藤井快が初優勝! コンバインドジャパンカップ2020【男子決勝】
27日午前、第3回コンバインドジャパンカップ(石鎚クライミングパークSAIJO=愛媛・西条)の男子決勝が行われ、藤井快が大会初優勝を飾った。
第1種目のスピードは、18歳の百合草碧皇が躍動する。今年のユース選手権2冠の百合草は初戦でスピードジャパンカップ2020王者の土肥圭太に勝利すると、さらに同3位・竹田創との対決でも白星を挙げ、ビッグファイナルでは互いにスリップする中で大政涼をノックアウト。この種目では格上の選手に3連勝して、1位を確定させた。優勝候補筆頭の藤井は、初戦で敗れるもその後は2連勝し、5位で次のボルダリングに望みを繋いだ。
ボルダリングは第1課題から明暗が分かれる。体力を吸う強傾斜課題を、5番手の土肥が一撃で初登。さらに7番手の藤井も流れるようなムーブで一撃して、この2人が1位争いの先頭に立つ。スタティックな第2課題では、竹田が残り約10秒で完登すると、土肥も連続完登。藤井は足場が安定せずに、未完登となった。
勝負の第3課題は、勢いに乗る竹田がパワーでねじ伏せて登り切り、雄たけびを上げる。1位を決めたい土肥は途中で力尽き、完登ならず。すると藤井が1トライで難関を沈め、完登に要したアテンプト数で土肥を上回り1位を獲得した。総合順位では藤井が5ポイントで暫定首位に浮上。7ポイントの百合草が2位で続く。
最終種目リードは、高度41以降のムーブがカギを握った。土肥、今泉結太、百合草は体力が消耗する中で下半身が安定せず高度42へのムーブを起こして落下したが、続いて登場した藤井は足場もしっかりと決めてから高度42に到達。最終的には42+をマークして暫定首位に立ち、この時点で優勝は揺るがない状況となった。
藤井の勝利は決まったが、残る競技者の樋口純裕と清水裕登がここから魅せる。7番手の樋口はミスなく高度を上げていくと、高度40以降の終盤、強度がさらに上がる場面で、声を張り上げる気迫の登り。力強さと経験を併せ持つベテランがTOPまでたどりついた。清水も最終盤のムーブに耐え、予選からの連続完登で大会を終えた。
総合順位は、藤井に次ぐ2位に樋口、3位に百合草が入った。藤井は大会直前に東京五輪出場の道が断たれながらも、堂々のパフォーマンスでコンバインドジャパンカップ初の戴冠。2021年1月からプロクライマーとして活動をはじめる28歳が、コロナ禍の1年を見事に優勝で締めくくった。
藤井快コメント
「今は素直にほっとしているところもありますし、とても嬉しく思っています。スピードは10月頃からしっかり練習してきたので自信はあったんですけど、本番の緊張感と、久しぶりのスピードの試合ということで体が動きませんでした。悔しかったですが、ボルダーで集中して、ぎりぎりで1位を取ることができたので良かったと思っています。今年はこれでうまく締めくくれたので、来年からは正式に追加種目に決まったパリオリンピックに向けて僕は頑張ろうと思っています。色々あった2020年でしたが、最後の最後の試合に出ることができ、皆さんの応援のおかげで優勝することができました。本当にありがとうございました。来年もよろしくお願いします」
<決勝リザルト>
1位:藤井 快(TEAM au)
15ポイント(S 5位/B 1位/L 3位)
2位:樋口 純裕(佐賀県山岳・スポーツクライミング連盟)
32ポイント(S 8位/B 4位/L 1位)
3位:百合草 碧皇(埼玉県山岳・スポーツクライミング協会)
35ポイント(S 1位/B 7位/L 5位)
4位:今泉 結太(茨城県山岳連盟)
60ポイント(S 3位/B 5位/L 4位)
5位:土肥 圭太(鹿児島県山岳・スポーツクライミング連盟)
72ポイント(S 6位/B 2位/L 6位)
6位:竹田 創(仙台城南高等学校)
84ポイント(S 4位/B 3位/L 7位)
7位:清水 裕登(愛媛県山岳・スポーツクライミング連盟)
84ポイント(S 7位/B 6位/L 2位)
8位:大政 涼(愛媛県山岳・スポーツクライミング連盟)
128ポイント(S 2位/B 8位/L 8位)
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CREDITS
文 編集部 / 写真 窪田亮