スピード最下位からボルダリング2位、リード1位で逆転首位通過を果たした森秋彩

森秋彩が最下位からの逆転で首位通過!5位・伊藤ふたばと決勝へ/五輪予選大会【女子予選】

 29日、フランス・トゥールーズで開催中の五輪予選大会で女子予選が行われ、日本の森秋彩が首位、伊藤ふたばが5位で上位8名による決勝に進出した。

 第1種目のスピード。2人の日本勢は試技1本目から苦戦を強いられ、伊藤はゴールパッドのタッチミスに終わり、森は14秒台で下位に沈んでしまう。だが2本目で伊藤が盛り返し、9.003秒で7位に食い込むことに成功。森は少しタイムを縮めたものの、再び14秒台で22位の最下位スタートとなってしまった。

 第2種目のボルダリングは、ここで順位を上げておきたい森が奮起する。第1課題、ゾーン獲得後に足場がなく、そこからTOPホールドへたどり着くことに苦戦する選手が続出するなか、ランジに手間取り6トライ目でゾーンに到達した森は、高い柔軟性からヒールフックでゾーンホールドを足場とし、そのまま完登する。これで勢いがついた森は、第2、第4課題を一撃。ボルダリング2位となり総合順位でも一気に2位へとジャンプアップした。第1課題を取りこぼした伊藤は7位になるも、総合では5位に上昇する。

最終種目のリードでも、森が魅せる。(写真:IFSC/Eddie Fowke)

 最後のリードは、序盤にイタリアのラウラ・ロゴラがゴール取りまで迫る45+を記録。暫定首位の状況が続いた。これと同高度を世界選手権銀メダリストのミア・クランプル(スロベニア)がマークした直後、17番手で森が登場。森は慎重にムーブを重ねていくと、高度40を超え最終パートに突入。体が剥がされそうになるムーブにも耐えきると、大歓声を後押しに残り10秒を切ったなかで最後のランジにも成功。そのまま最終確保支点にロープをかけ、この日一番のハイライトと言ってもいい、残り4秒での完登に会場からは拍手が沸き起こった。

 その後に完登者が現れずリード唯一の完登者となった森は、合計44ポイントで同45ポイントのルチカ・ラコヴェッチ(スロベニア)を僅差でかわし、スピード最下位からの逆転で首位通過となった。リードで8位を記録し、各種目10位以内にまとめた伊藤も5位で通過。昨日行われた男子予選の藤井快、楢崎明智に続き、女子も日本勢2人が決勝進出となった。

伊藤ふたばはスピード7位、ボルダリング7位、リード8位の総合5位で決勝進出となった(写真:IFSC/Eddie Fowke)

<女子予選>

1位:森 秋彩
 44ポイント(S 22位/B 2位/L 1位)
2位:ルチカ・ラコヴェッチ(SLO)
 45ポイント(S 15位/B 1位/L 3位)
3位:ミア・クランプル(SLO)
 120ポイント(S 20位/B 3位/L 2位)
4位:ラウラ・ロゴラ(ITA)
 256ポイント(S 16位/B 4位/L 4位)
5位:伊藤 ふたば
 392ポイント(S 7位/B 7位/L 8位)
6位:ジュリア・シャヌルディ(FRA)
 420ポイント(S 10位/B 6位/L 7位)
7位:ユリア・カプリナ(RUS)
 441ポイント(S 1位/B 21位/L 21位)
8位:キーラ・コンディー(USA)
 528ポイント(S 6位/B 8位/L 11位)
―――――
9位:ソン・イーリン(CHN)
 760ポイント(S 2位/B 20位/L 19位)
10位:ファニー・ジベール(FRA)
 845ポイント(S 13位/B 5位/L 13位)
11位:マーゴ・ヘイズ(USA)
 950ポイント(S 19位/B 10位/L 5位)
12位:サンドラ・レトナー(AUS)
 1,008ポイント(S 8位/B 14位/L 9位)
13位:アランナ・イップ(CAN)
 1,080ポイント(S 12位/B 9位/L 10位)
14位:キム・ジャイン(KOR)
 1,260ポイント(S 14位/B 15位/L 6位)
15位:アヌーク・ジョベール(FRA)
 1,440ポイント(S 4位/B 18位/L 20位)
16位:エリーズ・スーザンティ・ラハユ(INA)
 1,452ポイント(S 3位/B 22位/L 22位)
17位:アレクサンドラ・カルッカ(POL)
 1,710ポイント(S 5位/B 19位/L 18位)
18位:サ・ソル(KOR)
 1,728ポイント(S 9位/B 16位/L 12位)
19位:ツァン・ユートン(CHN)
 2,618ポイント(S 11位/B 17位/L 14位)
20位:エフゲニア・カズベコワ(UKR)
 2,805ポイント(S 17位/B 11位/L 15位)
21位:エラン・レカビ(IRI)
 3,978ポイント(S 18位/B 13位/L 17位)
22位:アシマ・シライシ(USA)
 4,032ポイント(S 21位/B 12位/L 16位)

※上段左から順位、氏名、所属国
※下段左から各種目順位の値を掛け合わせた総合ポイント、各種目順位(S=スピード、B=ボルダリング、L=リード)
※同ポイントの場合、順位が上回った種目数の多い選手が上位。

リザルト詳細は国際スポーツクライミング連盟/大会ページから

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CREDITS

編集部 / 写真 IFSC/René Oberkirch

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