男子表彰台=(左から)原田海、アダム・オンドラ、アルベルト・ヒネス・ロペス

原田海が銀メダル獲得/リードW杯2019第4戦 クラーニ大会

 現地時間28・29日、リードW杯2019の第4戦がスロベニア・クラーニで開催され、女子は韓国のソ・チェヒョンが今季3勝目をマークし、男子はチェコのアダム・オンドラが圧巻の登りで制した。日本勢では原田海が2位となり、リード種目ではW杯初のメダル獲得となった。

 先に行われた女子決勝は昨季女王ヤンヤ・ガンブレット(スロベニア)やキム・ジャイン(韓国)が準決勝で敗退する波乱の展開。そんな中、日本勢から首位通過となった森秋彩をはじめ、平野夏海、小武芽生の3人がファイナル進出を果たした。

 先頭を登る小武は、中間部で横に距離のあるホールドへ飛びつくもわずかに届かず。高度20+で競技終了となった。そこを難なくクリアしたのが2番手のジェシカ・ピルツ(オーストリア)。最終面手前まで高度を伸ばすとボテのパーミングが止まらずにフォール。34.5を記録した。するとこの2人の高度を基準に上位と下位がくっきりと分かれる展開となる。

 ミア・クランプル(スロベニア)、平野が小武と同じ箇所でフォールすると、アナーク・バーホーベン(ベルギー)は34+で暫定2位につける。そして今季すでに2勝している15歳のソは高度20をクリアして34まで到達。上部のボテに右手をかけ、左手で35を取りにいったが掴めず。記録は34.5+となり、暫定首位に立った。

 ルチカ・ラコヴェッチ(スロベニア)が34+で終わり、最後に登場したのが予選から首位を維持していた森。同世代のライバルに勝って初優勝を決めたいところだったが、小武や平野と同様に距離の遠さに苦戦して20+でフォールとなった。

 優勝したソは今季4戦を終えて優勝3回、準優勝1回と驚異的な強さを示し、3シーズン連続年間女王のガンブレットからその座を奪おうとしている。

 続く男子決勝には日本から原田と藤井快が駒を進めた。先頭のショーン・マッコール(カナダ)がハイテンポな登りで30+とまずまずの高度を記録すると、2番手に藤井が登場。藤井は中間部のダブルダイノを難なくクリアしてマッコールの高度に迫るが、キョンから体を入れ替えるときにカチにかけた右手が抜けてしまいフォール。記録は27+となった。

 その後アルベルト・ヒネス・ロペス(スペイン)が31.5+で暫定首位となり、原田の出番が回ってくる。8月の世界選手権で単種目のファイナリストに名を連ねるなど、今季リードが好調の原田。ここでも順調に高度を伸ばし、ロペスと同高度まで到達するもルーフ部分の処理に手間取りフォール。しかし記録は32で、ロペスを僅差で抜いて首位に浮上した。

 残るは強豪のヤコブ・シューベルトとオンドラの2人。だがシューベルトが下部でムーブの選択ミスを犯してまさかの12+でフォール。これで原田の2位以上が決まり、オンドラが登場する。

 オンドラはロペス、原田が落ちたルーフを巧みな身のこなしで切り抜けると、未踏の最終面に到達する。最後は左手でTOPホールドをしっかり掴んで見事に完登。何度も会場を煽る余裕を見せるなど、圧倒的なパフォーマンスでの優勝に会場はスタンディングオベーションで湧いた。

 原田は今季シャモニー大会でリードW杯決勝に初めて進出し、2度目の決勝となった今大会で銀メダル獲得と大きな結果を残した。藤井は最終的に5位で終えた。次戦は10月19・20日に中国・廈門で開催される。

 

<決勝>

[女子]
1位:ソ・チェヒョン(KOR)/34.5+
2位:ジェシカ・ピルツ(AUT)/34.5
3位:ルチカ・ラコヴェッチ(SLO)/34+ ※準決勝2位
4位:アナーク・バーホーベン(BEL)/34+ ※準決勝5位
5位:森 秋彩/20+ ※準決勝1位
6位:平野 夏海/20+ ※準決勝4位
7位:ミア・クランプル(SLO)/20+ ※準決勝6位
8位:小武 芽生/20+ ※準決勝8位
―――――
23位:伊藤 ふたば ※準決勝進出
24位:廣重 幸紀 ※準決勝進出
29位:森脇 ほの佳

[男子]
1位:アダム・オンドラ(CZE)/TOP
2位:原田 海/32
3位:アルベルト・ヒネス・ロペス(ESP)/31.5+
4位:ショーン・マッコール(CAN)/30+
5位:藤井 快/27+
6位:ステファノ・ギソルフィ(ITA)/25+
7位:ヤコブ・シューベルト(AUT)/12+ ※準決勝3位
8位:マーティン・ストラニク(CZE)/12+ ※準決勝5位
―――――
9位:杉本 怜 ※準決勝進出
22位:本間 大晴 ※準決勝進出
29位:波田 悠貴
33位:楢崎明智
41位:土肥 圭太

※左から氏名、所属国、決勝成績

リザルト詳細は国際スポーツクライミング連盟/大会ページから

CREDITS

篠幸彦 / 写真 窪田美和子/アフロ

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