(左から)表彰台にがった野口啓代、伊藤ふたば、野中生萌

伊藤ふたば、3年ぶり2度目の日本一! ボルダリングジャパンカップ2020【女子決勝】

 9日午後、第15回ボルダリングジャパンカップ(BJC)の女子決勝(駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場=東京都・世田谷区)が行われ、2017年大会を史上最年少で制した伊藤ふたばが、最後のBJCとなった野口啓代らを抑え3年ぶり2度目の頂点に輝いた。

 伊藤、野口、野中生萌、松藤藍夢、森秋彩、谷井菜月が進出した女子決勝は、第1課題から明暗が分かれる。ゾーン獲得後の一手に体が引き剥がされなかった森、野口、伊藤が一撃する一方、野中はTOPをかすめるも完登ならず、谷井、松藤もゾーン獲得のみに終わった。

 じわじわと体力を奪う強傾斜の第2課題。この課題は持ち前の粘りで二撃した森と野中、一撃した野口が完登者となり、総合順位では完登に要したアテンプト数の差で野口が森を一歩リードする。

野口啓代の最後のBJCは、後輩に女王の座を譲り、準優勝に終わった。

 難関として立ちはだかったのが第3課題。スラブ(緩傾斜)のスタートが難所となり、2番手の森は何度もムーブに迷って先に進むことができない。その後の松藤、野中、野口も同様で、スタティック、ダイナミックそれぞれのムーブを試みるも攻略はできなかった。

 6番手で登場した伊藤も1トライ目を失敗し、完登者が現れないかと思われた2トライ目だった。思い切って繰り出したムーブがピタリと止まり、会場から大歓声が沸き起こる。そのまま最後まで登りきり、ゾーン獲得数の差で首位に躍り出た。

 最終第4課題は右手1本で止めにいくランジスタート。ダイナミックなムーブの連続トライに観衆が沸くなか、わずかに優勝への望みを繋ぐ一撃を野中が決め、暫定首位に浮上して後続の結果を待つことに。

 次に登るのは野口。東京五輪での競技引退を表明しているため、これが最後のボルダリングジャパンカップ、その最後となる課題で、野口は2トライ目にランジを決めると、大声援を背に完登。野中の2完登を抜いて3完登となり、最多を更新する12度目の優勝に向けて単独首位に返り咲いた。

最終課題を完登する伊藤ふたば。

 そして迎えた最終競技者の伊藤。ここで完登すると伊藤の優勝、できない場合は野口の優勝となる。伊藤はランジを決めるもののゾーン獲得までの間にずり落ちてしまい、歯がゆい展開に。しかし3トライ目に苦戦していたパートを上手く切り抜けると、最後は慎重にムーブを起こし、3年ぶり2度目となる女王の座を手にした。

 2位には最後のBJCとなった野口、3位には野中が入り、表彰台は2年連続で同じ顔ぶれに。4位以下は2003年生まれの森、谷井、松藤が続き、“黄金世代”の表彰台入りはならなかった。それでも、特に初めての出場で決勝までたどりついた松藤の健闘は大きく称えられるべきだろう。

森秋彩、谷井菜月と同学年で、初出場で決勝にたどりついた松藤藍夢(あのん)。

 優勝した伊藤も彼女たちの1つ年上、17歳とまだまだ若い。これからの日本女子を背負って立つであろう彼女たちの活躍が、ますます楽しみになる第15回大会となった。

<決勝リザルト>

1位:伊藤 ふたば(TEAM au)/3t4z 6 9
2位:野口 啓代(TEAM au)/3t3z 4 4
3位:野中 生萌(XFLAG)/2t3z 3 3
4位:森 秋彩(茨城県山岳連盟)/2t2z 3 3
5位:谷井 菜月(橿原学院高等学校)/0t2z 0 3
6位:松藤 藍夢(神奈川県山岳連盟)/0t2z 0 6

※左から氏名、所属先、成績
※成績は左から完登数、ゾーン獲得数、完登に要した合計アテンプト数、ゾーン獲得に要した合計アテンプト数

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CREDITS

取材・文 編集部 / 写真 窪田亮

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