決勝を終えた直後、優勝したルドヴィコ・フォッサリも竹田創の健闘を観客へアピールした

日本男子が躍動!16歳竹田が2位、緒方が日本新/au SPEED STARS 2019

 5月12日、東京都・昭島のモリパークアウトドアビレッジにてスピード種目の国際大会「au SPEED STAERS 2019」が開催された。

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 第3回となる今大会、男子には昨年王者のスタニスラフ・ココリン(ロシア)、先日のW杯第4戦で優勝したドミトリー・チモフェーエフ(ロシア)、同3位のルドヴィコ・フォッサリなど実力者が揃い、女子も昨年の世界ランキング6位で世界選手権2016女王のアンナ・ツィガノヴァ(ロシア)や、世界選手権2018準優勝のアンナ・ブロジェク(ポーランド)などが名を連ねた。日本からも楢崎智亜、藤井快、緒方良行や、野中生萌、野口啓代、伊藤ふたばなど男女トップクライマーが参戦。総勢で男子18名、女子12名と同大会最多となる選手がエントリーした。

 暑い日差しのもと、12時から開始した予選。1回目の試技では海外選手の多くが慎重なスタートからまずまずのタイムを記録していく中、世界選手権2016男子王者のマルチン・ジンスキ(ポーランド)がまさかのフォルススタート(フライング)。すると女子のツィガノヴァもフォルススタートとなり、男女の世界選手権2016優勝者が失格となってしまった。2回目の試技では、チモフェーエフが5秒861と予選トップを記録し、ワールドクラスのスピードを披露して会場を大いに沸かせた。女子はチモフェーエヴァが8秒099で1位となり、夫婦で予選首位通過を決めた。

 太陽が雲に隠れ始めた15時。男子16人、女子8人によるトーナメント方式の決勝がスタートした。男子で主役の一人となったのが、16歳の竹田創だ。1回戦で国内王者の池田雄大に勝利すると、準々決勝ではチモフェーエフがゴールパッドのタッチミスを犯したために幸運な勝利を掴む。準決勝では竹田の勢いある登りに焦ったのかココリンがフォールとなり決勝に進出した。竹田は1回戦から7秒214、6秒745、6秒622と登るたびに自己ベストを更新していった。反対の山では、フォッサリが準々決勝で5秒879を計測するなど世界トップクラスの力を示して決勝に勝ち上がった。

 最終ラウンドとなるビッグファイナルでは、観客が盛大な拍手で竹田を迎える。気合十分で臨んだ竹田は、フォッサリと中盤まで互角の勝負を繰り広げる。そしてこの日3度目の自己新となる6秒459でゴールするも、最後は6秒058のタイムを残したフォッサリに軍配が上がった。それでも多くの日本勢が早々に敗退した中で健闘した新星・竹田の活躍に会場は惜しみない拍手を送った。また、準々決勝では緒方が6秒373を叩き出し、藤井が持っていた6秒620の日本記録を更新した。

 女子決勝では、途中でスリップしたヴィクトワール・アンドリエ(フランス)を抑えてブロジェクが8秒610の記録で優勝。日本勢は野中、伊藤、野口の3人が決勝トーナメントに進出したが、それぞれ肉薄するも初戦敗退となった。その中で日本勢最高位につけたのが野中。9秒167を記録し、タイム順で5位入賞を果たしている。

 今大会からauが冠スポンサーとなるなど、回を重ねるごとにスケールアップしていくSPEED STARS。来年に東京五輪を控える中、会場には昨年を上回る約2,500人もの観客が訪れ、スピード種目への注目度が急激に高まっていることを実感させる大会となった。

会場には溢れんばかりの観客が詰めかけた。

出場選手が勢ぞろいした開会式。

昨年世界ランキング3位のドミトリー・チモフェーエフ。5秒台で観客を沸かした優勝候補は準々決勝で姿を消した。

6秒373の日本新記録をマークした緒方良行。

準々決勝でチモフェーエフに勝利し、ガッツポーズを見せる竹田。

勢いそのままに、竹田は決勝でも中盤まで互角の戦いを演じた。

女子で優勝のゴールタッチをするアンナ・ツィガノヴァ。

男女優勝者のルドヴィコ・フォッサリとアンナ・ツィガノヴァ。

 

リザルト

[男子]
1位:ルドヴィコ・フォッサリ(ITA)/6秒058
2位:竹田 創/6秒459
3位:アレクサンダー・シロフ(RUS)/6秒229
―――――
5位:緒方 良行/6秒373
7位:楢崎 明智/6秒967
11位:楢崎 智亜/6秒747
12位:北江 優弥/7秒374
13位:池田 雄大/6秒912
14位:藤井 快/6秒811
15位:抜井 亮瑛/7秒139
16位:原田 海/8秒156
17位:田中 修太/8秒264 ※予選敗退

[女子]
1位:アンナ・ブロジェク(POL)/8秒610
2位:ヴィクトワール・アンドリエ(FRA)/11秒163
3位:エレナ・レミゾワ(RUS)/8秒963
―――――
5位:野中 生萌/8秒813
7位:野口 啓代/9秒758
8位:伊藤 ふたば/9秒589
9位:倉 菜々子/10秒859 ※予選敗退
11位:森 秋彩/12秒905 ※予選敗退

※左から氏名、所属国、成績
※1・2位選手の成績は決勝タイム、3位選手の成績は3位決定戦タイム
※日本人選手の成績は今大会の最高タイム

リザルト詳細は国際スポーツクライミング連盟/大会ページから

CREDITS

取材・文 篠幸彦 / 写真 窪田亮

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