表彰台に上がった(左から)イ、ロバーツ、緒方

日本男子4人の決勝で緒方が3位 楢崎が年間首位に浮上【ボルダーW杯2023 第5戦ブリクセン大会】

 クライミングW杯ボルダー第5戦の男子決勝がイタリア・ブリクセンで11日(日本時間12日)に行われ、イギリスの18歳トビー・ロバーツが初優勝した。日本勢はファイナリスト6人のうち4人を占めるも、メダル獲得は3位の緒方良行のみにとどまった。

 9日の予選は全5課題を完登した安楽宙斗がグループAを首位通過するなど日本勢5人が準決勝に進出。11日の準決勝では智亜・明智の楢崎兄弟、安楽、緒方が6位以内に入り、決勝に駒を進めた。

左から緒方、楢崎明智、イ、楢崎智亜、安楽、ロバーツ

 日本勢による上位独占の期待が高まった決勝だが、第1課題は対照的な結果となった。先頭の緒方、2番手の楢崎明がゾーン止まりに終わると、第4戦プラハ大会で初優勝したイ・ドヒョン(韓国)が抜群の保持力で一撃。4番手の楢崎智、5番手の安楽が持ち手の悪いゾーンをつかみ損ねたあと、最終6番手のロバーツは4アテンプトで完登を果たす。日本勢はまさかのゼロ完登発進となった。

第1課題に挑む楢崎明智

 第2課題はさらに難しさが増す。コンプレッション系ムーブが序盤から体力を消耗させ、ゾーン獲得後の薄いホールドを捉えられない。しかし、ここでW杯に今年初参戦している安楽が輝きを見せる。日本の16歳はスローパーに左トウをかけることで難所を突破。1度はゴール取りに失敗するも次のトライで修正し、この課題唯一の完登を記録した。

第2課題

第3課題を完登した緒方。3位で今季初の表彰台にたどり着いた

 第3課題は難易度が下がり、全員が完登。2完登3ゾーンで1位のイ、2位のロバーツを、2完登2ゾーンで3位の安楽らが追いかける形となった。最終第4課題も緒方、楢崎明が連続フラッシュし、またもや完登が続くかと思われたが、ここまで好調だったイがムーブに迷い、ゾーン止まりでまさかの失速。楢崎智も悪い流れにハマりミスを連発した。ここで完登すれば首位に浮上するチャンスが巡ってきた安楽も、楢崎智同様にガストン気味に飛びつくムーブが決まらない。最後に登るロバーツも苦しむ展開。だが驚異の粘りとパワーで上昇するとついに完登。熱戦を制してW杯初優勝を飾った。2位にはイが、3位には今季初表彰台の緒方が入り、4位以降は楢崎明、安楽、楢崎智が続いた。

最終課題の完登で自ら優勝を手繰り寄せたロバーツ

今季躍進中のイは2位でフィニッシュ。2戦連続優勝でもおかしくないパフォーマンスだった

 今大会の結果を受けて、3000ポイントとした楢崎智が年間ランキング1位に浮上。しかしイも2位(2885.33ポイント)、ロバーツも4位(2434.5ポイント)に順位を上げており、また楢崎智は彼らに比べて次戦で積み上げられるポイントの最大値が低いため、逆転される可能性は十分に考えられる。運命の最終第6戦はオーストリア・インスブルックで現地時間今月14~16日(男子は15、16日)に行われる。

<決勝リザルト>

1位:トビー・ロバーツ(GBR)/3t4z 10 7
2位:イ・ドヒョン(KOR)/2t4z 3 4
3位:緒方 良行(JPN)/2t4z 5 6
4位:楢崎 明智(JPN)/2t4z 5 11
5位:安楽 宙斗(JPN)/2t2z 5 2
6位:楢崎 智亜(JPN)/1t2z 1 2
――――――
13位:通谷 律(JPN)※準決勝進出
23位:井上 祐二(JPN)
23位:佐野 大輝(JPN)
27位:藤井 快(JPN)

※左から順位、氏名、所属国、成績
※成績は左から完登数、ゾーン獲得数、完登に要した合計アテンプト数、ゾーン獲得に要した合計アテンプト数

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編集部 / 写真 © Dimitris Tosidis/IFSC

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