表彰台で涙の抱擁を交わす(左から)野中生萌、ヤンヤ・ガンブレット、野口啓代の3人

野中生萌が「銀」! 野口啓代が「銅」! 初代メダリストたちが涙の表彰台【東京五輪 女子決勝】

 東京五輪のスポーツクライミング女子複合決勝が6日、青海アーバンスポーツパーク(東京都江東区)で行われ、日本の野中生萌が2位、この日で競技を引退する野口啓代が3位に入り、スポーツクライミング初の五輪メダリストに輝いた。金メダルはボルダリングとリードで1位を獲得したスロベニアの22歳、ヤンヤ・ガンブレットが手にした。

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 決勝には、ガンブレット、ソ・チェヒョン(韓国)、野中、野口、ブルック・ラバトゥ(アメリカ)、ジェシカ・ピルツ(オーストリア)、アレクサンドラ・ミロスラフ(ポーランド)、アヌーク・ジョベール(フランス)が進出。ミロスラフ、ジョベールのスピード専門選手2人が名を連ねた。

 第1種目スピードで、その専門選手とは別の組み合わせとなった日本勢は、着実に勝利したい初戦を切り抜ける。続く専門選手との一戦には敗れ、3位決定戦は日本勢対決に。激しいデッドヒートを制した野中が3位、野口が4位スタートとなった。最大のライバル、ガンブレットは初戦に敗れるも、その後2連勝して5位。1位はミロスラフで、なんと最終レースで世界新記録をマーク。従来の6.96秒を上回る6.84秒を計測した。

日本勢対決となったスピードの3位決定戦。(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 第2種目ボルダリングは、昨日の男子決勝に続き、難攻不落の課題が並んだ。第1、第2課題とも7人が競技を終えて完登者はゼロ。しかし世界女王のガンブレットだけが攻略を可能とし、最終課題に入る時点で、独走するガンブレットの1位が確定。2位以下は主にゾーン獲得数に対するアテンプト数の差で争った。

 スピード専門選手のジョベールより下の6位にいた野中は、最終課題でのジャンプアップに成功。強靭なフィジカルを発揮して1トライ目にゾーンまで到達し、暫定2位へと浮上する。野口にとっては最後のボルダリング課題。だがポジショニングが難しく、ホールド間も遠い難関を前に、ゾーンにも至らず競技終了となった。最終的にこの種目で野中は3位、野口は4位。総合1位は5ポイントのガンブレットで、9ポイントの野中は3位、16ポイントの野口は6位で追う形に。

絶対女王、ヤンヤ・ガンブレットが五輪の舞台でも本領を発揮。

 最終種目リードは、野口を総合順位で1つ上回るラバトゥが高度20+とスコアを伸ばせず。すると、これを集大成のトライとしたい野口が気迫の登り。ラバトゥの記録を超え、負荷の高まる中間部に突入。そこから複数のデッドポイントを決めると、高度を29+まで伸ばした。続くガンブレットも長いレストを取り入れながら、終盤は粘り強さも見せて高度37+でフィニッシュ。後続がガンブレットの記録を超えられず、最終競技者を前にしてガンブレットの金、野中の銀が確定した。野口には銅メダルの可能性が残り、最後に登るソがガンブレットの記録を超えなければ表彰台が決まることに。女子最年少・17歳のソは臆せずトライするも、35+で落下。野口のメダル獲得が決まった。

 スポーツクライミング界初のメダリストとなった3人は、その場で涙の抱擁を交わす。表彰台でも3人の目には涙が見られ、五輪に挑むまでの期間、そして本番での戦いがどれほど厳しく辛いものだったかを窺わせた。そして、長年日本を牽引してきた野口啓代は、その競技生活に幕を閉じた。

最後の競技を終えた野口啓代。(写真:松尾/アフロスポーツ)

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<決勝リザルト>

1位:ヤンヤ・ガンブレット(SLO)
 5ポイント(S 5位/B 1位/L 1位)
2位:野中生萌(JPN)
 45ポイント(S 3位/B 3位/L 5位)
3位:野口啓代(JPN)
 64ポイント(S 4位/B 4位/L 4位)
4位:アレクサンドラ・ミロスラフ(POL)
 64ポイント(S 1位/B 8位/L 8位)
5位:ブルック・ラバトゥ(USA)
 84ポイント(S 7位/B 2位/L 6位)
6位:アヌーク・ジョベール(FRA)
 84ポイント(S 2位/B 6位/L 7位)
7位:ジェシカ・ピルツ(AUT)
 90ポイント(S 6位/B 5位/L 3位)
8位:ソ・チェヒョン(KOR)
 112ポイント(S 8位/B 7位/L 2位)

※上段左から順位、氏名、国名
※下段左から各種目順位の値をかけ算した複総合ポイント、各種目順位(S=スピード、B=ボルダリング、L=リード)
※同ポイントの場合、順位が上回った種目数の多い選手が上位

東京2020オリンピック競技大会公式サイト(詳しいリザルトはこちらから)

CREDITS

編集部 / 写真 ロイター/アフロ

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