楢崎智亜、藤井快、土肥圭太が決勝へ!/IFSCクライミング世界選手権2019八王子【ボルダリング男子準決勝】

 13日、IFSCクライミング世界選手権2019八王子(エスフォルタアリーナ八王子)はボルダリング男子準決勝を終え、ファイナリストの6名が決定。日本からは楢崎智亜、藤井快、土肥圭太の3名が進出した。

 午前の女子準決勝に続き、男子もハードな課題が並んで前半は完登者の少ない展開に。しかし折り返しとなる11番手・原田海の第3課題完登を皮切りに、次第と完登者が現れはじめる。各課題で完登間際の攻防が続き、溜息と歓声が入り乱れた。

土肥圭太が均衡をやぶり2完登に到達。

楢崎智亜も第2、第3課題を一撃。

 ファイナル進出をめぐる混沌とした状況を、土肥圭太、楢崎智亜、藤井快の3人が打破する。先陣を切ったのは土肥だ。18歳のボルダリング日本勢最年少は第2課題で得意の緩傾斜を登り切ると、今度は強傾斜課題も攻略。天高く雄たけびを上げ、その時点で初の2完登にたどりつき暫定1位に立った。

 土肥の隣で登る楢崎は第2、第3課題を一撃。そして藤井も第1課題を初登、第3課題を1トライで仕留めて会心のガッツポーズをみせた。

第3課題を1トライで落とし、観客を煽るアダム・オンドラ。

 この日本勢3人を上回ったのが、予選を首位通過していたアダム・オンドラ(チェコ)だ。第1、第2課題は粘りの5トライで完登、大振りなホールドが行く手を阻んだ第3課題は巧みな身のこなしで一撃し、計3完登で堂々の1位に立った。

 2位からは楢崎、藤井、土肥、ヤニック・フローエ(ドイツ)、ヤコブ・シューベルト(オーストリア)が続き、以上の6名がこのあと20時からの決勝へ勝ち進んだ。

 そのほか、杉本怜、前回王者の原田海、楢崎明智、緒方良行はそれぞれ敗退となった。

<敗退選手コメント>


杉本怜(7位敗退)
「チャンスはいくらでもあったが決め切れなかったことが悔しい。1課題目、3課題目は自分としては惜しいところまでいけたと思うが、惜しいじゃいけない。登り切らないと。そういう押し切る力が足りなかった。単純にクライミング能力も必要だが、それ以上に最後にゴールで負けない力が必要。今年はシーズンを通してそういうことが多かった。どうトレーニングしていくはこれから検討していきたい」
 

原田海(9位敗退)
「悔しいが持っている力は出し切れたので、単純に力不足だと思う。2課題目が全くできなかったことがとくに悔しい。久しぶりに全く対応できず、初手から動けなかった。昨日に比べたらひと課題、ひと課題が紙一重というか、ちょっと間違えたら登れないような課題だった。この大会が終わりじゃない。ボルダリングはここで終わったので来シーズンに向けて強化しなきゃいけない部分ははっきりした。この結果は悔しいが、明日からリードが始まるのでそっちに切り替えていきたいと思う」
 

楢崎明智(13位敗退)
「久しぶりに準決勝で楽しめたのでよかった。1課題目は自分としては得意な課題だったので絶対に決めておきたかった。2課題目は迷走してしまった。やっている最中にこれはできないんじゃないかと諦めてしまっていた。ここ最近思っているのは、フィジカル要素を発揮するには頭がうまく使えなれば難しい。今までなら2課題目までうまくいかなかった時点で落ち込んでしまってそれ以降しっかり登ることができなかった。今回は日本開催ということもあって、知っている人たちもたくさん観てくれていて、自分の出来が悪くても3、4課題目しっかりと登ると決めていた。それができたので登っていて楽しかった。明日からリードが始まるので、今日のことはあまり考えず、リードに集中したいと思う」
 

緒方良行(14位敗退)
「1から3課題目まで全部終了点で落ちてしまって、3課題も連続で落ちたことがなかったので4課題目のときにメンタルにきてしまっていた。落ち着くようにはしていたが、なかなか最後までメンタルコントロールできなかったことは今後の課題。ギリギリのところで決め切れないというのはフィジカルよりもメンタルのほうが大きいと思う。予選の1位通過は素直に嬉しいが、予選はあくまで予選。準決勝は会場も変わるので違う展開になると心構えはしていた。五輪の選考のことばかり言われるが、世界選手権で優勝して世界チャンピオンになりたかったので悔しい」

<準決勝リザルト>

1位:アダム・オンドラ(CZE)/3t4z 11 7
2位:楢崎 智亜/2t4z 2 4
3位:藤井 快/2t4z 5 6
4位:土肥 圭太/2t4z 5 10
5位:ヤニック・フローエ(GER)/2t4z 13 16
6位:ヤコブ・シューベルト(AUT)/1t4z 3 12
――――――
7位:杉本 怜/1t4z 5 9
8位:ルドルフ・ルアーナ(USA)/1t4z 5 20
9位:原田 海/1t3z 1 5
10位:イェルネイ・クルーダー(SLO)/1t3z 1 10
11位:ヤン・ホイヤー(GER)/0t4z 0 10
12位:チョン・ジョンウォン(KOR)/0t3z 0 6
13位:楢崎 明智/0t3z 0 7
14位:ショーン・マッコール(CAN)/0t3z 0 8
14位:緒方 良行/0t3z 0 8
16位:マニュエル・コルニュ(FRA)/0t3z 0 9
17位:ナサニエル・コールマン(USA)/0t3z 0 11
18位:ネーサン・フィリップス(GBR)/0t3z 0 13
19位:ミカエル・ピッコルルアツ(ITA)/0t2z 0 4
20位:セルゲイ・スコロドゥモフ(RUS)/0t1z 0 5

※上位6名が決勝進出
※左から氏名、所属国、成績
※成績は左から完登数、ゾーン獲得数、完登に要した合計アテンプト数、ゾーン獲得に要した合計アテンプト数

リザルト詳細は国際スポーツクライミング連盟/大会ページから

CREDITS

取材・文 編集部、篠幸彦 / 写真 窪田亮

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