女子表彰台=(左から)ソ・チェヒョン、ヤンヤ・ガンブレット、森秋彩

15歳・森秋彩が表彰台デビュー/リードW杯2019第1戦 スイス・ヴィラール大会

 5・6日、リードW杯2019の第1戦がスイス・ヴィラールで開催された。男子はサッシャ・レーマン(スイス)が初優勝し、女子は3年連続年間女王のヤンヤ・ガンブレット(スロベニア)が早くも1勝目。そしてリードW杯デビューとなった森秋彩(あい)が3位に入り銅メダルを獲得した。

 昨季年間王者のヤコブ・シューベルト(オーストリア)らが決勝を前に敗退するなど、波乱含みの開幕戦となった男子の決勝。日本勢からは準決勝を1位で抜けた楢崎智亜をはじめ、波田悠貴、藤井快、楢崎明智の4人がファイナリスト入り。楢崎兄弟はW杯ではじめての決勝そろい踏みとなった。

 先頭の楢崎明がTOPホールドに手を掛ける高度39+を記録して幕を開けたファイナルは、続くアレクサンダー・メゴス(ドイツ)とパン・ユーフェイ(中国)が連続で完登。4番手の藤井もTOPに手を掛ける39+まで到達したが、序盤でボルトを踏んだとみられたのか、意図しない反則により記録は高度8となってしまう。

 その後、5番手の波田が悔やまれる左足のスリップで22で終えると、最も会場を沸かせたのが6番手のレーマンだ。地元スイスの大声援を受けると見事に完登し、喜びを爆発させる。カウントバックで暫定首位に立ち、残り競技者は2人だったため表彰台を確定させた。

 既に上位3人が完登しているため、表彰台には最後まで登り切るしかない状況。7番手のドメン・スコフィッチ(スロベニア)はTOPに手をかけたが止められずに終わり、最後を登る楢崎智に日本勢のメダル獲得が託された。楢崎はスタートから高速で登る持ち前のスタイルで高度を上げていくと、3分以上を残して終盤に到達。しかしレストを入れて終了点を目指そうとしたところで左足がスリップ。痛恨のミスで34+となった。

 この結果、レーマンがW杯初優勝を地元で成し遂げ、19歳のパンもキャリアハイの準優勝。日本勢は楢崎明が5位、楢崎智が6位、波田が7位、藤井が8位と下位に並んでメダル獲得はならなかった。

女子で初出場初表彰台を成し遂げた森秋彩(写真:IFSC/Daniel Gajda)

 男子に続いて女子でも波乱が起こる。予選で昨年年間3位のキム・ジャイン(韓国)が指の負傷でリタイアすると、同2位のジェシカ・ピルツ(オーストリア)が準決勝で敗退。有力選手2人が姿を消す中、日本勢から野口啓代とリードW杯デビューの森、谷井菜月の3人が決勝に進出した。

 15歳にして既に国内屈指の実力を持つ森は、予選を全体2位、準決勝も3位で通過し、ポテンシャルの高さを示しての決勝入り。森、谷井と同じ2003年生まれのソ・チェヒョン(韓国)もデビュー戦からファイナリストとなった。

 新星の台頭が注目される決勝は、ある難所の1点を攻略できるかで明暗が分かれた。先頭のジュリア・シャノーディ(フランス)が35まで到達すると、36のホールドに右手を伸ばすもフォール。後続の2人も全く同じ箇所で落下し、高度36が難所となった。4番手の谷井も、前の3人とは異なるスタティックなアプローチを試みたが、前の3人と同様にハリボテに付いた小さなホールドを捉えきれずフォール。記録は+が付かずに35となった。

 難所攻略が期待された野口、森、ソ・チェヒョンの3人もここを止めることができず、6人が35+で並ぶ団子状態に。最後に登場する絶対女王、ガンブレットの登りに注目が集まった。準決勝ではスタート直後にチョークバッグを落としながらもそのまま完登する驚異のパフォーマンスをみせたガンブレット。ここでも難関の36をあっさりと止め、難所をまったく感じさせなかった。直後のホールドでフォールとなったものの、唯一高度36にたどりついたガンブレットが開幕戦勝利をあげた。

