全国の小学生クライマーが参加。第2回ボルダリング小学生競技大会が開催

 9月28・29日、「TOKIOインカラミ Presents 第2回ボルダリング小学生競技大会 IN INAGI」がテレビ朝日 若葉台メディアセンター(東京都・稲城市)にて開催され、昨年大会を上回る小学生が全国から集い日々の練習成果を披露した。

 子どもたちの成長を後押しすべく誕生したこの大会。今大会には、北は北海道、南は沖縄まで、2日間でおよそ230名がエントリー。保護者も合わせ多くの方で賑わった。

予選ラウンドの模様。2日間で計16課題を登る。

他人の登りを見ることができるセッション方式を採用。審判は公式大会も担当する東京都山岳連盟が務めた。

 大会は初日に小学3・4年生男女混合、5・6年生各男女の予選第1ラウンドと小学1・2年生が対象のセッションを、2日目に予選第2ラウンドと小学5・6年生の決勝を行い、予選は各ラウンド8課題、決勝は5課題で、1課題につき5トライまでの制限が付いたセッション方式で実施された。

 予選では、多くのユース世代を指導し、チーフセッターやMCとして大会に協力する伊東秀和氏が「昨年よりもレベルが上がっている」と話した通り、全16課題を一撃する選手が現れ、会場からは驚きの声があがった。

予選全16課題を一撃して首位通過した青森出身の小学6年生、関川愛音。

決勝MCとして(左から)大場美和、永田乃由季、伊東秀和が登場。

 迎えた小学5・6年生決勝。先に行われた女子では、前回大会準優勝の関川愛音(せきかわ・めろでぃ)と同3位の望月萌叶(もちづき・もか)が1年を経て成長した姿をみせる。予選をすべて一撃し首位で通過していた関川はここでも一撃を続け、全課題オンサイトに王手をかける。しかし最後の課題でドーム型のハリボテがムーブの障害となり、ゴール取りに苦戦。トライを重ねてしまう。

 関川が手間取る間に、追い上げをみせていた望月が全課題を完登。制限時間の残り半分以上を残し早々に競技を切り上げる。登れない悔しさと焦りからか涙を流す関川だったが、最終5トライ目。大声援が沸き起こる中でスタートを切った関川はついにTOPホールドを捉える。最終成績でもゾーンのアテンプト数で望月を上回り、涙を笑顔に変えて2位に終わった昨年大会の雪辱を果たした。

決勝全課題を一番乗りで完登した望月萌叶。

最後の課題に苦戦し、涙する関川。

しかし“5度目の正直”で完登。笑顔を見せる。

 男子の部ではゴール取りで落ちる展開が多くなり、渾身の一手の連続に会場はさらにヒートアップする。この状況で優位に立ったのは予選全課題一撃の加藤頼斗(かとう・らいと)。エネルギッシュなムーブで4つの課題を落とし、完登に要したアテンプト数の差で2位以下を振り切った。

 子どもたちのひた向きなクライミングの連続に会場が沸いた第2回小学生ボルダリング競技大会。伊東氏が「参加者同士が応援する場面も見られた。ライバルを応援する気持ちは成長するために大事な要素」だと語ったように、それぞれが声援を送り合う姿も印象的だった。

5・6年生男子で優勝した加藤頼斗。加藤も予選全16課題を一撃した。

 

関川愛音コメント(5・6年生 女子優勝)
「めっちゃ嬉しいです。みんなが沢山応援してくれたおかげで優勝することができました。(涙について)途中、萌叶ちゃんの登りをあまり見てなくて、アテンプトの差で負けたと思っていた。でも最後に登れた時は嬉しかったです。(今後の目標は)沢山ユースの大会で結果を残して、世界ユースの代表にも招集されるようにして、オリンピックで金メダルを獲りたいです」
 

加藤頼斗コメント(5・6年生 男子優勝)
「とても嬉しいです。(大会に向けて)これまで行ったことのないジムに行ったり、1回で登る練習をしてきました。決勝課題は難しかったけどとても楽しかったです。(今後の目標は)出た大会は全部優勝したい。日本代表にもなりたいです」
 
伊東秀和氏コメント
「昨年に比べて全体的にレベルが上がってきている。難易度を上げ、色々なタイプの課題を設定したが、それでも全完登が出るようなレベルだった。特に決勝は完登が出ないんじゃないかというギリギリのところを攻めたが、そこを抜けてきた。数年後には世界ユースなどで活躍が期待できる子がここから出てくるのではと感じている」

「印象的だったのは選手同士が応援し合っていたこと。なかなか大会中は自分のクライミングに集中していて、他の選手を応援するゆとりが持てないことも多い。周りの選手を応援できる気持ち、ライバルでも完登したら喜べる気持ちは、成長するためにすごく大事な要素。そこが見えたので、この世代は本当に楽しみ。この大会はただ順位付けをすることが目的ではないので、2日間でクライミングを楽しんでもらって、モチベーションに繋がるような、何かのきっかけになってくれるといいですね」
 

<小学5・6年生女子>


1位:関川 愛音(せきかわ・めろでぃ)/5t5z 9 5
2位:望月 萌叶(もちづき・もか)/5t5z 9 7
3位:小田 菜摘(おだ・なつみ)/3t4z 7 8

<小学5・6年生男子>


1位:加藤 頼斗(かとう・らいと)/4t5z 7 7
2位:栗田 瑛真(くりた・えま)/4t5z 10 9
3位:西尾 洸音(にしお・ひろと)/3t5z 6 9

<小学3・4年生男女混合>


1位:小山 楚嵐(こやま・そらん)/16t16z 18 16
2位:齋藤 紗里依(さいとう・さりい)/15t16z 19 16
3位:宮川 幸大(みやがわ・こうた)/15t16z 21 17

※左から氏名、決勝成績(小学3・4年生は予選総合成績)
※成績は左から完登数、ゾーン獲得数、完登に要した合計アテンプト数、ゾーン獲得に要した合計アテンプト数

「第2回ボルダリング小学生競技大会 IN INAGI」大会公式ページ

CREDITS

取材・文 編集部 / 写真 大杉和広

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