4年ぶりの本戦開催で楢崎智亜、関川愛音がディビジョン1制覇 賞金100万円獲得【THE NORTH FACE CUP 2023】
18、19日、20年以上の歴史を持つ国内最大規模のボルダリングコンペティション「THE NORTH FACE CUP」の2023年大会本戦が埼玉県入間市のクライミングジム「Climb Park Base Camp」で行われた。コロナ禍で2020年3月の本戦が中止となった後、昨年9月から予選ラウンドが復活。このたび4年ぶりの本戦開催となった。
クライミングジムなどを運営するBase Camp(代表:平山ユージ)が主催し、THE NORTH FACEが協賛する本大会。全国10カ所のクライミングジムで行われた予選ラウンドには合計1500人以上が参加し、各ラウンド各カテゴリーを勝ち抜いた者だけが本戦への出場を許された。
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運営の中心を担うBase Campの杉田雅俊氏が「全国から勝ち上がってきた選手が集まり、熱いセッションを繰り広げる。その光景がやっと戻ってきてうれしい」と話したように、本戦は活況を呈した。18日の予選で上位に入った選手が19日午前の準決勝に進出。午後には13あるカテゴリーの各決勝が行われた。ディビジョン2までは準決勝3位までの選手で競技を行い、2分の制限時間で1課題を登り高度などによって優勝を決めた。多くのクライマーが集まった会場からは、カテゴリーに関係なく多くの声援が送られた。
最後に行われたのはトップカテゴリーの男女ディビジョン1(以下D1)。楢崎智亜・明智兄弟ら日本代表クラスの招待選手が準決勝から登場し、6位までが決勝に駒を進めた。D1決勝は課題を進めるごとに人数が絞られていくサドンデス方式を採用。先に競技する女子は完登すれば次の課題へと進める規定により第2課題終了時点で松藤藍夢、関川愛音、久米乃ノ華の3人が残った。
3課題目は松藤と関川がダイナミックなムーブを次々と決める見事なクライミングで完登し、決着はスーパーファイナルに持ち越された。先に登る松藤はコーディネーションムーブを華麗に決め、トップホールドに迫るも落下。すると関川は難しいゴール取りをうまく処理。小学2年生の時から出場しているという15歳がうれしい初優勝をD1で成し遂げ、賞金100万円を獲得した。
D1男子決勝には楢崎兄弟、通谷律、井上祐二のボルダージャパンカップ決勝組、韓国代表チョン・ジョンウォンらが進出した。別次元の登りを見せたのが楢崎智亜。第1課題は複雑なムーブを高速でさばくと、テクニカルなトウフックでスタートする第2課題は軸のブレない安定した登りで再度完登。第3課題もバネのように身体を操って登り切った。世界トップクラスの動きを間近で目にした観客からはどよめきが起こった。しかし驚異のフィジカル能力を見せる通谷、チョンも完登して簡単には引き下がらず、男子もスーパーファイナルを実施することに。最後はポケットやカチなど細かいホールドが続く保持系の難課題。しかし楢崎はこれを一撃し、後続2人が力尽きたことで勝負あり。楢崎は自身2度目のD1制覇となった。
ディビジョン1 優勝選手コメント
関川愛音
「小学2年生の時から出ていて、ずっと決勝に残りたくて、このトロフィーもほしかったけど、コロナで小学校6年生の時からなくなってしまって。初めて決勝に残れて、トロフィーまでもらえてすごくうれしい。4月から始まるW杯に向けてパワフルな課題を練習してきたので、距離も出せたかなと思う。声援もとても力になった。(賞金の)100万円はジムのオーナーと相談して、苦手だったり触ったりしたことのないホールドの購入に充てて、ジムで練習したい」
楢崎智亜
「会場の応援が力になった。登っていて本当に楽しかった。体のキレがかなり良くて、直前の練習で疲れていたのでどうなるかと思っていたが決勝に向けて段々と集中力が上がっていった。最終課題は保持系だったことと、ラウンドを重ねていたことで少ない回数じゃないと登り切れないと思い、一撃を狙っていた。(賞金100万円の使い道は?)普段からホールドにお金を使っていて、今回もホールドを買ってまた強くなりたい。あとは(妻の野口)啓代に何かプレゼントしたい。良い感覚を得られたので、このままの調子で(4月8、9日の)ボルダー&リードジャパンカップにいきたい」
ディビジョン1 決勝リザルト
【女子】
1位:関川 愛音
2位:松藤 藍夢
3位:久米 乃ノ華
4位:永嶋 美智華
5位:張替 夢乃
6位:中村 真緒
6位:青柳 未愛
8位:葛生 真白
【男子】
1位:楢崎 智亜
2位:チョン・ジョンウォン
3位:通谷 律
4位:山口 賢人
5位:楢崎 明智
6位:井上 祐二
「ONE bouldering」THE NORTH FACE CUP 2023公式ページ
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CREDITS
取材・文 編集部 / 写真 窪田亮