 最終的には準決勝へのカウントバックでソ・チェヒョンが準優勝、森が3位となり、15歳の2人が初の大舞台で表彰台に上がった。野口は4位、谷井は8位となった。W杯初参戦組の活躍が目立った2019シーズンの開幕戦。次週12・13日に行われる第2戦シャモニー大会でも新世代の活躍に期待が高まる。

同時開催のスピードW杯第4戦では野中生萌が日本人初の決勝トーナメントに進出(写真:freshfocus/アフロ)

 一方、4・5日に同地で開催されたスピードW杯第4戦では、野中生萌が快挙を達成する。予選で8.571秒を残し14位に入ると、上位16名による決勝トーナメントに男女を通じて日本人初の進出。トーナメント1回戦では2年連続年間女王アヌーク・ジョベール(フランス)の前に敗れはしたものの、8.432秒で自身の持つ女子日本記録を更新。タイム順で10位と爪痕を残した。男子は藤井の26位が最高だった。優勝は男子がアレクサンダー・シコフ(ロシア)、女子は現世界記録保持者のソン・イリン(中国)との対決に打ち勝ったジョベールが制した。
 

<リード決勝>

[男子]
1位:サッシャ・レーマン(SUI)/TOP ※準決勝3位
2位:パン・ユーフェイ(CHN)/TOP ※準決勝6位
3位:アレクサンダー・メゴス(GER)/TOP ※準決勝7位
4位:ドメン・スコフィッチ(SLO)/39+ ※準決勝2位
5位:楢崎 明智/39+ ※準決勝8位
6位:楢崎 智亜/34+
7位:波田 悠貴/22
8位:藤井 快/8
―――――
13位:杉本 怜 ※準決勝進出
19位:原田 海 ※準決勝進出
27位:本間 大晴

[女子]
1位:ヤンヤ・ガンブレット(SLO)/36+
2位:ソ・チェヒョン(KOR)/35+ ※準決勝2位
3位:森 秋彩/35+ ※準決勝3位
4位:野口 啓代/35+ ※準決勝4位
5位:ミア・クランプル(SLO)/35+ ※準決勝6位
6位:ルッカ・ラコヴェッチ(SLO)/35+ ※準決勝7位
7位:ジュリア・シャノーディ(FRA)/35+ ※準決勝8位
8位:谷井 菜月/35
―――――
10位:平野 夏海 ※準決勝進出
13位:小武 芽生 ※準決勝進出
18位:野中 生萌 ※準決勝進出
26位:伊藤 ふたば ※準決勝進出

※左から氏名、所属国、決勝成績

<スピード決勝>

[男子]
1位:アレクサンダー・シコフ(RUS)/5.542秒
2位:ドミトリー・チモフェーエフ(RUS)/fall
3位:ヤン・クリツ(CZE)/7.765秒
―――――
26位:藤井 快/6.497秒
28位:楢崎 智亜/6.562秒
33位:原田 海/6.753秒
40位:楢崎 明智/7.204秒
46位:杉本 怜/7.479秒

[女子]
1位:アヌーク・ジョベール(FRA)/7.660秒
2位:ソン・イリン(CHN)/8.415秒
3位:エリザヴェータ・イヴァノワ(RUS)/7.586秒
―――――
10位:野中 生萌/8.432秒 ※決勝T進出
23位:伊藤 ふたば/9.256秒
30位:野口 啓代/9.697秒
63位:平野 夏海/12.930秒
70位:谷井 菜月/16.434秒

※左から氏名、所属国、成績
※1・2位選手の成績は決勝タイム、3位選手の成績は3位決定戦タイム

リザルト詳細は国際スポーツクライミング連盟/大会ページから

CREDITS

篠幸彦 / 写真 窪田美和子/アフロ

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