野中生萌が日本記録を更新。表彰台はインドネシア勢がほとんどを占める/アジア選手権倉吉2018【スピード】
10日、アジア選手権倉吉2018(鳥取県・倉吉市)は大会4日目を迎え、午前にスピード決勝が行われた。男子はアルフィアン・ムハンマド、女子はサリ・アグスティナが制し、インドネシア勢がアベック優勝を決めた。日本男子は土肥圭太の15位、女子は野中生萌の6位が最高で、野中は自身の日本記録を2度も更新するなど健闘をみせた。
前日に行われた予選には、5秒48の世界記録を持ち今年の世界選手権も制したレザー・アリプアシェナ(イラン)が登場。1本目に5秒台をマークしたが、2本目でまさかのフライング。1本でもフォルススタートすると敗退となる規定により、予選で姿を消した。圧倒的な強さを見せたのがスピード強豪国のインドネシア。W杯年間8位のアスパル・ジャエロロを筆頭に、男女上位各4名に7名もの選手が名を連ねた。日本勢では野中が9位、土肥と伊藤ふたばが進出ライン上となる16位に入り決勝トーナメントへ進出を決めた。
決勝トーナメントの第1組には、予選1位と16位が相対するため土肥と伊藤がそれぞれ登場。しかし途中で足を滑らすなどのミスが響き、土肥は8秒70、伊藤は11秒46で初戦敗退となった。一方の予選9位野中は、8位のニウ・ディー(中国)と対決。勢いよく飛び出した野中はそのままミスなく進み、相手より0.07秒早くゴールタッチ。タイムは自身の日本記録9秒06を更新、かつ日本女子初の8秒台となる8秒79で、両手でガッツポーズをみせた。ベスト8に進んだ野中の次戦相手は予選1位で今季W杯年間4位のエリーズ・スーザンティ・ラハユ(インドネシア)。ここでもミスのない登りを披露した野中は、先ほどのタイムを0秒01上回る8秒78を計測したが、スーザンティ・ラハユはそれを上回る7秒84。ここで野中は敗退となったが、2連続で日本記録を更新する健闘に会場からは拍手が送られた。
トーナメントはその後、予選4位以内につけていたインドネシア勢男女7名がそのままベスト4に進出。優勝候補のジャエロロが準決勝でゴールタッチに失敗する波乱があったものの、男子は同国対決に競り勝ったムハンマドが、女子ではアグスティナが優勝し、インドネシア勢に2つの金メダルをもたらした。休日ということもあり多くの地元市民が詰めかけた中で、インドネシア勢がスピード強豪国たる所以を見せつけている。
土肥圭太コメント
「相手が予選1位で速い選手だったこともあって、勝つことより自己ベストを出そうと、決勝トーナメントに進めたことを良い経験にしようと思って臨みました。しかしかえって考えすぎてしまって、ミスしてしまいました。(最近タイムが伸びてきているが?)楢崎智亜選手が編み出した新しいムーブが自分に合っていてタイムが伸びました。ボルダリング特有の『手に足』が取り入れられていて、スピード専任選手にはなかなかないムーブです。よりスムーズな動きになってくれば、タイムはもっと速くなると思っています」
伊藤ふたばコメント
「シニアの国際大会でのスピード決勝は初めてだったので良い経験になりました。今はスムーズに登れるときは良いタイムが出るんですけど、その回数がまだまだ少ないので、確率を上げていかなくてはいけない。特にランジの足を上げるところでいつも遅くなってしまうので、そこを強化していきたいです。まだムーブも確立しきれていないですし、他の選手の登りをもっとたくさん見て、練習を重ねていきたいです」
<男子決勝>
1位:アルフィアン・ムハンマド(21/インドネシア)/5秒833
2位:レオナルド・べドリック(23/インドネシア)/5秒836
3位:アスパル・ジャエロロ(26/インドネシア)/5秒878
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15位:土肥 圭太(18)/8秒708
<女子決勝>
1位:サリ・アグスティナ(21/インドネシア)/8秒366
2位:ソン・イーリン(17/中国)/9秒151
3位:エリーズ・スーザンティ・ラハユ(23/インドネシア)/7秒816
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6位:野中 生萌(21)/8秒785
15位:伊藤 ふたば(16)/11秒465
※左から氏名、年齢、所属国、決勝トーナメント成績
※1・2位選手の成績は決勝記録、3位選手の成績は3位決定戦記録
リザルト詳細は国際スポーツクライミング連盟/大会ページから
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CREDITS
取材・文 編集部 / 写真 窪田亮