360mの煙突ルートを登るヤンヤ・ガンブレット

ヤンヤ・ガンブレットが欧州最長360mの煙突を登る

 スポーツクライミングの東京五輪代表に内定しているヤンヤ・ガンブレットが、生まれ故郷・スロベニアにある欧州で最も高い煙突(360m)に設けられた人工では世界最長となるマルチピッチルートを登った。この挑戦は昨年10月に行われており、このたび映像などで情報が一般公開された。

 2014年から稼働を停止している発電所の煙突には、ガンブレットと、同じく世界的クライマーでパートナーのドメン・スコフィッチのためにIFSC(国際スポーツクライミング連盟)公認ルートセッターのカーチャ・ヴィドマーとサイモン・マルゴンらによってホールドが配置された。13ピッチからなる全ルートは、最も簡単なグレードで7b、6ピッチは8a以上で、最難は10ピッチ目で257m付近の8b+(5.14a)だった。

スロベニア・トルボヴリェにある高さ360mの煙突。

 はじめはガンブレットもスコフィッチもスタート地点から30mまでしかルートを確認できず。マルチは人生初だったというガンブレットは、「スタート前は少し怖かった。オーバーハングした壁と比べると、このような垂壁の場合、落下してロープが止まる前に壁やホールドにぶつかる可能性がある。だからその恐怖心をなくし、リラックスできるまでには何回か落ちる必要があった」とし、最初のトライでは頂上に到達するまでおよそ12時間を要した。

 これが2度目のマルチという2016年のリードW杯王者スコフィッチは、「この煙突はこれまで登ってきたものと比較にならないほど大きなもので、根本的に異なり、神秘的に感じた。不安感、未知への強い恐怖を感じたが、本当に素晴らしく、やりがいのあるルートだったので、すぐに不安や恐怖はなくなり、登りに集中できるようになるとただ楽しんでいた」とオンサイトトライを振り返った。

世界最長の人工ルートを登るドメン・スコフィッチ。

 その4日後、疲労回復を図り、より軽装で再び煙突の前に戻ってきた2人。2回目のアテンプトについてガンブレットは「一番難しいピッチはルートの高い場所にあり、本当にハードだった。でも2回目のトライではその場所に恐怖心はなかった。むしろスコフィッチが多くの力を失ってしまうため、落下しないように集中する必要があった下部ルートのいくつかのビッグダイノに怖さがあった。落下するとピッチをやりなおす必要があり、余計な体力や時間を要してしまうから」とコメント。

 今度は13ピッチ全てを落下することなく、2人は前回と比べ約4時間速い7時間32分で登り切ることに成功した。

CREDITS

編集部 / 写真 Jakob Schweighofer/Red Bull Content Pool

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