野口啓代、涙の五輪代表内定/IFSCクライミング世界選手権2019八王子【コンバインド女子決勝】
20日、IFSCクライミング世界選手権2019八王子(エスフォルタアリーナ八王子)はコンバインド女子決勝を行い、2位に入って日本人最上位となった野口啓代が東京2020オリンピック日本代表に内定した。
日本から野口、森秋彩、伊藤ふたば、野中生萌が進出した決勝。第1種目のスピードでは、初戦で野口と野中が激突。緊張した面持ちで登場していた野口は、ほぼ互角の戦いとなったレース終盤のランジパートで足をスリップさせてしまい、野中に勝ち抜けを許してしまう。森、伊藤も初戦に敗れ、伊藤は敗者によるトーナメントを無敗で5位、野口7位、森8位となり、野中は勝者によるトーナメントで2敗を喫し4位スタートとなった。
続くボルダリングは、上位を取るしかない野口が第1課題で底力を発揮。パワーとテクニックを駆使し、会心の一撃を決める。さらに第2課題は2トライで沈め、第1課題を登った森とショウナ・コクシー(イギリス)がゴール前で力尽きたため1完登差で首位に。第3課題を登りきればこの種目1位が決まる展開に持ち込んだ。
最終関門は、横移動した先のゾーンを掴めるかが肝の緩傾斜課題。完登したい野口だったが、バランス取りに大苦戦。ゾーンまでたどり着けず順位は後続の結果次第となった。その後、完登で逆転1位のチャンスがあったガンブレット、野中、コクシーいずれもゾーンなし。野口がこの種目1位を獲得し、コクシーに1ポイント差と迫る7ポイントとなって日本人トップの総合2位に浮上した。
最終種目のリードは、先頭で登場したこの種目の今大会銅メダリスト、森が魅せる。持ち前の持久力で高度を上げていくと、ゴール取りのランジも成功。15歳の奮闘に会場からは歓声とどよめきが沸き起こった。
その後は伊藤が27、野中が23+に終わり、この時点の暫定順位で野口の日本人1位が確定する。7番手で登場した野口は大歓声を後押しにみるみると高度を上げていくと、TOP目前まで到達。ゴール取りで試みたランジは惜しくも失敗したが、この種目暫定3位につけた。
最終競技者のコクシーは高度20で終わり、これで総合順位が確定。森の到達時間を上回る完登でリード1位となったガンブレットが逆転で優勝し、2位に野口、3位にコクシーが入った。野口は念願だった東京2020オリンピックの代表内定を決め、目には涙を浮かばせた。
野中は5位、森は6位、伊藤は7位に終わり、7位以内かつ日本人2位の野中は規定によりオリンピック出場に近づく優先出場枠を得た。
<決勝リザルト>
1位:ヤンヤ・ガンブレット(SLO)
12ポイント(S 6位/B 2位/L 1位)
2位:野口 啓代
21ポイント(S 7位/B 1位/L 3位)
3位:ショウナ・コクシー(GBR)
42ポイント(S 2位/B 3位/L 7位)
4位:アレクサンドラ・ミロスラフ(POL)
64ポイント(S 1位/B 8位/L 8位)
5位:野中 生萌
80ポイント(S 4位/B 4位/L 5位)
6位:森 秋彩
80ポイント(S 8位/B 5位/L 2位)
7位:伊藤 ふたば
120ポイント(S 5位/B 6位/L 4位)
8位:ペトラ・クリングラー(SUI)
126ポイント(S 3位/B 7位/L 6位)
リザルト詳細は国際スポーツクライミング連盟/大会ページから
CREDITS
取材・文 編集部 / 写真 窪田亮