前日記者会見に出席した(左から)楢崎智亜、野口啓代、ペトラ・クリングラー、ヤコブ・シューベルト

楢崎「五輪代表権よりも世界一」野口「これが最後の世界選手権になる」/IFSCクライミング世界選手権2019前日会見

 10日、いよいよ明日に迫ったIFSCクライミング世界選手権2019八王子大会の開幕に向け、八王子市内で前日記者会見が開かれた。

 出場選手からは楢崎智亜、野口啓代、2016年大会ボルダリング女王のペトラ・クリングラー(スイス)、2018年大会でリードとコンバインドの2冠に輝いたヤコブ・シューベルト(オーストリア)の4人が登壇した。

 コンバインド決勝の上位7名に入り、かつ日本人最上位になるとオリンピック代表内定が決まるが、楢崎は「代表権よりも、世界一を狙って臨みたい」と、あくまでも優勝が目標だと意気込む。

 そして、かねてより東京2020オリンピックでの競技引退を公言している野口は「これが最後の世界選手権になる」とし、「オリンピック出場権を獲得して、あと1年競技をしたいという気持ちでいっぱい」と今の心境を明かした。

 大会は明日10時からのボルダリング女子予選で開幕。競技は、最後の世界選手権に臨む野口からスタートする。

楢崎智亜コメント
-今の心境は?
「ボルダリングW杯での年間優勝は自信になったし、他の2種目でも良い感触がつかめたので自信をもって挑めると思う。代表権を獲りにいくというより、世界一を狙って臨みたい」

-オリンピック代表内定に向け、日本人の中での戦いも重要になってくると思うが。
「日本人はやっぱり強いし、どの選手と勝負になるかと考えていたが、それを考えたところで自分にとってプラスにならないと思った。自分のパフォーマンスに集中して、優勝を狙えば代表権はついてくるはず」

-単種目への意気込みは?
「スポーツは流れが重要だと思っている。大会前半の単種目でいい成績を残して、いい流れでコンバインドに進むことができれば」

-どこに注目してほしいか?
「リスクを恐れず、自分のやりたい動きを緊張する場面であっても選択していく姿を見てほしい」

野口啓代コメント
-今の心境は?
「今大会で最後の世界選手権にしようと思っている。ここでオリンピック出場枠を獲得して、あと1年競技をしたいという気持ちでいっぱい」

-会場の印象は?
「昨年のボルダリングW杯では優勝することができて、このエスフォルタアリーナ八王子は私にとって非常に思い出深い場所。でもそれ以降、そこを超えるパフォーマンスができていないんじゃないかと感じている。またこの八王子で、昨年のパフォーマンスをさらに超えていきたい」

-単種目への意気込みは?
「最初はボルダリングから始まるので、もちろんそこでいい波に乗りたいという気持ちがある。今季のW杯は4戦に出場して全て2位だったので、世界選手権こそは優勝できたら」

-今大会を最後にしたいという想いを改めて。
「最後にW杯の年間王者となった翌年、競技の引退を考えていたタイミングで東京オリンピックが決まって、その2016年からあと4年間、オリンピックに向けて頑張ろうと思って続けてきた」

-どのような登りを見せたいか?
「特別なパフォーマンスをしようというより、今までやってきたことが大会で出せたらいいと思っている。登っていても声援は聞こえるので、たくさんの方の応援で、日本人選手の背中を押してもらえたら嬉しい」

ヤコブ・シューベルト コメント
-昨年大会のコンバインド王者として、どのような気持ちで大会に臨む?目標は?
「プレッシャーは少しはあるが、実は昨年はコンバインドで優勝したことは驚きでもあった。昨年大会は自国開催だったため何とか地元の前で、特に得意なリードにおいて良い成績を残すことを考えていたから。しかし今大会においては目標が違う。東京オリンピックへの出場権を得るために、コンバインドでいい成績を収めたいと思っている」

「コンバインド、リードの王者は防衛していきたい。リードでは2度優勝しているので、準備もできている。ただ、あくまでもメインの目標はコンバインド。もし単種目で金メダルを獲得できても、来年のオリンピック出場権が得られないのであれば、それは望むところではない。オリンピック出場権を獲得するということに懸けていきたい」

ペトラ・クリングラー コメント
-今の心境は?
「3種目でスイスチャンピオンになれたことで自信がついているし、八王子に向けて行なってきたトレーニングが上手くいっている、間違っていないということを再確認できた。大会を非常に楽しみにしているし、オリンピックの出場枠を獲得することは私にとっては大きな夢の一つでもある」

-日本や東京の印象は?
「食べ物がおいしく、親切な人ばかりで、訪れるのが最も楽しみな国の一つ。私の生まれたのはスイスの小さな村で、東京とは異なるが、でもその違いにとてもワクワクしているし、それを心から楽しんでいる。この楽しむ気持ちを、ぜひ競技にも反映させていきたい」

CREDITS

取材・文・写真 編集部

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