表彰台に上がった(左から)百合草、安楽、緒方

16歳の安楽が2連覇達成 百合草と世界選手権出場へ【ボルダー&リードジャパンカップ2023】

 9日、スポーツクライミングの世界選手権代表などを決めるボルダー&リードジャパンカップ男子決勝が鳥取県立倉吉体育文化会館/倉吉スポーツクライミングセンターで行われ、16歳の安楽宙斗(そらと)が前身大会のコンバインドジャパンカップ2022に続き2連覇を達成した。

 決勝には昨日の予選で8位までに入った緒方良行、安楽、通谷律、藤井快、百合草碧皇、井上祐二、吉田智音、小西桂の8人が進出した。4課題で争うボルダーは7人の完登で幕を開ける。中でも安楽と緒方は流れるようにムーブを繋げて一撃した。第2課題は足の置き所がない序盤が鬼門となり、7人が3つ並ぶホールドに対して様々なアプローチを試みるも第1ゾーンの5ポイント獲得すらできず。最後に登る緒方は高いフィジカル能力を発揮し、4トライ目に素早く正確に両手を連動させるなどして難所を突破。そのまま登り切って大きな25ポイントを獲得した。

第2課題の難所を攻略する緒方

 緩傾斜の第3課題は、2つ目のゾーン到達後に壁に手を添えて重心をコントロールするなどした5人が完登。勢いを持続させたい緒方はトップホールドに迫るも未完登に終わってしまう。最終課題はスタティック系だった第3課題から一転してダイナミックでテンポのいい内容となり、通谷の一撃をはじめ6人が完登した。全課題を終えて、第2課題で唯一ポイントを加算した緒方が84.6ポイントで首位。2位の安楽から6位の井上までは74ポイント台で混戦模様となった。

緒方が首位で折り返す

 高度が上がるにつれて1手あたりのポイントが上がっていくリードは、中盤までストレートに上がり、そこから左にトラバース、蛇行を挟み再度直上するルートが取られた。1手4ポイントの最終セクションに突入するアンダー持ちで4人が落下した中、リードを得意とする吉田、百合草がそこを突破し92ポイントを加算。さらに安楽がトラバース前に長いレストを取ると、アンダーも巧みに処理してトップホールドに近づいていく。最後まで落ち着いていた様子の安楽は初完登してみせ100ポイント獲得。右手でガッツポーズをつくった。

完登する安楽

 最後に登る緒方が64.1ポイントにとどまったことで、合計174.8ポイントで優勝を確実とした安楽の2連覇が決定。166.5ポイントで2位と躍進した百合草とともに、今大会の上位2人が選ばれる世界選手権(8月/スイス・ベルン)の日本代表に内定した。パリ五輪選考を兼ねる世界選手権ではボルダー&リード種目で表彰台に上がると五輪代表に内定する。3位の緒方は今大会での世界選手権代表入りは叶わず、ボルダー、リードの各W杯の成績で残り2枠となった同代表を目指すこととなった。

2位に入り世界選手権代表に内定した20歳の百合草。昨年はリードW杯で初優勝するなど実力を高めてきている

<決勝リザルト>

1位:安楽 宙斗(千葉県立八千代高等学校)
 174.8pt(B 74.8pt/L 100pt)
2位:百合草 碧皇(早稲田大学)
 166.5pt(B 74.5pt/L 92pt)
3位:緒方 良行(B-PUMP)
 148.7pt(B 84.6pt/L 64.1pt)
4位:通谷 律(佐賀県山岳・スポーツクライミング連盟)
 138.7pt(B 74.7pt/L 64pt)
5位:藤井 快(無所属)
 138.5pt(B 74.5pt/L 64pt)
6位:吉田 智音(摂南大学)
 136.6pt(B 44.6pt/L 92pt)
7位:井上 祐二(大阪府山岳連盟)
 131.4pt(B 74.3pt/L 57.1pt)
8位:小西 桂(無所属)
 87.8pt(B 23.8pt/L 64pt)

※上段左から順位、氏名、所属先
※下段左から2種目のポイントを合算した複合ポイント、各種目のポイント(B=ボルダー、L=リード)

「ボルダー&リードジャパンカップ2023」大会特設サイト
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CREDITS

取材・文 編集部 / 写真 窪田亮

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