五輪予選に向け、スポーツクライミング日本代表が出発
25日、フランス・トゥールーズで開催される五輪予選大会に向けて出発する日本代表選手が羽田空港で取材に応じた。
現在、日本人選手は五輪の出場枠をこれ以上得られないとする新たな解釈を示したとして、日本山岳・スポーツクライミング協会は国際スポーツクライミング連盟をスイス・ローザンヌにあるスポーツ仲裁裁判所に提訴している。判決は出ておらず、出場枠が得られる男女6位以内に入ったとしても、日本人選手はどういった扱いになるかが不透明のままだ。
選考問題について、最初は驚きや不安を覚えたと話した選手たちだが、今は気持ちを切り替えている様子で、「そこは割り切れている。優勝を目指して練習してきたことに変わりはない」(藤井快)、「頑張ることしか私にはできない」(伊藤ふたば)など、前向きなコメントが並んだ。
大会は今月28日から12月1日にかけて行われ、日本からは男子が藤井、楢崎明智、杉本怜、土肥圭太の4名、女子が伊藤、森秋彩の2名が出場する。以下、日本代表選手たちのコメント。
藤井快コメント
「できることは全部してきたので、コンディションはかなり仕上がってきている。特にリードを中心にトレーニングしてきた。(選考問題について)最初に聞いた時はすごく悩んだ。『なんのために練習してきたんだろう』と、かなり不安だったのが正直なところ。でも、優勝を目指して練習してきたことに変わりはない。優勝できれば、来年に向けていろいろと前向きに捉えられると思っている。選考の問題はまだ解決していないが、(今は)そこまで自分の中では問題になっていない」
楢崎明智コメント
「一番最初に(選考問題の話を)聞いたときは、(新解釈では2人目の五輪日本代表となる原田)海君もめちゃくちゃ強いので、納得してしまった自分がいた。でもあとから考えると負けを認めてしまうというか、すごく悔しく感じて、今は五輪に出たいという気持ちが出てきている。(兄の)智君や野口(啓代)選手から『実力を出せば明智ならできる』と言ってもらえて、トレーニングも頑張ってこれた。大会ではアダム(・オンドラ)を倒したいという気持ちがある」
杉本怜コメント
「(出場既定の変更で急きょ出場となったが)万全とは言えないが、最低限の準備はしてきている。最初は戸惑ったが、今は吹っ切れている。出られることは光栄で、大会自体を楽しんで、全力を尽くしていきたいと思う。選手は大会に向けてしっかり準備をして、結果を残すことが大事。選考に関しては天に運を任せるとしか言いようがないが、それ以前に選手はいいパフォーマンスをしなくていけないと思う」
森秋彩コメント
「調子は3種目ともいい感じで、スピードはムーブが固まってきて、ちょっとずつスムーズになってきている。(選考問題の話を聞いたときは)今まで五輪に向かって頑張ってきていたので、それが急に途絶えてしまうのはすごく残念だし、今まで何をしてきたんだろうという気持ちになった。でもお母さんから『五輪に出れても出られなくても、クライミングを楽しむ気持ちは変わらないし、五輪に出るためだけにクライミングを始めたわけじゃないから、そんなに気にしなくていいよ』と言われて、それから前に比べると気にならなくなった。不安や緊張はあるが、まずは一つ一つの選考を確実に勝ち抜いて、ちょっとずつオリンピックに近づいていけたらいいなと思っている」
伊藤ふたばコメント
「トゥールーズに向けてしっかりトレーニングは積んできたので、調子は悪くないかなと思う。3種目全体的にトレーニングしてきたが、リードの底上げと、ボルダーはしっかり1位を取れるようなトレーニングをしてきた。(騒動については)特に変わりはない。トゥールーズに向けて頑張ることしか私にはできないので。(大会の目標や、勝ちたい海外選手はいるか)他の選手に対してはない。自分自身が優勝したいと思って、優勝を目標に出場する」
CREDITS
取材・文・写真 編集部