新星たちの勢いは止まらず。森4位、谷井8位/リードW杯2019第2戦 シャモニー大会

 12・13日、リードW杯2019第2戦がフランス・シャモニーで開催され、女子はソ・チェヒョン(韓国)がデビュー2戦目にして初優勝を決め、男子は怪我から復帰したアダム・オンドラ(チェコ)が1勝目を挙げた。

 女子は準決勝でまさかの大波乱が起こった。絶対的女王であるヤンヤ・ガンブレット(スロベニア)が9位で敗退し、2015年のデビューから続いていた連続決勝進出の記録が26戦で途絶えてしまう。決勝は10代が6人と非常にフレッシュな顔ぶれとなり、中でも今季W杯デビュー組である2013年生まれの4人、準決勝1位通過の谷井菜月、森秋彩、ソ・チェヒョン、ツァン・ユートン(中国)には大きな注目が集まった。

フレッシュな顔ぶれとなった女子ファイナリスト。最年長は22歳のジェシカ・ピルツ(左から4人目)だった。

モンブラン山群のふもとにある会場には多くの観客が詰め寄せた。

 決勝ルートで優勝の基準となる高度をはじめに記録したのは2番手のアシマ・シライシ(白石阿島/アメリカ)。ハードな強傾斜エリアを攻略し、傾斜が変わる終盤の34地点まで到達。やや苦しい体勢から35のホールドへ手を伸ばすが掴み切れずにフォールし、記録は34+となった。3番手の森はシライシと同高度で力尽きるも準決勝順位へのカウントバックで暫定1位に立つ。

 4番手には昨年の世界選手権リード女王のジェシカ・ピルツ(オーストリア)が登場。ピルツも34地点に到達し、35を一瞬掴んだかに思われたが、次の瞬間には離してしまいフォールする。保持は認められず34+で並んだ。続くツァン、ソ・チェヒョンも同高度で終わり、5人が並ぶ団子状態に。最後を登る谷井は難所の34を抜ければカウントバックにより金メダルというチャンスだったが、17+で落下して最下位となった。

 絶対女王の準決勝敗退というチャンスをものにしたのは、W杯デビュー2戦目となる15歳のソ・チェヒョン。2位にはツァンが入り、第1戦に続いて新世代が躍動した。森はカウントバックで4位まで後退するも優勝と同高度という健闘を見せた。

ここからの一手が止まらず、5人が高度34+で並ぶ展開に。(写真:IFSC/Daniel Gajda)

3位にツァン・ユートン(左)、1位にソ・チェヒョン(中央)が輝き、開幕戦に続き2人の2003年生まれが表彰台に上がった。

 日本から原田海のみがファイナリスト入りした男子決勝は、先頭のアレクサンダー・メゴス(ドイツ)が終盤に入る44を記録。余力を残しながらスリップによるフォールが悔やまれた。メゴスの高度に迫ったのが4番手のヤコブ・シューベルト(オーストリア)。巧みにレストを挟みながら高度を伸ばしたが44に手を伸ばしたところで力尽きた。6番手の原田は下部でもたついてしまい22でフォールとなった。

 別格の強さを見せたのがオンドラだ。順調に高度を伸ばしていくと43地点まで到達。軽くレストを入れるとメゴスの44を掴み、観客の盛り上がりも最高潮に達する。さらに高度を伸ばし、47を掴む前には左手で観客を煽る余裕を見せ、47+でフォール。手首の故障を感じさせない圧巻の登りで今季のリード1勝目をマークした。2位にメゴス、3位にシューベルトとなり、原田は8位で終えた。

優勝を決め喜ぶアダム・オンドラ。

 12日にはスピードW杯第5戦も行われた。女子は世界記録保持者のソン・イリン(中国)が今季3勝目を挙げて年間ランキングで単独首位に立つと、男子はアルフィアン・ムハンマド(インドネシア)が2勝目をマークした。日本勢では伊藤ふたばが9.391秒で25位、男子も楢崎智亜の6.514秒で25位が最高となり、第4戦で野中生萌が果たした予選突破は男女ともならなかった。

 次戦W杯は来週の19・20日、同じフランスのブリアンソンでリード第3戦が行われる。
 

<リード決勝>

[女子]
1位:ソ・チェヒョン(KOR)/34+ ※準決勝2位
2位:ツァン・ユートン(CHN)/34+ ※準決勝3位
3位:ジェシカ・ピルツ(AUT)/34+ ※準決勝4位
4位:森 秋彩/34+ ※準決勝6位
5位:アシマ・シライシ(USA)/34+ ※準決勝7位
6位:モーリー・トンプソン・スミス(GBR)/26+
7位:ルッカ・ラコヴェッチ(SLO)/25+
8位:谷井 菜月/17+
―――――
10位:野口 啓代 ※準決勝進出
16位:野中 生萌 ※準決勝進出
25位:伊藤 ふたば ※準決勝進出
35位:小武 芽生
68位:倉 菜々子

[男子]
1位:アダム・オンドラ(CZE)/47+
2位:アレクサンダー・メゴス(GER)/44
3位:ヤコブ・シューベルト(AUT)/43+
4位:ウィリアム・ボシ(GBR)/39+
5位:アルベルト・ヒネス・ロペス(ESP)/33+
6位:マーティン・ストラニク(CZE)/31+
7位:ショーン・マッコール(CAN)/25+
8位:原田 海/22
―――――
11位:藤井 快 ※準決勝進出
16位:波田 悠貴 ※準決勝進出
17位:杉本 怜 ※準決勝進出
21位:本間 大晴 ※準決勝進出
28位:楢崎 智亜
47位:楢崎 明智

※左から氏名、所属国、決勝成績

<スピード決勝>

[女子]
1位:ソン・イリン(CHN)/99.000秒(相手の失格により記録なし)
2位:エリザヴェータ・イヴァノワ(RUS)/false start
3位:アレクサンドラ・カルッカ(POL)/7.661秒
―――――
25位:伊藤 ふたば/9.391秒
29位:野中 生萌/9.540秒
37位:野口 啓代/9.832秒
47位:倉 菜々子/10.715秒
64位:森 秋彩/13.057秒

[男子]
1位:アルフィアン・ムハンマド(INA)/5.764秒
2位:ツォン・キシン(CHN)/6.382秒
3位:ウラジスラフ・デューリン(RUS)/6.057秒
―――――
25位:楢崎 智亜/6.514秒
33位:藤井 快/6.741秒
43位:原田 海/7.036秒
45位:楢崎 明智/7.096秒
52位:杉本 怜/7.407秒

※左から氏名、所属国、成績
※1・2位選手の成績は決勝タイム、3位選手の成績は3位決定戦タイム

リザルト詳細は国際スポーツクライミング連盟/大会ページから

CREDITS

篠幸彦 / 写真 IFSC/Eddie Fowke

back to top