グロスマンが初優勝、オンドラが開幕2連勝。日本勢はメダル獲得ならず/ボルダリングW杯2021第2戦 ソルトレイクシティ大会
クライミングW杯2021のボルダリング第2戦、米国・ソルトレイクシティ大会の男女決勝が現地時間22日に行われ、女子はナタリア・グロスマン(米国)、男子はアダム・オンドラ(チェコ)が優勝した。日本勢は野中生萌、藤井快がいずれも4位に終わり、表彰台には届かなかった。
4月に開かれたスイス・マイリンゲンでの開幕戦は無観客だったが、今大会は有観客で実施され、2,500人が集った会場では選手のパフォーマンスに一喜一憂する多くの声援が響いた。女子決勝には、日本の野中が準決勝5位で進出。21日に24歳になったばかりの東京五輪代表は第1、第2課題を完登したが、第3課題はスタート後のバランス取りに苦戦してポジションが中々決まらず。トライを重ねてゾーンなしに終わり、優勝争いから一歩後退してしまう。
好調だったのが準決勝で1、2位だった米国勢のグロスマンとブルック・ラバトゥで、バランス系の第1課題、パワー系の第2課題をいずれも一撃し優勝争いをリードすると、第3課題もこの2人のみがTOPホールドまで到達した。
最終第4課題では先頭の16歳、オリアーヌ・ベルトン(フランス)が全身のバネを駆使した軽快な動きでTOPまで駆け登り、3完登4ゾーンで首位に浮上。第3課題終了時点で暫定首位だったラバトゥはこのまま優勝を決めたかったが、ランジに苦戦してゾーンも獲得できず。このままベルトンが逃げ切る可能性が高まるも、最終競技者のグロスマンが集中を切らさずに10トライ目でランジを攻略しゾーンを獲得。W杯初優勝を確実にすると、最後まで登り切ることに成功した。嬉し涙を流す19歳に対し、地元・米国の観客はスタンディングオベーションで称えた。野中は4位で表彰台を逃したものの、難関の第4課題で核心部のランジを攻略するなど、最後は笑顔で大会を終えている。
男子決勝には、藤井がセミファイナル首位で進出。第1、第2課題を両完登したオンドラ、藤井が1、2位で前半を折り返した。第3課題ではオンドラが見事な足技を駆使して一撃した一方、藤井が序盤の対応に苦しみゾーン到達前に力尽きたことで、オンドラ首位のまま、メジディ・シャールック(フランス)が2位、ヤコブ・シューベルト(オーストリア)が3位に浮上。藤井は4位に後退した。
最終第4課題では、先頭のシャールックが一撃。課題を進めるごとに勢いに乗ったボルダリングW杯出場2戦目の17歳が表彰台を確定させ、完登後には感情を爆発させた。これで優勝には完登が必要となったオンドラだが、的確にムーブを読み解いて危なげなくTOPホールドを手中に収め、圧巻の開幕2連勝。藤井は最終課題を意地の完登で締めくくり、4位でフィニッシュした。
グロスマンの初優勝、ベルトンのW杯デビュー2戦連続表彰台、シャールックの躍進と10代の活躍が目立ち、久々の有観客によるW杯を多くの選手が楽しんでいた様子のボルダリングW杯第2戦。およそ1週間後の28日~30日には、同一会場でスピード第1戦、ボルダリング第3戦が行われる。
<決勝>
[女子]
1位:ナタリア・グロスマン(USA)/4t4z 15 14
2位:オリアーヌ・ベルトン(FRA)/3t4z 7 7
3位:ブルック・ラバトゥ(USA)/3t3z 4 3
4位:野中 生萌(JPN)/3t3z 7 6
5位:ジェシカ・ピルツ(AUT)/1t3z 3 6
6位:ヨハンナ・ファーバー(AUT)/1t2z 1 8
――――――
7位:伊藤 ふたば(JPN)※準決勝進出
10位:中村 真緒(JPN)※準決勝進出
33位:石井 未来(JPN)
38位:中川 瑠(JPN)
[男子]
1位:アダム・オンドラ(CZE)/4t4z 8 7
2位:メジディ・シャールック(FRA)/3t4z 4 5
3位:ヤコブ・シューベルト(AUT)/3t3z 4 4
4位:藤井 快(JPN)/3t3z 12 7
5位:アンゼ・ペハルク(SLO)/1t3z 2 8
6位:グレゴール・ヴェゾニック(SLO)/1t2z 2 2
――――――
14位:天笠 颯太(JPN)※準決勝進出
16位:緒方 良行(JPN)※準決勝進出
17位:杉本 怜(JPN)※準決勝進出
22位:高田 知尭(JPN)
ソルトレイクシティ大会 IFSC特設ページ(リザルト詳細などはこちらから)
CREDITS
文 編集部 / 写真 © 2021 Daniel Gajda / IFSC