「刺激もらいたい」 W杯今季初参戦の楢崎智亜、原田海が会見
スポーツクライミングの東京五輪代表である楢崎智亜と原田海が25日、ともに今季初出場となるW杯ソルトレイクシティ大会(米国・現地時間28日~30日/スピード、ボルダリング)に向けた出発前会見をオンラインで行なった。
「感覚を忘れている。初めてW杯に行くような気持ち」と久々のW杯出場を前にした心境を語った原田。下半身強化や有酸素トレーニングなどを新たに取り入れたといい、「どこまで仕上がっているか。そこを確認したい」と状態の確認を今大会でのミッションに挙げ、具体的な目標順位は設定していないとした。
「久しぶりの大会で楽しみ。海外選手や日本のライバルたちから刺激をもらいたい」と話した楢崎には、3月に日本記録を更新したスピードでの決勝進出にも期待がかかる。「(自己ベストの)5秒7を更新して、5秒6台を出したい。今大会はスピードのトップ選手がたくさん出るわけではないので、その分少しでもいい順位を取りたい」と意気込んだ。以下、2人の主な一問一答。
▼原田海
――久々の海外遠征になる。
「ボルダリングW杯自体が2年ぶりで、海外に行くのも1年半ぶりくらい。感覚を忘れているというか、初めてW杯に行くような気持ちでいる」
――コロナ禍での海外遠征だが気をつけたいことは。
「できるだけ外出は海外でも控えたい。食事や衛生面もできるだけ自分で用意して、必要以上に人と接触しないよう心がけたい」
――今大会にはどのような課題を持って臨むか。
「最近はトレーニングを変えてきていて、体の変化も感じている。どこまで仕上がっているかは自分自身でも把握できていないので、そこを確認したいと思っている。具体的に目標順位は今のところ考えていない」
――ソルトレイクシティはトレーニングの成果を確認する場になるか。
「それもあるが、W杯という大会の雰囲気、海外選手がいて、違う国に行って試合をするという体験自体を思い出したい」
――具体的にどのようなトレーニングに重点を置いているのか。また体の変化とは。
「今まであまりやってこなかったフィジカルトレーニングを始めている。特に下半身を重視している。バイクだったりランニングといった有酸素運動も取り入れた。クライミングで使うところを強化しているというよりも、使わない場所を鍛えて多様性を持つような強化をしている。実際に成果を発揮できているかどうか目に見えてはわからないが、色々トレーニングしている中で探っている状況」
――多様性を身につけようと思った一番の動機は。
「クライミングは進化し、新しい動きも出てきている。急に新しい動きが大会で出て対応できないことが今までにあったので、不意に出る新しいことにも対応できるようにと力をつけている」
――今後の出場予定は。
「ソルトレイクシティから帰国後のコンバインドジャパンカップ(CJC)と、その直後のW杯インスブルック大会には参戦しようと思っている」
――五輪2カ月前となりコロナ禍が続いているが、開催についてどう感じているか。
「開催に関して僕たちが何かできることはないと思うので、開催されることを信じてトレーニングしている状況。でもそれにとらわれ過ぎず、あまり考えないようにしている時もある。考えても答えが出ないので、考える意味がないというか。それよりもっと目の前の大会などに集中したいという思い」
▼楢崎智亜
――久々の海外遠征だが、今大会はどういった位置づけか。
「久しぶりの大会ですごく楽しみ。ずっと練習しているだけだと刺激が足りないので、海外の選手だったり、日本のライバル選手から刺激をもらいたい。あとは大会がない期間に磨いてきた自分の苦手な部分の確認をしたい」
――苦手な部分とは。
「スタティックな動き。ゆっくりした動きや、重心が下のまま動き続けることを苦手にしている」
――コロナ禍での海外遠征だが気をつけたいことは。
「食事は部屋で食べたり、なるべく人混みを避けたり、普段以上に注意したいと思っている」
――W杯はボルダリング2戦を終え、いずれもアダム・オンドラ(チェコ)が勝っている。
「オンドラ選手が圧倒的に強いという印象。早く生で会って戦いたい」
――スピードで目指すところは。
「(自己ベスト更新となる)5秒6台を出したい。今大会はスピードのトップ選手がたくさん出るわけではないので、その分少しでもいい順位を取りたい」
――3月、4月の大会はコンディション不良で欠場した。
「右肘の状態がよくなく、出場は見送った。練習で苦手な動きをやり込んでいるうちに疲れがたまってきたんだと思う。少し休んでいたが、今はもう大丈夫」
――今後の出場予定は。
「原田君と同じで、僕もCJCに参戦して、その直後のW杯インスブルック大会でボルダリングとリードに出場する予定。その後帰国して隔離期間が明けると、3~4週間ぐらいでもうオリンピックになるので、そこが最後の調整になると思う」
――五輪2カ月前となりコロナ禍が続いているが、開催についてどう感じているか。
「そこに関しては(どうなっても)しょうがないことだと思っているが、せっかく国を代表して戦える権利をもらえたので、それがあるうちは今できることをしっかりやっていきたい」
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取材・文・構成 編集部