“みんなで楽しむ”新たなチーム対抗戦が開催/第1回 JAPAN BOULDERING PROJECT CUP

 22日、新しい形のボルダリングコンペティション「第1回 JAPAN BOULDERING PROJECT CUP(以下、JBPカップ)」がテレビ朝日 若葉台メディアセンター(東京・稲城)で開催され、150名近くの参加者が“クライミングづくし”の1日を楽しんだ。

 JBPカップは多方面からスポーツクライミングを支えるサポートカンパニー、ジャパンボルダリングプロジェクトが主催するボルダリングのチーム対抗戦。豪華ゲストクライマーをリーダーに迎え、チームで優勝を争うフォーマットが話題を呼び、会場には定員に迫る人数の参加者が集まった。

大会MCはスポーツクライミング中継の実況解説でお馴染みの星野大輔、伊東秀和の2人が務めた。

 チーム数は10で、参加者は各チームにレベル別でバランスよく振り分けられた。ゲストには野口啓代、杉本怜ら日本を代表するトップクライマーが勢揃い。MCのかけ声で登壇すると大きな拍手で迎えられ、土肥圭太が「先輩ばかりだが遠慮せず本気で優勝を狙いにいく。みなさん頑張りましょう」と話すと、野口も「チーム戦が得意なので本気で優勝を目指したい」と意気込んだ。

ゲストとして登場した(左から)廣重幸紀、波田悠貴、野口啓代、永田乃由季、土肥圭太、杉本怜、小西大介、小武芽生、工藤空、工藤花、大場美和の11名。

抽選を行い、その場でリーダーとなるチームが決定。

 予選は各チームが4つのエリアを周り、1エリア45分の制限時間内に1人あたり5課題、計180分で20課題を登るセッション方式で進行した。このラウンドではゾーン到達で1ポイント、完登するとさらに1ポイントを加えて計2ポイントとなり、その合計ポイント数で上位を争う。はじめは珍しいチーム戦に戸惑いが見られたが、徐々に慣れたのか声を掛け合うシーンも見られ、特に多く参加していた小学生は疲れ知らずの体力で絶えずトライを続けていた。

予選前にラウンドの説明をする野口。円陣も組んでチームの士気を高めた。

予選ラウンドは制限時間内ならば何度でも課題に挑戦でき、他人の登りも見ることができるセッション方式で進行。

 予選ラウンド終了後、お昼休憩を挟んでリーダーによるルートセットが行われた。ゲストは1人1課題をセットし、その後に互いが作ったコースを登り合う。参加者にとっては、トップクライマーのルートセットを間近で見られる貴重な機会にもなった。

 そして行われたゲストクライマー対決。ここで与えられるのはゾーン到達で2ポイント、完登で4ポイント。チームリーダーを応援するべく、熱気高まる中で行われた決戦は予選4位チームのリーダー杉本が早々に9課題を仕留めて会場を沸かせた。しかし自らがセットした強傾斜課題をなかなか落とせず、全完登を目前に足踏みしてしまう。さらには野口が使用してはいけないホールドを用いる反則を犯すなど、珍しいシーンも飛び出す。

ゲストクライマー対決もセッション方式で行われた。

トップクライマーたちの登りに盛り上がる会場

 最後は敵味方関係なく声援が飛び交い、これで全ラウンドが終了。接戦を制したのは予選からの首位を守り切った廣重幸紀チームだった。廣重は自身のチームについて「アドバイスすると次のトライで工夫していて、みんな対応力があった」と話し、「暫定1位だと聞いてすごい緊張していた。でもみんなが頑張ってくれたおかげで優勝ができた」と喜びの表情をみせた。

 表彰はチームを対象に行われ、優勝チームには岡山県を中心に自然の岩場などをめぐる“クライミングと音楽の祭典”「瀬戸内JAM」の参加権や旅行券などが送られた。

3位発表を待つ“ノブ”こと永田乃由季(右)。普段はルートセッターとして活躍する永田は、愉快なキャラクターで終始会場を盛り上げた。

チームが優勝し喜ぶ廣重。

 大会後にはオードブルやクラフトビールなどが用意されたアフターパーティも開かれ、ゲストクライマーも参加。ところどころで即席のサイン会がスタートするなど、普段はできない交流で賑わった。はじめてチームコンペに参加したという小学4年生も大会を楽しんだ様子で、「最初は少し緊張したけど、色んな選手に会えたり、生で登りを見られたりして嬉しかった」と笑顔で話してくれた。

 大会実行委員長の小田部拓氏は「年々コンペのレベルも上がってきている中で、もっとファンクライマーが参加できる大会を開きたかった。意外にも小学生が多く参加してくれて、大人と子供の世代を超えたセッションができた」と話し、「トップクライマーの登りも見られるし、上手い人から初心者まで、幅広くみんなで楽しく登れる。日本ではどうしても究める人が偉いかのような節があるので、『みんなで楽しもうよ』っていうのが大会のコンセプト。それは続けていきたい」と来年以降の開催にも意欲をみせた。

 様々な面で“クライミングづくし”となった第1回JAPAN BPULDERING PROJECT CUP。最後まで絶えなかった多くの笑顔が、今後も続く大会になることを予感させた。


廣重幸紀コメント(優勝チームリーダー)
「チーム戦は初めてだったが、予選から見ていて、個人戦のクライミングではない一体感を感じられてすごく楽しかった。決勝はチームの声援もあって頑張れたし、チームのために頑張るとこんなに力が出るんだとびっくりした。『いつも応援してます』って声を掛けて下さる方もたくさんいて、これから出場するリードW杯を改めて頑張ろうと思えた」

JAPAN BOULDERING PROJECT CUP 2019 公式サイト

CREDITS

取材・文 編集部 / 写真 鈴木奈保子

back to top