パラクライミングW杯第3戦で日本が金3、銅1のメダル4個獲得
今シーズンのパラクライミングW杯第3戦が現地時間23、24日、スイスのヴィラールで開催された。日本からは6クラスに6人が参加。このうちメダリストは以下の4人となった。
1位:會田 祥(男子B1 視覚障がい)
1位:濱ノ上 文哉(男子B2 視覚障がい)
1位:高野 正(男子RP3 神経障がい)
3位:結城 周平(男子AL2 身体障がい)
24日の決勝はBクラス(視覚障がい)からスタート。このクラスの男子ルートは傾斜95度のスピード競技壁に設定され、トラバースを含めたテクニカルな内容となった。男子B1クラスの會田は前回第2戦と同様に制限時間が迫る展開となる。その中でタイムオーバー直前まで手を伸ばし、トップホールドにあと数手まで近づいて今シーズン3つ目の金メダルを獲得した。B1クラスはB2、B3クラスよりも障がいが重く、全盲あるいはほぼ全盲となるため、公平性を保つためにアイマスク(目隠し)を装着して行われる。それにもかかわらず、會田の到達高度はすべての男子Bクラスの中でトップであった。
男子B2クラスの濱ノ上はフットホールドを丁寧にひろいながら中間部のトラバースをスムーズにこなす。その後も他選手が苦労したセクションを粘り強くクリアして1位に立ち、今シーズン2勝目を飾った。男子RP3クラスの高野は傾斜のあるパワフルなルートを持ち前のパワーでこなしていく。観客に声援をアピールするなどの余裕もみせ、完登は逃したものの、2位に10手以上の差をつけてW杯初優勝を果たした。
男子AL2クラスの結城は右脚を左右に大きく振るダイナミックなムーブで高度を上げて3位に。このクラスでは義足を使う選手と使わない選手が混在しているが、結城は左脚に義足を装着せずに登った。一方、上位の2位選手は義足を使用していた。義足を使うほうが有利であるかどうかは単純には決められず、またその人のクライミングに対する考え方にもよる。義足などの装具の使用、不使用など、クライミングスタイルの違いもパラクライミングの見どころの1つだと言える。
パラクライミングの次回国際大会は8月8日から10日にかけて開催されるスイス・ベルンでの世界選手権。日本からは16人のパラクライミングアスリートが参加予定だ。
CREDITS
文 蓑和田一洋(パラクライマー) / 構成 編集部 / 写真 © Jan Virt/IFSC