強さと速さを競う、新しいショーコンペ「MOUNTAIN HARDWEAR CUP 2018」が開催
13日、マウンテニアリングブランド 「マウンテンハードウェア」主催のもと、強さと速さを競う新たなコンペティション「MOUNTAIN HARDWEAR CUP 2018」がグラビティリサーチ ミント神戸にて行われた。
舞台となったのは兵庫県神戸市の複合商業施設「ミント神戸」屋上。地上80mの高さという抜群のロケーションで開かれた大会は、予め終了点にロープが支点確保されているトップロープ形式で実施され、ビギナー、ミドル、マスターの3クラスから構成。到達点とそのスピードを競う日本ではあまり目にしなかったフォーマットで、決勝トーナメントは同一ルートを隣り合わせで登るデュアル方式が採用された。
最上位のマスタークラスには、ゲスト選手として日本代表の杉本怜や、大場美和、マウンテンハードウェアのサポートクライマーである野村英司が招かれたほか、ユース日本代表の抜井亮瑛、谷井菜月らも参加。トップクライマーによるハイレベルな争いも見どころとなった。
スピード感あふれる戦いを勝ち抜き、マスタークラスの決勝戦に駒を進めたのは男子が杉本と抜井、女子は15歳・谷井と12歳・菊川花恋の2人。先に行なわれた女子決勝では、中盤からリードした谷井が逃げ切って優勝。はじめての大会形式に「緊張したけど楽しかった」といい、隣の選手も「少し気になった」とはにかんだ谷井が、今年の世界ユース選手権でリード、ボルダリングの2冠(ユースB)に輝いた実力をみせ、新世代同士の対決を制した。
男子決勝は、最後まで勢いを維持した杉本に軍配が上がった。杉本は「ガバが付いていて登りやすくしてくれてるのかなと思いましたが、意外と難しくて、予選では落ちそうになり焦りました。決勝はライトアップもされた幻想的な雰囲気で楽しかったです」と大会を振り返り、用意された賞金の15万円を手にした。
#MOUNTAINHARDWEARCUP
マスター男子、決勝はW杯年間3位 杉本怜vs世界ユース銅メダリスト 抜井亮瑛 pic.twitter.com/XDqQqg0AnG— CLIMBERS(クライマーズ) (@climbersjp) 2018年10月13日
今大会は、ロープを用いたルートクライミングの大会でありながらも参加クラスの目安にボルダリングのグレード表記が使用され、ルートにも保持しやすいガバを多く取り入れるなど、普段ボルダリングをメインに登っている方でも参加しやすい試みが施された。今日が2度目のルートクライミングだという参加者は「ボルダリングよりも長いので、簡単なルートでも疲れるけど、その分登れた時の達成感が大きい」とその魅力を実感した様子で、「ルートクライミングに慣れていなくても十分楽しめる内容だった。公式戦とはまた違う、エンターテイメント要素の高い大会として楽しめました」といった声も聞かれた。
大会をプロデュースしたトップクライマーの一宮大介も、ルートセットをはじめ、競技前のデモンストレーションや今年訪れた南アフリカのロックランズを写真で振り返るトークショーを行うなど随所に活躍。もともとマスター決勝はロープをクリップしていくリード形式で実施される予定だったが、「より登ることに専念できる」との一宮の提案で、予選に続きトップロープ形式で行われたマスター決勝が大いに盛り上がったことも印象的だった。
会場ではクラフトビールなどのフリードリンクが振舞われ、鳴り響くDJの音楽、ライトアップされたデュアルルートの決勝など、エンターテイメント要素の高い新たな形式のコンペとして産声を上げた「MOUNTAIN HARDWEAR CUP」。来年以降の可能性を大いに感じさせ、美しい神戸の夜景とともにその幕を閉じた。
【一宮大介コメント】
「こういった形式のコンペは初めてで、一定の難しさを保ちながら速さも競えるように登りやすいルートをセットすることに不安もあったんですけど、選手が上手く登ってくれたこともあり、ここまで盛り上がれる大会になって良かったです。ぜひまた開催して、次回もみなさんとお会いしたいなと思います」
【杉本怜コメント】
「スピード種目と違って、難しめのルートを同時に登るのは初めての経験で緊張しました。ビルの屋上というロケーションもすごく気持ちよいですよね。W杯などとは違う面白さがあって、1つのショーとして発展していけるんじゃないかと感じました」
【大場美和コメント】
「隣に登っている選手からの気配を感じて、『負けるかも』ってドキドキしながら登りました。観ていても興奮するし、普段のクライミングにはないワクワク感も感じられて、すごく楽しかったです」
MOUNTAIN HARDWEAR 公式WEBサイト
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取材・文・写真 編集部