伊藤ふたばがコンバインド初V! 森秋彩は5位/五輪予選大会【女子決勝】
1日、フランス・トゥールーズで開催中の五輪予選大会で女子決勝が行われ、日本の伊藤ふたばが8名による決勝を制し、3種目複合のコンバインドで自身初の頂点に立った。同じく決勝に進出していた日本の森秋彩は5位に終わった。
前日の男子決勝で藤井快が優勝し、2日連続での日本人金メダルに期待が高まるなか行われた女子決勝。予選は森が首位、伊藤が5位で通過し、順当にファイナルへと駒を進めていた。
第1種目のスピードは、第1レースから森が登場。しかしスピードを苦手とする森は、元世界記録保持者のユリア・カプリナ(ロシア)を前に為す術もなく敗れ、その後も2連敗。予選と同様、スピード最下位からのスタートとなってしまう。一方、初戦を制した伊藤は続くキーラ・コンディー(アメリカ)とのデッドヒートを落とすと、3位決定戦でも序盤のスリップが響いて敗れ、4位でこの種目を終える。
第2種目のボルダリングは、日本勢が上位争いをけん引する。先頭で登場した森は第1課題、3トライ目にトウフックを交えてピタリとゾーン取りを決めると、無駄のない動きで一気にTOPまで到達する。5番手の伊藤はそれを上回る二撃で仕留め、伊藤2位、森3位で第2課題へと進んだ。
ゾーンに付いたカチホールドへの飛びつきが攻略の肝となった第2課題。森は2トライ目で核心を捉えると、そのまま完登。伊藤も同じく2トライ目で沈め、伊藤が首位、森が2位に浮上した。最終課題は森が一撃し、伊藤は2トライ以上かけてしまうと1位から陥落するところだったが、何度も体勢を整えながら進む粘りのトライで一撃。会心のガッツポーズも飛び出して、総合順位でも伊藤が首位、森は5位に上昇した。
そして最終種目のリード。先頭を登るミア・クランプル(スロベニア)が最終パートに突入する高度32を保持した直後にフォールすると、2・3番手はそのホールドを取りに行く高度31+で力尽き、ここを越えられるかが上位進出の目安となった。この直後に4番手として森が登場。森は危なげなく高度31まで到達すると、32へのムーブを起こしかけた直後に後退。改めて体勢を整えて取りにいこうとしたが、その間に体力が消耗してしまったのかここで落下となった。
その後、クランプルの記録は破られないまま競技が進み、最終8番手の伊藤が登場する。この時点での総合暫定1位は30ポイントのジュリア・シャヌルディ(フランス)で、4ポイントの伊藤は7位以内で優勝の圧倒的優位な状況となった。伊藤は残された最後の力を振り絞りながら進んでいくと、カプリナの高度8を超え、7位以内が確定。24+で落下し7位に終わったが、合計28ポイントとなって見事に優勝を勝ち取った。
総合2位にはスピード3位、リード2位だったシャヌルディが入り、3位にはスピードとボルダリングで7位ながらもリードで1位を獲得したクランプルが逆転で入った。森はリードで2番目の高度31+をマークしたが、落下までの所要時間で4位に終わったことが影響し、表彰台には辿りつけず5位に終わった。
これで五輪出場枠が与えられる上位6名に日本人選手2名が男子に続いてランクインしたことになったが、国際スポーツクライミング連盟(IFSC)が示した“新解釈”では1つの国の選手が3枠以上を持つことはできないとされ、すでに世界選手権で野口啓代、野中生萌が枠を得た日本は枠の確保ができない状況だ。
IFSCは大会終了後、日本勢2人とスロベニア勢1人を除いた、9位ソン・イーリン(中国)までを含む上位6名が暫定的に五輪出場枠を得たと発表した。ヤンヤ・ガンブレットが世界選手権で枠を獲得しているスロベニアに関しては、今大会で3位にミア・クランプル、4位にルチカ・ラコヴェッチが入ったため、ラコヴェッチが出場枠を逃した形だ。しかし、解釈の変更を不服として日本山岳・スポーツクライミング連盟が提訴している内容がスポーツ仲裁裁判所(スイス・ローザンヌ)に認められれば、伊藤や森にも出場枠が与えられる可能性が残されている。
<女子決勝>
1位:伊藤 ふたば
28ポイント(S 4位/B 1位/L 7位)
2位:ジュリア・シャヌルディ(FRA)
30ポイント(S 3位/B 5位/L 2位)
3位:ミア・クランプル(SLO)
49ポイント(S 7位/B 7位/L 1位)
4位:ルチカ・ラコヴェッチ(SLO)
54ポイント(S 6位/B 3位/L 3位)
5位:森 秋彩
64ポイント(S 8位/B 2位/L 4位)
6位:ユリア・カプリナ(RUS)
64ポイント(S 1位/B 8位/L 8位)
7位:キーラ・コンディー(USA)
72ポイント(S 2位/B 6位/L 6位)
8位:ラウラ・ロゴラ(ITA)
100ポイント(S 5位/B 4位/L 5位)
リザルト詳細は国際スポーツクライミング連盟/大会ページから
CREDITS
文 編集部 / 写真 IFSC/René Oberkirch