楢崎智亜 世界選手権で「連覇目指す」 パリ五輪は2種目複合に専念
16日からロシア・モスクワで開幕するクライミング世界選手権に向けて、ボルダリングとリードの2種目に出場する日本代表の楢崎智亜、藤井快、伊藤ふたばが13日のオンライン会見に出席。今のコンディションや大会への意気込みなどを語った。
東京五輪の男子複合4位だった楢崎がスピードへの取り組みをやめる決断を下した。東京大会はスピード、ボルダリング、リードの3種目複合で行われた。しかし2024年パリ大会ではボルダリング、リードの2種目複合とスピード単種目に分かれて実施される。「これだけスピードをやり込んできて、タイムはもっと上がる兆しも見えていた。悲しい気持ちもあったが、ボルダリングやリードで到達したい目標を考えた時に時間が足りなくなってしまうと思い、諦めた」。種目を絞り、パリでのリベンジを期す。
スピードでは身体を回転させないように意識し、その癖はリードでの登りにも影響していたという。しかし「身体の使い方が柔らかい方向に少しずつ変わっている。そこをうまく発揮できれば」とスピードの練習がなくなったことでのポジティブな変化をすでに感じている。世界選手権での目標には「ボルダリングで優勝して、連覇を目指したい。リードでは表彰台に上がりたい」と両種目でのメダル獲得を挙げた。
「うまく仕上げられたと思う」と状態の良さを窺わせたのが藤井だ。代表には届かなかった東京五輪を見て、パリへの想いが一層高まったという藤井はリードの強化に励んでいる。「リードに強い選手は、クライミングが強いなと思う。高さ15m地点で、高い強度のボルダームーブをこなしているのを見ると胸が熱くなる。ああいう登りがしたいという想いでトレーニングしている」。今季W杯4戦すべてで決勝に進出しているボルダリングと合わせ「どちらも表彰台に上がりたい」と意気込んだ。
一方の伊藤は1カ月ほど前に肘を痛めてしまい、出場をギリギリまで迷ったという。だが「五輪の次に大きい大会で経験を積みたかった。出場しないと後悔すると思った」とし、「少しずつ調子は上がってきている。ベストな状態ではない中で、できることをやりたい」と話した。
スピード、ボルダリング、リードの各種目で王者を決める大会は、16日から6日間の日程で行われる。男女合わせて13人がエントリーしている日本勢は、各選手がボルダリングとリードの両方、またはどちらかに出場し、世界の頂を目指す。
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取材・文 編集部