男子銀メダルの楢崎智亜(左)と女子優勝の野中生萌

野中生萌が5年ぶり4度目のW杯優勝 男子は楢崎智亜が銀【ボルダーW杯2023 第2戦ソウル大会】

 クライミングW杯のボルダー第2戦が29、30日に韓国・ソウルで行われ、女子で野中生萌が5年ぶり4度目の優勝、男子で楢崎智亜が銀メダルを獲得した。

 大会は大幅なスケジュール変更を余儀なくされた。29日午前に開始予定だった男子予選が降雨のため30日に延期され、その影響で決勝は男女とも行わず。主催するIFSC(国際スポーツクライミング連盟)は30日に行う準決勝の結果を最終成績とすると発表した。

会場となったチュンナンスポーツクライミングスタジアム

 こちらは予定通り29日午後に行われた女子予選は7位タイの森秋彩を筆頭に野中、関川愛音、松藤藍夢の日本勢4人が準決勝行きを決め、伊藤ふたばらは敗退となった。延期された男子予選は30日午前にスタートし、グループBで藤井快が2位、楢崎智亜が3位に入るなど日本勢5人が準決勝に進出した。しかし楢崎明智が腰を負傷した模様で第2課題途中で棄権、藤井も肘を痛めたようで準決勝出場を見送った。

 30日夜に開始された準決勝は、男女とも決勝で使用予定だった課題を用いて行われた。双方の課題難易度は高く、先週の八王子大会の流れを汲んだように完登者は少なかった。それでも女子の12番手で登場した野中は、スラブの第1課題を9トライ目に完登、第2課題はゾーンを獲得すると、第3課題でゾーンへのコーディネーションを11トライ目に決め、大きく振った右足をうまく着地させてすぐにトップホールドへのムーブを起こし成功。2完登3ゾーンで単独首位に立ち、最後まで1位の座を守り切った。

第1課題を登り切った野中

2位のベルトンと抱き合って喜ぶ野中。その目には涙が浮かんでいた

 野中のW杯優勝は2018年4月に行われたマイリンゲン大会以来5年ぶり4度目。2位にはオリアーヌ・ベルトン(フランス)、3位には開幕戦を制したブルック・ラバトゥ(米国)が入り、同じく開幕戦で銅メダルを手にしていた松藤藍夢は4位でフィニッシュした。

女子表彰台=(左から)ベルトン、野中、ラバトゥ

 女子と並行して行われた男子準決勝は第4課題のゾーンに到達した選手が1人もおらず、実質3課題での勝負となった。完登者はスラブの第1課題が3人、上半身のフィジカルの強さが求められる第2課題は1人、ダイナミック系の第3課題は9人。その中で自国開催での優勝を目指すチョン・ジョンウォンが第2、第3課題を見事に一撃し2完登2ゾーンで暫定首位に浮上する。

楢崎は第3課題の難しいゴール取りを3トライ目に成功させて首位に浮上

 その後、第1、第3課題を登り切り、さらに第2課題でゾーンを獲得していた楢崎智亜が2完登3ゾーンでチョンを抜き去るも、予選首位で開幕2連勝を狙うフランスの18歳、メジディ・シャールックが楢崎よりも少ないアテンプト数で2完登3ゾーンに達したため、シャールックの2週連続優勝が決まった。次回ボルダー第3戦は5月19~21日にかけて米国・ソルトレイクシティで行われる。

男子表彰台=(左から)楢崎、シャールック、チョン

<決勝リザルト>

[女子]
1位:野中 生萌(JPN)/2t3z 20 22
2位:オリアーヌ・ベルトン(FRA)/2t2z 4 3
3位:ブルック・ラバトゥ(USA)/2t2z 10 7
――――――
4位:松藤 藍夢(JPN)/1t3z 4 15 ※準決勝進出
12位:関川 愛音(JPN)/0t3z 0 12 ※準決勝進出
19位:森 秋彩(JPN)/0t0z 0 0 ※準決勝進出
21位:伊藤 ふたば(JPN)
25位:青柳 未愛(JPN)
47位:中川 瑠(JPN)

[男子]
1位:メジディ・シャールック(FRA)/2t3z 2 7
2位:楢崎 智亜(JPN)/2t3z 6 10
3位:チョン・ジョンウォン(KOR)/2t2z 2 2
――――――
9位:井上 祐二(JPN)/1t1z 4 4 ※準決勝進出
12位:緒方 良行(JPN)/0t2z 0 7 ※準決勝進出
19位:通谷 律(JPN)/0t0z 0 0 ※準決勝進出
20位:藤井 快(JPN)※準決勝進出、準決勝前棄権
23位:佐野 大輝(JPN)
29位:安楽 宙斗(JPN)
85位:楢崎 明智(JPN)※予選途中棄権

※左から順位、氏名、所属国、準決勝成績
※成績は左から完登数、ゾーン獲得数、完登に要した合計アテンプト数、ゾーン獲得に要した合計アテンプト数

CREDITS

編集部 / 写真 窪田亮

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