土肥圭太が金、田中修太が銀!/ユースオリンピック2018
10日、アルゼンチン・ブエノスアイレスで開催中の第3回ユースオリンピック競技大会でスポーツクライミング・コンバインド男子決勝が行なわれ、日本の17歳・土肥圭太が優勝、18歳・田中修太が2位に入った。女子でも中村真緒が6位入賞となった。
大会は昨年の各大陸ユース選手権の結果などを基に、ユース世代の年長であるジュニアカテゴリー(1999年、2000年生まれ)の選手たちによって行なわれた。このシニア世代と遜色のない、選りすぐりの若手選手が集まるユースオリンピックで、日本の同級生コンビが見事なワンツーフィニッシュを果たした。
8日の予選では、土肥が得意なボルダリングで全4課題をただ一人一撃し、全体を首位通過。田中も得意種目リードで最も早い完登時間を記録して1位、全体を3位で突破する。決勝でも予選首位の土肥が躍動。第1種目スピードのトーナメント1回戦を7秒81で勝利すると、セミファイナルでも自己ベストを更新する7秒23をマークして白星。このまま勢いは衰えず、最終ラウンドでは7秒00までタイムを伸ばしたが、フランスのサム・アベズーにわずか0.04秒及ばず2位となった。
続く第2種目のボルダリングでは、予選と同様に唯一の全完登を決めた土肥が1位、ミスによりスピードを6位で終えていた田中も3位で息を吹き返す。最終種目のリードでは、既に優勝の芽が潰えた2番手のパン・ユーフェイ(中国)が最後まで登り切って後続にプレッシャーをかけるも、直後に登った田中がパンの記録を約1分も上回るペースで完登し全体2位に浮上。その後、それまで暫定3位だったフィリップ・シェンク(イタリア)、暫定2位だったアベズーが記録を伸ばせなかったために、この時点で土肥の金、田中の銀メダルが確定。最終競技者の土肥は完登こそならなかったもののTOPに迫る高度を記録してこの種目3位となった。
各種目を3位以内でまとめた土肥は、シニアの日本代表にもオリンピック強化選手として選ばれている総合力の高さをみせて笑顔の金メダル。田中は6位と出遅れたスピードから見事な巻き返しで銀メダルを射止めた。9月の世界選手権コンバインド決勝で、日本勢はスピードでのミスをその後の2種目に引きづってしまっていただけに、田中の登りは日本に漂う嫌な流れを払しょくするとともに、スピードで出遅れたとしても立て直しが可能だという好例となった。
一方、女子では予選のボルダリングを全完登で1位になるなどした中村が全体4位で決勝に進出。ファイナルではボルダリングで2位に入ったが、スピード、リードで順位を伸ばせずに6位に終わった。2ポイント差の中に4名がひしめく大混戦となった優勝争いを制したのは、2017年世界ユース・コンバインド優勝者のサンドラ・レトナー(オーストリア)。18ポイントで2位の選手と並んだが、スピードとリードの2種目で順位を上回っていたためにユースオリンピックの初代コンバインド女王となった。
2020年の東京オリンピックで追加競技に採用されたことから、ユースのオリンピックでも初採用されたスポーツクライミング。出場した男女3名がいずれも決勝に進出し、2つのメダルを獲得した日本が、改めてユースの選手層の厚さを見せつけている。
<男子決勝>
1位:土肥 圭太(17)
6ポイント(S 2位/B 1位/L 3位)
2位:田中 修太(18)
18ポイント(S 6位/B 3位/L 1位)
3位:サム・アベズー(17/フランス)
30ポイント(S 1位/B 5位/L 6位)
4位:フィリップ・シェンク(18/イタリア)
32ポイント(S 4位/B 2位/L 4位)
5位:パン・ユーフェイ(18/中国)
36ポイント(S 3位/B 6位/L 2位)
6位:ピーター・イワノフ(17/ブルガリア)
100ポイント(S 5位/B 4位/L 5位)
<女子決勝>
1位:サンドラ・レトナー(17/オーストリア)
18ポイント(S 3位/B 3位/L 2位)
2位:ヴィータ・ルーカン(18/スロベニア)
18ポイント(S 6位/B 1位/L 3位)
3位:ローラ・ラマー(17/オーストリア)
20ポイント(S 1位/B 4位/L 5位)
4位:ハンナ・ミュール(17/ドイツ)
20ポイント(S 4位/B 5位/L 1位)
5位:エレーナ・クラソフスカヤ(18/ロシア)
48ポイント(S 2位/B 6位/L 4位)
6位:中村 真緒(18)
60ポイント(S 5位/B 2位/L 6位)
※上段左から順位、氏名、年齢、国籍
※下段左から各種目順位を掛け合わせた複合ポイント、各種目順位(S=スピード、B=ボルダリング、L=リード)
リザルト詳細は国際スポーツクライミング連盟/大会ページから
CREDITS
文 編集部 / 写真 Eddie Fowke/IFSC