寄りのムーブが多く見られた。4番手で登場した野中は30手目のランジを難なく成功させ、その後スムーズにマントルを返すなどして37+でフィニッシュ。エレーヌ・ジャニコ(フランス)の38+に次ぐ暫定2位につける。直後に登るベテラン34歳のキム・ジャイン(韓国)は抜群のボディバランスで43+へと最高到達点を更新。初決勝の久米は慎重に高度を上げて38+まで到達し、ジャニコと並ぶも準決勝上位の久米が2位に浮上した。
その後、ジェシカ・ピルツ(オーストリア)がマントルを返すのに時間を要してしまったことで体力を消費したのか高度38に終わり、久米の表彰台が確定。最後のソ・チェヒョン(韓国)はクリップの順番を間違えてしまい中盤で競技終了となった。この結果、キムがリードW杯において30個目の金メダルを獲得。IFSC(国際スポーツクライミング連盟)によれば、これは男女および全種目を通じて、単一種目における優勝回数の最多記録。久米は2位でW杯初のメダルを手に。野中は世界選手権に向けて調子が上がっていることをうかがわせる5位入賞を果たした。
男子決勝は蛇行するルートが取られ、指先の力が主に求められた中で2番手のサム・アベズー(フランス)がレストポイントをうまく作り出しながら軽快に上昇。時間に余裕を持たせつつ完登に迫り50手目まで達した。その後はドイツの実力者アレクサンダー・メゴスの46+が最高で、アベズーの記録を超えることができない。
7番手の安楽は表情にキツさが見られた40手台後半で巧みに高度を伸ばし、メゴスの記録は上回ったが、高度48で1位とはならず。大トリとして登るトビー・ロバーツ(英国)はぐんぐんと高度を上げていき、終盤の47手目でレストを取り入れ、完登を確信したのか観客を煽ると、トップホールドへのダイナミックな一手を決めて最後のクイックドローにクリップ。完登で決勝を締めくくり、今シーズンのボルダー第5戦に続いてリードW杯でも初優勝に輝いた。2位のアベズー、3位の安楽もリードでは初のメダルとなり、新星たちが表彰台に並び立った。
<決勝リザルト>
[男子]
1位:トビー・ロバーツ(GBR)/TOP
2位:サム・アベズー(FRA)/50
3位:安楽 宙斗(JPN)/48
4位:アレクサンダー・メゴス(GER)/46+
5位:シュテファン・シェルツ(AUT)/41
6位:コリン・ダフィー(USA)/39+
7位:ルカ・ポトカ(SLO)/39+
8位:イ・ドヒョン(KOR)/39
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9位:小俣 史温(JPN)※準決勝進出
11位:吉田 智音(JPN)※準決勝進出
12位:本間 大晴(JPN)※準決勝進出
13位:百合草 碧皇(JPN)※準決勝進出
14位:緒方 良行(JPN)※準決勝進出
23位:鈴木 音生(JPN)※準決勝進出
26位:樋口 純裕(JPN)※準決勝進出
44位:上村 悠樹(JPN)
[女子]
1位:キム・ジャイン(KOR)/43+
2位:久米 乃ノ華(JPN)/38+
3位:エレーヌ・ジャニコ(FRA)/38+
4位:ジェシカ・ピルツ(AUT)/37+
5位:野中 生萌(JPN)/37+
6位:ミア・クランプル(SLO)/33
7位:ヴィータ・ルーカン(SLO)/29+
8位:ソ・チェヒョン(KOR)/22
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9位:谷井 菜月(JPN)※準決勝進出
11位:中川 瑠(JPN)※準決勝進出
16位:伊藤 ふたば(JPN)※準決勝進出
32位:小池 はな(JPN)
40位:柿崎 未羽(JPN)
CREDITS
文 編集部 / 写真 © Jan Virt/IFSC