「au CLIMBING WALL」が誕生! 東京五輪を想定したスポーツクライミング3種目の練習拠点に

 東京五輪で実施されるスポーツクライミングの3種目、ボルダリング、リード、スピードの壁が揃った「au CLIMBING WALL」が、TEAM auに所属する野口啓代の実家敷地内(茨城県龍ケ崎市)に誕生。本日付けで情報が解禁された。

 この施設は、野口、楢崎智亜、藤井快、楢崎明智、伊藤ふたばが所属するTEAM auへの支援を強化する目的で、auが野口の家族主導で進められた建設をサポートしたもの。もともと牧場を営んでいた野口家には、牛舎を改築して建てたボルダリングのプライベートウォールがあるが、それとは別に3種目の壁が新設された。国内にはトップ選手が満足に練習できるスピード、リード壁の数が十分に確保されているとは言えず、さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響で選手たちの練習環境は厳しくなっている。そこに、日本のトップクライマーたちへのさらなる支援を打って出るべくauが動いた形だ。

国際大会仕様のボルダリングウォール。

向かい合わせにそびえ立つリード、スピードウォール。

 「au CLIMBING WALL」は完全プライベート施設であるものの、そのスケールは圧巻。スピード壁は国際規格に準拠しているほか、ボルダリング、リード壁の高さや形状はいずれも東京五輪を想定した内容になっているといい、また屋内のため天候に左右されず練習が可能で、姿見鏡や鉄棒などを配したウォーミングアップルームも併設している。ルートセットは選手たち自身が行うほか、著名セッターを定期的に招いて“仮想五輪”課題を設置していくという。

 この場所で練習を行ったTEAM auの選手たちも「海外でもこれほどの環境はない」と絶賛する。国際大会仕様のボルダリング壁について、楢崎智亜は「一面一面の幅が広く、高さもあるので、色々なムーブを試せる」と話すなど満足の表情。リード壁についても「この高さにこの強傾斜は中々見ない」という声が上がり、野口は「これまではリードの練習をする時間が少なかったが、『au CLIMBING WALL』によってリードがさらに好きになり、練習が充実している」とコメントした。

施設は5月までに完成。「TEAM au」の選手たちは野口らを中心に、すでにこの場所での練習を重ねている。

 プライベート施設である点も大きな特徴だ。「ロープを結んで登るのとそうでないのとでは全く違う」と話すのは楢崎明智。これまでリードの練習はボルダリング壁で手数の多い課題をこなすことで代用していたといい、その理由を「(一般営業ジムでのリード壁は)混んでいると順番待ちもあるので、インターバルの時間を安定して取りずらく、好まなかった」と説明した。伊藤も「ボルダリングで同じ課題を数人で打ち込むと、そのエリアを占領してしまうことがあって遠慮してしまいがちだが、ここでは思う存分練習できる」と話す。藤井は「海外では国有施設で代表練習会が行われることはあるが、ここは登りたいときに登ることができる完全にプライベートなジム。それでいてここまで環境が整っている場所は見たことがない」と舌を巻いた。

 何と言っても、この施設は野口の実家敷地内にある。建設の話を聞いた際の心境を野口に聞くと「びっくりしすぎて声が出なかった(笑)」と嬉しさを通り越して驚きの方が大きかった様子。すでに週の半分はここでトレーニングをしているといい、「こんなに立派な施設を建てていただいたauさんには感謝しかない。この壁で練習を積んで、東京五輪で金メダルを取りたい」と意気込んだ。

 野口が「夢のよう」と話した「au CLIMBING WALL」。強力なサポートを背に、TEAM auがさらなるレベルアップを図る。

ほかにも、auは「スポーツ行動認識AI」を活用した分析システムを提供する。スピード種目において、5G技術などを駆使して撮影動画から骨格などの動きを捉え、姿勢や移動軌跡、速度をタブレットなどの画面上で確認できるようになる。

 

野口啓代コメント
「本当に夢のよう。この壁ができたおかげで、みんなでのトレーニングもしやすくなった。本当に良いこと尽くしというか、プラスしかない。五輪を想定した練習ができることも非常に大きい。本来であれば3ヵ月ほどしかこの壁でトレーニングできなかったが、東京五輪が1年延びたことで、より長く登れることになった。準備がたくさんできるし、これほど立派な壁で登ることができて嬉しい」


楢崎智亜コメント
「(最初に建設を聞いたときは)嘘でしょと思いました(笑)。auさんはいつも僕らが強くなるためにできることを考えてくれて、感謝しています。(東京五輪を想定した壁について)ボルダリングは課題のパターンを覚えて、それを時間内に導き出すのが重要。そういう意味では、五輪を意識した壁で色んなパターンを想定して登ることで、動きを体に染みこませられる。トレーニングで追い込む姿はかっこいいものばかりではない。人目を気にせず追い込めるのも大きい」


藤井快コメント
「お客さんを集めて収益を得るジムとは違って、完全に個人の練習のために考えられてできた施設。ホールドも壁も、規模が違う。『すごい』の言葉しか見つかりません。天候に左右されず3種目の練習ができることは大きいし、常に周りの人を気にせず練習できるという環境はほとんど無いので、そういう意味でもすごくいい場所。今までだと飛行機に乗らないと行けないような練習環境、規模のジムが関東にできたことは、僕にとってもすごくいいことだと思う。auさんの存在は本当にありがたい」


楢崎明智コメント
「日本のどこを探してもここまで良い施設は無いんじゃないかというくらいしっかりしている施設。3種目の壁がすべて室内にあるし、常に大会の壁を登っているような感じですごく楽しい。僕たちに強くなるチャンスを与えてくれてすごく嬉しく思っているし、その期待に応えられるように自分も引き続き頑張りたい」


伊藤ふたばコメント
「最初にボルダリング壁を見たときに、大会が開催できるレベルだという印象があって、実際に登ってみても、高さがあって課題も楽しかった。1日に2種目、3種目をトレーニングできることもそうだが、その日にやりたい内容を自分の体調に合わせてその場で決められるので、そういう面でも助かる。このような施設を作るのは当たり前のことではないと思うので、auさんに応援していただいていることを感じるし、本当にありがたいと思う」

au × CLIMBING 公式サイト

CREDITS

取材・文 編集部 / 写真(C)KDDI, 窪田亮

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