世界初? 山形で移動型組立式の“曲面”ボルダリングウォールが登場
11~13日、トヨタカローラ山形による新車展示・販売会の催し「新春わがままカーニバル」が同県の「山形ビッグウイング」で行われ、ボルダリング体験エリアに仮設移動型の組立式としては“世界初”だという曲面ウォールが登場。多くの来場者が、美しい曲面が描かれた壁でボルダリングを楽しんだ。
体験エリアを担当したのは、国際ルートセッター・平松幸祐氏が手掛ける、山形が誇るボルダリングジム「FLAT BOULDERING」。世にも珍しいウォールは、手間暇をかけて直線の板から美しい曲面を生み出すことに長け、その曲面壁を中心に据える同ジムの施工も請け負った壁立て集団「BOTANIX」とのタッグで誕生した。
近年のボルダリング人気により、様々なイベントで「ボルダリング体験会」を目にする機会が多くなっているが、そこで主に活躍しているのがレンタル可能な組み立て式の仮設ウォール。そして、短期間での設置・解体のしやすさから、そのほとんどが平面型になっている。しかし、同会場に現れたのは曲面を持つボルダリングウォールだった。平松氏いわく「おそらく世界でも初めての試み」だという。
以前から「ジムに近いクオリティを外でも提供したい」「美しい曲面を持つ壁が移動式ウォールになれば面白い」と考えていた平松氏。そこに舞い込んできたのが、今回の出展依頼。大型イベントゆえ「自分の手に負えるだろうか」という不安から大手施工業者にすべてを任せることも考えたというが、このチャンスを逃すまいとBOTANIXに連絡。以前から仮設壁の制作に興味があったという代表の伊藤剛氏もすぐに快諾した。
そして「飲んでいたビールの缶を斜めに倒して、さらに斜めにスパッと切ったら面白い壁になりそう」と手書きで案を送ったところ、子供達が楽しそうに登る姿が想像できる魅力的なデザインが帰ってきたという。
制作期間はおよそ1カ月。仮設壁ながら、彼らが常設壁を作る際にも用いる、板を複数枚重ねる多重構造を取り入れた。そして「仮設壁であっても一切の妥協をゆるさない、BOTANIXの姿勢そのものが形となって壁に現れていくようだった」と平松氏も太鼓判を押すウォールが完成する。
実際のイベントでは、見た目の美しさもさることながら、「同じ壁面を登りながらも微妙に角度が変わってくるので、登りがいがある」(平松氏)と、曲面壁の魅力に惹かれた子どもたちを中心に何度もトライする参加者が続出。さらに仮設壁としては珍しく、マントルが返せる仕様になっているため、岩の頂上に登りきるような達成感も感じることができ好評だったという。3日間を通し、5,000人以上が訪れたという本イベント。同県出身の工藤花・空姉妹もデモンストレーションで会場を沸かせるなどして、老若男女を問わず多くの来場者がボルダリングを楽しんだ。
平松氏は「どこへ行ってもボルダリングの魅力を最大限に伝えることができる、最高の武器を手に入れた気分。FLATに足を運んだことがない方にも、それに近いクオリティーで初めてのボルダリング体験を提供する機会ができてうれしい」と話し、今後については「東京進出もしていきたい」と意欲をみせた。
CREDITS
文 編集部 / 協力 FLAT BOULDERING