安楽宙斗が大会3連覇達成【リードユース日本選手権2022】
スポーツクライミングの第10回リードユース日本選手権決勝が15日、桜ヶ池クライミングセンター(富山県南砺市)で行われ、男子ユースAで優勝し大会タイの3連覇を遂げた安楽宙斗ら各カテゴリー王者が決まった。
昨年大会でユースBを連覇していた注目選手の一人、15歳の安楽が貫録の優勝を果たした。前日の予選を1位通過していた安楽は、この日の決勝でユースAの最終競技者として登場。順調に高度を上げ、壁から壁へと移る「渡り」のセクションでつまづくも苦しいポジションから柔軟にムーブを繰り出して対応すると、それまでの最高到達高度を更新する記録42でフィニッシュ。ユースB、ジュニアも同じルートを登った中で、各カテゴリーを通じて最高タイの成績でカテゴリーまたぎでの3連覇を決めた。リードユース選手権(以下LYC)での3連覇は、2013~15年の田嶋瑞貴以来となる大会タイ記録の快挙。
安楽らの競技の前に行われた男子ユースB決勝では、男子で初めて渡りを成功させた寺川陽が初優勝。昨年31位からの見事なジャンプアップとなった。男子ジュニアでは昨年のW杯日本代表・村下善乙が完登に迫る高度42で優勝。過去のユース大会で何度も表彰台に上がってきた村下だが、優勝はこれが初めてで、2位に5手差をつけての戴冠だった。
一方の女子では、今年がユース最終年となる谷井菜月がジュニア決勝で圧巻のパフォーマンス。終始落ち着きのあるクライミングで女子選手として初めて終盤に突入すると、最後は惜しくもトップホールドを捉え切れなかったが、記録は46+で文句なしの優勝。大会3度目の優勝で自身最後のLYCを締めくくった。
年少カテゴリーのユースB決勝では予選のA、B両ルートで1位の成績を収めていた小田菜摘が安定感のある登りで首位を守った。最高到達高度を39に更新したところでタイムアップを迎えたが、まだまだ余力を残していた様子で、2020年のLYC、21年のユースフューチャーカップでの優勝(いずれもユースC)に続き、これで国内ユース大会は3年連続での優勝となった。ユースAでは女子で初めて2分以上を残して渡りを決めるなど好ペースで登った永嶋美智華が1位に輝いた。3選手が高度40+で並んだものの、予選2位だった永嶋がカウントバックで接戦を制し、昨年12月のボルダリングユース日本選手権に続く栄冠をつかんだ。
総合力の問われる決勝課題で確かな成績を残した入賞選手たち。男女各カテゴリーの優勝者は8月に米国・ダラスで開催される世界ユース選手権の日本代表に内定。その他の表彰台に上がった選手たちもJMSCA(日本山岳・スポーツクライミング協会)が新設したユース強化選手制度の対象となり、練習会への参加などさらなる実力向上の機会を得る権利を手にした。
<表彰台一覧>
男子ジュニア(2003、04年生まれ)
1位:村下 善乙(千葉県山岳・スポーツクライミング協会)/42
2位:関口 準太(栃木県山岳・スポーツクライミング連盟)/37
3位:鈴木 音生(静岡県山岳・スポーツクライミング連盟)/35+
女子ジュニア(2003、04年生まれ)
1位:谷井 菜月(明治安田生命)/46+
2位:高尾 知那(愛知県山岳連盟)/41
3位:柿崎 未羽(早稲田大学)/41
男子ユースA(2005、06年生まれ)
1位:安楽 宙斗(千葉県立八千代高等学校)/42
2位:小俣 史温(東京都山岳連盟)/40+
3位:猪鼻 碧人(埼玉県山岳・スポーツクライミング協会)/34+
女子ユースA(2005、06年生まれ)
1位:永嶋 美智華(静岡県山岳・スポーツクライミング連盟)/40+
2位:抜井 美緒(奈良県山岳連盟)/40+
3位:武石 初音(埼玉県山岳・スポーツクライミング協会)/40+
男子ユースB(2007、08年生まれ)
1位:寺川 陽(栃木県山岳・スポーツクライミング連盟)/32
2位:山田 航大(埼玉県山岳・スポーツクライミング協会)/30
3位:西尾 洸音(兵庫県山岳連盟)/22+
女子ユースB(2007、08年生まれ)
1位:小田 菜摘(大阪府山岳連盟)/39
2位:村越 佳歩(茨城県山岳連盟)/38+
3位:関川 愛音(八戸市立湊中学校)/38
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CREDITS
文 編集部 / 写真 窪田亮