男子表彰台=(左から)本間大晴、アダム・オンドラ、楢崎智亜

日本勢3名が表彰台に。本間、野口2位、楢崎智3位/リードW杯2019第5戦 廈門大会

 19・20日、リードW杯2019第5戦が中国・廈門で行われ、男子で2位に本間大晴、3位に楢崎智亜が入ると、女子でも野口啓代が2位となり日本勢3名がメダルを獲得した。

 男子決勝には、原田海、楢崎明智、本間、楢崎智亜の日本人4選手が進出した。先頭の楢崎智は直線的で短いルートを素早く登っていくと、制限時間を半分以上残す2分40秒での完登を果たし、いきなり優勝の最低条件を完登に引き上げて後続に大きなプレッシャーをかけることに成功した。しかし3番手の本間も完登し、準決勝成績へのカウントバックで楢崎智を抜き暫定1位につけた。

 続く楢崎明らが高度を伸ばせずにいると、7番手で年間ランキング暫定1位、アダム・オンドラ(チェコ)が登場する。この大会が今季W杯最後の出場となるため、年間王者に向けて優勝を取りたいオンドラは安定したムーブを繰り返し続けていくと、ついにTOPまで到達。観客を煽る定番のパフォーマンスも飛び出して最終支点にロープをクリップした。

 準決勝を1位通過した最終8番手の原田にとって、登りきればカウントバックで金メダルが決まるトライとなったが、優勝が目前に迫ったTOPホールドへのランジを失敗してフォール。この結果、前ラウンドで上位だったオンドラが1位となり、年間ランキングでも自身3度目の年間王者を確定させた。そして2位にはW杯初表彰台となる本間、3位には楢崎智がランクインした。

続く女子決勝では野口啓代が昨年の同大会以来のリードW杯表彰台に上がった。

 女子決勝には、日本から野口啓代、森秋彩、谷井菜月の3人が駒を進めた。2番手で森が登場したが、序盤で距離の遠いムーブに苦戦し、まさかの高度10でフォールしてしまう。しかし3番手の谷井が森と同じ地点をダイナミックにクリアすると、TOPホールドに手をかける37+で暫定1位となった。

 その後、5番手のキム・ジャイン(韓国)が残り4秒で完登すると、6番手の野口は52秒を残して完登する。それをさらに凌いだのが8番手のソ・チェヒョン(韓国)で、ここまで3戦で優勝し年間1位につける勢いそのままに、1分46秒を残す驚異的な速さで完登してみせた。最後を登るヤンヤ・ガンブレット(スロベニア)も完登してくると思われたが、TOPホールドを掴みきれなかった。

 ソはこれで今季4勝目となり、デビューシーズンで年間3連覇中だったガンブレットから女王の座を奪う快挙を達成した。2位には昨季の同大会以来の表彰台となった野口、3位にはキムが入ってアジア勢が表彰台に並び立った。健闘した谷井は5位、森は9位と悔しい結果となった。

男女ともに年間王者が決定したリードW杯2019シーズンの年間ランキング(第5戦終了時点)。原田海が2位、森秋彩が4位に浮上した。

 また、18・19日には同会場でスピードW杯2019の最終戦も開催され、男子は予選で世界記録にあと0.01秒となる5.490秒をマークした地元・中国のツォン・キシンがそのまま勝ち進んで優勝。女子ではインドネシアのエリーズ・スーザンティ・ラハユが優勝を決めるビッグファイナルで女性初の6秒台、6.995秒を叩き出し、最終戦にして今季初優勝を収めた。日本勢は6.582秒だった藤井快の31位が男子最高。女子は唯一出場した森が13.097秒で49位だった。年間ランキングでは男子のバッサ・マウェム(フランス)が連覇し、女子はこの大会で“前”世界記録保持者となったソン・イーリン(中国)が初の栄冠に輝いた。

いよいよ女子スピード界も6秒台に到達。(写真:IFSC/Eddie Fowke)

世界記録更新&優勝を決めて喜びを爆発させるエリーズ・スーザンティ・ラハユ。世界記録更新のムーブには楢崎智亜が編み出した“トモアスキップ”が取り入れられていた。(写真:IFSC/Eddie Fowke)

<リード決勝>

[男子]
1位:アダム・オンドラ(CZE)/TOP ※準決勝2位
2位:本間 大晴/TOP ※準決勝6位
3位:楢崎 智亜/TOP ※準決勝8位
4位:原田 海/31+
5位:アルベルト・ヒネス・ロペス(ESP)/29+
6位:楢崎 明智/26
7位:ジェシー・グルーパー(USA)/25+
8位:ショーン・ベイリー(USA)/23+
―――――
11位:藤井 快 ※準決勝進出
39位:波田 悠貴
40位:土肥 圭太

[女子]
1位:ソ・チェヒョン(KOR)/TOP ※準決勝1位
2位:野口 啓代/TOP
3位:キム・ジャイン(KOR)/TOP
4位:ヤンヤ・ガンブレット(SLO)/37+ ※準決勝1位
5位:谷井 菜月/37+ ※準決勝7位
6位:ルチカ・ラコヴェッチ(SLO)/37+ ※準決勝8位
7位:ツァン・ユートン(CHN)/34+
8位:エフゲニア・カズベコワ(UKR)/31+
8位:森 秋彩/10
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10位:平野 夏海
10位:田嶋 あいか
18位:廣重 幸紀
26位:小武 芽生

※左から氏名、所属国、決勝成績(到達高度)
※野口、キムは予選、準決勝とも同順位のためクライミングタイムで順位を決定

<スピード決勝>

[男子]
1位:ツォン・キシン(CHN)/7.208秒
2位:レフ・ルーダツキー(RUS)/fall
3位:ウラジスラフ・デューリン(RUS)/5.635秒
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31位:藤井 快/6.582秒
34位:楢崎 明智/6.826秒
36位:土肥 圭太/6.873秒
39位:楢崎 智亜/7.147秒
62位:原田 海/fall

[女子]
1位:エリーズ・スーザンティ・ラハユ(INA)/6.995秒 ※世界新
2位:ソン・イーリン(CHN)/9.032秒
3位:マリア・クラサヴィナ(RUS)/7.947秒
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49位:森 秋彩/13.097秒

※左から氏名、所属国、成績
※1・2位はビッグファイナル(1位決定戦)、3位はスモールファイナル(3位決定戦)の記録

リザルト詳細は国際スポーツクライミング連盟/大会ページから

CREDITS

篠幸彦 / 写真 窪田美和子/アフロ

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