野口啓代が最終戦で2年ぶり表彰台/リードW杯2018第7戦 中国・厦門大会

 10月27・28日、リードW杯2018の最終第7戦が中国・厦門で開催された。男子はドメン・スコフィッチ(スロベニア)が2016年以来の栄冠を掴み、女子はジェシカ・ピルツ(オーストリア)が今季2度目の優勝を果たした。日本勢は野口啓代が3位で銅メダルを獲得し、男子は西田秀聖の4位が最高だった。

 男子決勝には、日本から西田、本間大晴、波田悠貴の3名が進出。先頭のサッシャ・レーマン(スイス)が20+と序盤でフォールすると、2番手の西田も同高度に到達したが左足をスリップ。左手を先のホールドに伸ばしていた分、23とスコアこそ上だがほぼ同じ箇所で力尽きた。序盤を最初に抜け出したのが韓国のミン・ヒョンビン。前回大会で5年ぶりにW杯表彰台に上がっていた29歳は、レーマン、西田が落下した20地点を難なく抜け出して終盤に差し掛かる38+を記録した。

 続く波田、ロメイン・デグランジュ(フランス)の2人にも鬼門となったスローパーが立ちはだかり20+で連続フォールとなったが、流れを変えたのは年間2位が確定しているステファノ・ジソルフィ(イタリア)。20地点を通過して高度をさらに上げ、惜しくも完登はならなかったがTOPホールドに右手をかける45+のハイスコアを記録した。その後7番手の本間も鬼門につかまったが、最後を登る準決勝1位のスコフィッチは完登目前まで迫る。足の悪い中で飛びついた終了点を捉え切れずフォールとなったが、ジソルフィと同スコアとなり、準決勝へのカウントバックで2016年イムスト大会以来の優勝となった。

 男子に続き、野口、小武芽生、田嶋あいかと3名の日本人選手が進出を果たした女子決勝。先頭を登る小武が36+と終盤に迫る高スコアを記録すると、4番手野口は終盤の苦しい中で保持力の強さを見せて43のホールドを掴み、44に手を伸ばしたところでフォール。43+と好記録で暫定1位についた。

 しかし、すでに3季連続年間優勝を決めているヤンヤ・ガンブレットが43地点も難なく通過して貫禄の完登。会場は大きな拍手と声援で称えた。続いて登場したのは準決勝を2位通過していた田嶋だったが、31地点のホールドを掴み損ね30+で競技を終えてしまう。最後に登るのはピルツ。ガンブレットと年間優勝を争ったオーストリアのエースは、優勝には完登しかないというプレッシャーをものともせずにミッションを完遂。カウントバックによって同スコアのガンブレットを抑え今季2勝目を手にした。

 一方、同時開催されたスピードW杯最終第8戦では、バッサ・マエム(フランス)が決勝でアスパル・ジャエロロ(インドネシア)とわずか0.02秒差という接戦を制して今季2勝目。女子は好調のエリーズ・スーザンティ・ラハユ(インドネシア)が前回大会に続く優勝で今季3勝目を手にした。この結果、W杯で唯一決まっていなかった男子スピードの年間優勝の座にはマエムが4位からの逆転で就くこととなり、女子のアヌーク・ジョベールとともにフランス勢によるアベック年間優勝が決まった。日本勢では、男子は緒方良行が日本記録に0.02秒迫る6秒710の自己ベストをたたき出して22位、女子は伊藤ふたばの27位が今大会最高だった。

 これで今シーズンのW杯全戦が終了。リードW杯の年間ランキングには、男子で本間が7位、波田が9位、女子は小武が5位、野口が8位と男女ともに日本人2名がトップ10入りを果たした。トップとの差はあるものの、今季がW杯初挑戦となった本間の7位は大健闘と言える成績だった。なお、大会ごとの男女各上位3名までのポイントを合計して算出される国別ランキングでは、日本は昨年から順位を1つ上げて2位でフィニッシュ。今シーズンは10代選手たちの活躍も目立つなど、リードでも選手層の厚さが増してきていることを示す結果となった。

