女子ユースA表彰台=(左から)平野夏海、森秋彩、工藤花

大会4連覇の森秋彩らが各年代の頂点に/リードユース日本選手権2019

 25日、第7回リードユース日本選手権印西大会の決勝が松山下公園総合体育館(千葉県・印西市)で行われ、8名のユース各カテゴリー王者が決定した。注目の集まった女子ユースAでは、今年のLJC(リードジャパンカップ)でも2位に輝いた森秋彩が唯一TOPまでたどりつき、大会4連覇を成し遂げた。

 ジュニア、ユースA・B・Cの各カテゴリー中最多6名の日本代表が名を連ねた女子ユースAを制したのは、今年の日本代表に初選出された期待の15歳、森秋彩だった。1ルートずつを登った23、24日の予選では、ルート2を完登した森が2位につけて決勝に進出。そのほかの日本代表メンバーである平野夏海、菊地咲希、栗田湖有、菅原亜弥、工藤花も順当にファイナルへと駒を進めた。

 決勝9番手で登場した森は、冷静に、そして強化中だというフィジカル面の強さも見せながら、工藤の28+を超えて暫定首位に立つ。その後も勢いは衰えず、見事に頂上までたどりついた。ユースB以上は男女それぞれ同じルートで争われたが、完登したのは森のみ。オリンピックに向けた重点的な強化の対象である五輪強化選手にも指定されている実力通り、圧巻の登りを披露した。競技後には「悪そうな下部は冷静に着実に登って、上部からはどんどん攻めていこうと考えていた。計画通りに登れたので良かった」と話し、ほっとした表情を見せた。

 一方、悔し涙を流したのが最終10番手で登った平野。初参戦した昨季W杯では決勝に進出し、今年のBJC(ボルダリングジャパンカップ)で4位、LJCでも3位に入った16歳の新星だ。予選は2ルートをただ一人完登して首位通過し、この大会初制覇にも期待が高まったが、最終盤に差し迫る34+で落下。「ボテにホールドが付いていたが、思っていたよりも奥で届かなかった。とても悔しい」と話し、無念の2位に終わった。

 森について「強いので参考にしている。いつか追いつきたい」と話した1学年上の平野と、「普段からすごい一所懸命に練習していると聞いていて、自分も限界まで追い込むタイプ。限界まで練習している人同士で戦えるのは嬉しい」と話した森。2人からは、ともに切磋琢磨して未来の日本代表を牽引する姿が垣間見えた。

 また、男子ジュニアではこちらも初参戦した昨季W杯で2度決勝に進出した田中修太が優勝。「カチが続いて苦手なイメージがあった」と振り返りながらも、終盤の33+まで到達。最後は「気合が足りなかった」としながらも、2位の小西桂に3差をつけ、ユースAを制した2017年大会以来2度目のユース王者に輝いた。

 大会を制したユースB以上の選手たちは、今年のユース日本代表入りが内定。彼らの出場する世界ユース選手権は8月にイタリア・アルコで行われる予定だ。

各カテゴリーのメダリストたち。

 

森秋彩コメント
「平野夏海ちゃんとか強い選手がいるので、世界ユースの代表に入れないかもと思っていたからほっとしました。決勝ルートは下の方から悪めで、ちょっとミスをしたら落ちてしまいそうだったので、下部は冷静に着実に登り、上からはどんどん攻めていこうと思いました。計画通りに登れて良かったです。(初出場となるボルダリングW杯が迫っているが)すべてが初めてなので、まずは自分が世界の中でどれくらいの位置にいるのかを知りたい。課題は国内よりもパワフルで距離も遠くて、身長が小さいと不利だと思うんですけど、そこを埋められるくらい技術をつけて頑張りたいです」
 

平野夏海コメント
「登り自体は去年よりも成長できていたので良かったんですが、結果としてはとても悔しいです。(フォールした部分は)ボテにホールドが付いていたんですけど、それが思っていたより奥だったので、狙いがズレて届かなかった。オブザベが甘かったと思います。(五輪強化選手に選ばれたが)狙っていたので、嬉しいです。ボルダリングW杯は今年が初参戦で予選通過も難しいと思うので、強い選手をしっかり見て、吸収して来年に繋げたい。いずれはボルダリングとリード両方のW杯で優勝したいです」
 

田中修太コメント
「優勝を目標にしていたので嬉しい反面、決勝は完登を目標にしていたので、出し切ることもできず非常に悔しいです。(オブザベの印象は?)クリッピーでカチが続く、自分では苦手なルートだったのでマイナスなイメージが多かったです。下からリズム良く行けましたがあとひと踏ん張りが出せなくて、気合が足りませんでした。最後のタッチを外してしまった感じです。今年のW杯では安定して決勝に行って、表彰台を目標としていきたいですね」
 

<リザルト>

男子ジュニア(2000、01年生まれ)
1位:田中 修太(18)/33+
2位:小西 桂(18)/30+
3位:山口 龍磨(17)/29

女子ジュニア(2000、01年生まれ)
1位:樋口 結花(17)/30+
2位:倉 菜々子(18)/20+
3位:中村 真緒(19)/20

男子ユースA(2002、03年生まれ)
1位:百合草 碧皇(16)/34+
2位:鶴 隼斗(16)/30+
3位:大政 涼(16)/28+

女子ユースA(2002、03年生まれ)
1位:森 秋彩(15)/TOP
2位:平野 夏海(16)/34+
3位:工藤 花(15)/28+

男子ユースB(2004、05年生まれ)
1位:吉田 智音(14)/29+
2位:田中 裕也(14)/29
3位:村下 善乙(14)/26+

女子ユースB(2004、05年生まれ)
1位:小池 はな(13)/31+
2位:森 奈央(13)/29+
3位:美谷島 ももか(15)/24.5+

男子ユースC(2006、07年生まれ)
1位:小俣 史温(13)/TOP ※予選1位
2位:安楽 宙斗(12)/TOP ※予選2位
3位:通谷 律(12)/38+

女子ユースC(2006、07年生まれ)
1位:抜井 美緒(12)/35+
2位:小田 穂香(13)/33
3位:妻嶋 心路(13)/32+

リザルト詳細は大会特設サイトから

CREDITS

取材・文 編集部 / 写真 窪田亮

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