“ラッキーボーイ”が初優勝。女子はミロスラフが2連覇達成/IFSCクライミング世界選手権2019八王子【スピード決勝】
17日夜、IFSCクライミング世界選手権2019八王子(エスフォルタアリーナ八王子)のスピード決勝が行われ、女子はアレクサンドラ・ミロスラフ(ポーランド)が2連覇を達成。男子はルドヴィコ・フォッサリ(イタリア)が初優勝した。
有力選手が並んだ女子決勝は、勝ち上がりも順当な結果に。今年7.101秒の女子世界記録を樹立したソン・イーリン(中国)と前回大会女王のミロスラフが準決勝で激突した。楢崎智亜の編み出したトモアスキップを採用するソンはベスト8で自身の世界記録に迫る7.192秒をマークしての勝ち上がり。結婚により新たな名字となったミロスラフもさらなる飛躍を狙うべく、7秒台前半を連発していた。
事実上の決勝戦は序盤からソンがリードし、世界記録を0.03秒上回るペースで終盤にたどり着く。しかし、まさかのスリップを犯してしまい、ミロスラフがビッグファイナルに進出した。
最終ラウンドでミロスラフと相対するのは中国のニウ・ディー。それまでの決勝3ラウンドすべてを接戦で制してきた。戦いはここでもトモアスキップを取り入れるニウがややリードする。だがミロスラフが徐々に挽回し、僅差で前に出たところでニウがつまづく。そのままゴールしたミロスラフは7.129秒で優勝。歓喜の涙を流し、大会2連覇を達成した。
一方の男子では、まさかの展開に。1回戦で予選首位のドミトリー・チモフェーエフ(ロシア)、現在ワールドカップ年間1位のバッサ・マウェム(フランス)が、ベスト8で世界記録保持者のレザー・アリプアシェナ(イラン)、世界選手権最多5度優勝のツォン・キシン(中国)が姿を消していく。
ビッグファイナルに勝ち残ったのは同14位のルドヴィコ・フォッサリ(イタリア)と同10位のヤン・クリツ(チェコ)の意外な組み合わせに。フォッサリはトーナメント初戦から落下、フライング、そしてフライングと、3戦すべて相手のミスに助けられての勝ち抜きだった。
最終決戦は出だしから互角に進んでいき、さらに連続で足を滑らした動きが2人ともシンクロするなど、より白熱したレースとなる。最後もほぼ同じタイミングでゴールパッドに手を伸ばすが、何とクリツがタッチミス。またもや相手のミスに助けられたフォッサリは人目もはばからず涙を流し、ラッキーボーイとなったイタリアの22歳が初の世界王者に輝いている。
<女子決勝リザルト>
1位:アレクサンドラ・ミロスラフ(POL)/7.129秒
2位:ニウ・ディー(CHN)/8.363秒
3位:アヌーク・ジョベール(FRA)/7.534秒
<男子決勝リザルト>
1位:ルドヴィコ・フォッサリ(ITA)/6.871秒
2位:ヤン・クリツ(CZE)/fall
3位:スタニスラフ・ココリン(RUS)/5.835秒
リザルト詳細は国際スポーツクライミング連盟/大会ページから
CREDITS
取材・文 編集部 / 写真 高須力