 今季の主要国際大会は続き、11月には1日からのアジアユース選手権(中国・重慶)、7日からは16年ぶりの日本開催となるアジア選手権(鳥取・倉吉)が控えている。

 

<リード男子>

1位:ドメン・スコフィッチ(24/スロベニア)/45+ ※準決勝1位
2位:ステファノ・ジソルフィ(25/イタリア)/45+ ※準決勝3位
3位:ミン・ヒョンビン(29/韓国)/38+
4位:西田 秀聖(16)/23
5位:本間 大晴(19)/20+ ※準決勝2位
6位:ロメイン・デグランジュ(36/フランス)/20+ ※準決勝4位
7位:波田 悠貴(21)/20+ ※準決勝5位
8位:サッシャ・レーマン(20/スイス)/20+ ※準決勝8位
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11位:楢崎 智亜(22)※準決勝進出
13位:緒方 良行(20)※準決勝進出
22位:中野 稔(35)※準決勝進出
23位:樋口 純裕(26)※準決勝進出
25位:中上 太斗(19)※準決勝進出

<リード女子>

1位:ジェシカ・ピルツ(21/オーストリア)/TOP ※準決勝1位
2位:ヤンヤ・ガンブレット(19/スロベニア)/TOP ※準決勝3位
3位:野口 啓代(29)/43+
4位:ミア・クランプル(18/スロベニア)/37+
5位:小武 芽生(21)/36+
6位:ミナ・マルコヴィッチ(30/スロベニア)/35
7位:ティヤサ・カラン(22/スロベニア)/32
8位:田嶋 あいか(20)/30+
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12位:伊藤 ふたば(16)※準決勝進出
15位:尾上 彩(23)※準決勝進出
19位:栗田 湖有(16)※準決勝進出

※左から氏名、年齢、所属国、決勝成績

<スピード男子>

1位:バッサ・マエム(33/フランス)/5秒600
2位:アスパル・ジャエロロ(26/インドネシア)/5秒620
3位:レザー・アリプアシェナ(24/イラン)/7秒600
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22位:緒方 良行(20)/6秒710
23位:楢崎 智亜(22)/6秒980

<スピード女子>

1位:エリーズ・スーザンティ・ラハユ(23/インドネシア)/7秒532
2位:ユリヤ・カプリナ(25/ロシア)/fall
3位:アヌーク・ジョベール(24/フランス)/7秒947
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27位:伊藤 ふたば(16)/10秒340
28位:野口 啓代(29)/10秒690
34位:栗田 湖有(16)/12秒740

※左から氏名、年齢、所属国、成績
※1・2位選手の成績は決勝タイム、3位選手の成績は3位決定戦タイム
※日本人選手の成績は今大会の最高記録

リザルト詳細は国際スポーツクライミング連盟/大会ページから

リードW杯2018年間ランキング

【男子】
1位:ヤコブ・シューベルト(27/オーストリア)/495pts
2位:ステファノ・ジソルフィ(25/イタリア)/466pts
3位:ロメイン・デグランジュ(36/フランス)/356pts
3位:ドメン・スコフィッチ(24/スロベニア)/356pts
5位:ミン・ヒュンビン(29/韓国)/251pts
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7位:本間 大晴(19)/217pts
9位:波田 悠貴(21)/192pts

【女子】
1位:ヤンヤ・ガンブレット(19/スロベニア)/550pts
2位:ジェシカ・ピルツ(21/オーストリア)/505pts
3位:キム・ジャイン(30/韓国)/354pts
4位:マノン・イリ(24/フランス)/238pts
5位:小武 芽生(21)/228pts
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8位:野口 啓代(29)/214pts

リードW杯2018国別ランキング

1位:オーストリア/1528pts
2位:日本/1468pts
3位:スロベニア/1428pts
4位:フランス/959pts
5位:イタリア/822pts
※国別ポイント=W杯全戦の国別男女各上位3選手の合計ポイント

CREDITS

篠幸彦 / 写真 窪田美和子/アフロ

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