国内公式戦初優勝となった原田海(中央)

原田海が初優勝。世界に続き国内も制する ボルダリングジャパンカップ2020【男子決勝】

 9日午後、第15回ボルダリングジャパンカップ(BJC)の男子決勝(駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場=東京都・世田谷区)が女子に引き続き行われ、2018年の世界選手権王者である原田海が国内初制覇を果たした。

 川又玲瑛、井上祐二、原田、楢崎智亜、小西桂、佐野大輝の6名が進出した男子決勝は誰が勝っても初優勝となる顔触れで、さらに原田と楢崎以外の4名は初めてのBJC最終ラウンドとなった。

BJC初制覇がかかった楢崎智亜が、第1課題で好発進。

 序盤はダイナミックなランジ課題を楢崎が華麗に一撃して首位スタート。だが準決勝1位の川又も2アテンプトで完登し、同じ栃木県出身の16歳が世界王者に追いすがる。

 持ちにくいホールドが並んだ第2課題は第1課題を取りこぼした原田が一撃。それ以外は保持に苦しみ、唯一の完登者となった原田が息を吹き返した。

難関第2課題を完登した原田海。

 完登者なしに終わった第3課題を経て、迎えた最終課題。この時点では5人が1完登で並び、原田が唯一の3ゾーンで首位を維持していた。“持てるか、否か”のパワー系課題となった最終関門に、先頭の佐野、小西が挑むも惨敗。すると楢崎がここぞの場面でパワーを発揮し、3トライ目にTOPを捉える。2完登に到達して暫定首位に立った。

 直後の原田。ゾーン獲得数で大きなアドバンテージを得ている原田は、完登すれば優勝という状況。1トライ目でゴールまで迫ったが、手前のホールドを捉えきれない。ムーブは理解しているものの、2、3トライ目も失敗し刻々と時間が過ぎ去っていく。

 しかし4トライ目、ようやく決めきれなかった一手が止まると、一気にTOPまで登りきる。今大会は予選、準決勝、そして決勝と安定して上位に位置し、逆転する勝負強さもみせた原田。最後はホッとした表情もみせて、初優勝の味をかみしめた。

 2位には「世界王者対決」に敗れる格好となった世界選手権2019優勝の楢崎、3位には国内公式戦の初表彰台となった井上が入り、4位以下には川又、小西、佐野の十代選手が続いた。彼らの台頭も特筆すべき今大会のトピックであることは間違いない。上位に入ったことで今季のW杯参戦にも近づいている。

3位で国内初表彰台の井上。完登ごとの雄たけびや、プロジェクションマッピングで壁に映し出された愛妻へのメッセージでも会場を沸かせた。

準決勝を首位通過した16歳の逸材、川又。今後にさらなる期待を抱かせる活躍となった。

 2日間合計で昨年大会以上となる2,500名超の観客を集めた第15回BJC。準決勝で波乱が続いた男子だったが、最後は原田が“貫録の優勝”を成し遂げて、2020年の初戦を締めくくった。

<決勝リザルト>

1位:原田 海(日新火災)/2t4z 5 6
2位:楢崎 智亜(TEAM au)/2t3z 4 3
3位:井上 祐二(福井県山岳連盟)/1t3z 6 9
4位:川又 玲瑛(栃木県立宇都宮南高等学校)/1t2z 2 5
5位:小西 桂(慶応義塾大学)/1t1z 7 7
6位:佐野 大輝(ウィルスタッフ)/0t1z 0 6

※左から氏名、所属先、成績
※成績は左から完登数、ゾーン獲得数、完登に要した合計アテンプト数、ゾーン獲得に要した合計アテンプト数

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CREDITS

取材・文 編集部 / 写真 窪田亮

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