日本女子2トップ、メダル獲得はならず。野口4位、野中5位/世界選手権2018【女子コンバインド】

 9月16日、オーストリア・インスブルックで開催中の世界選手権2018は最終日を迎え、女子コンバインド決勝が行われた。初代複合の世界女王に輝いたのは、単種目のボルダリングで優勝していたスロベニアのヤンヤ・ガンブレット。2位には韓国のサ・ソル、3位にオーストリアのジェシカ・ピルツが入り、日本の野口啓代は4位、野中生萌は5位に終わった。

 コンバインドにエントリーをした選手の中から、リード、ボルダリング、スピードの単種目の成績上位6名により行われた決勝。ファイナリストには、ガンブレットや今大会リード女王のピルツ、そして日本の野口と野中ら各種目で一定の結果を残したトップクライマーが顔をそろえた。はじめに行われたスピードでは、スピード単種目で記録した9秒06が出場選手の中で最速の野中が有利にみられた。その野中はピルツとの初戦に勝利するも、敗者の中で最もタイムが良かったピルツとの再戦となった次ラウンドでは、スタートから2手目を取りに行く際のフットホールドで滑ってしまったことが響き敗れてしまう。その後3位決定戦に回るも今度はフライングとなり、野中は4位に終わる。一方の野口も初戦をフライングして最下位の6位。1位を獲得したのは、ミスなく安定していたサ・ソルだった。

 

スピードで1位となったサ・ソル。

 続いて行われたボルダリング。スピードでつまづいた野口、野中の盛り返しに期待がかかったが、一筋縄ではいかない課題が続き、ともに2完登2ゾーンで野口がこの種目3位、野中が4位に終わる。1位となったのが単種目でも優勝しているガンブレットで、タイプの異なる4課題すべてを2アテンプト以内に収め、唯一の全完登を果たした。また、最後の課題を登らなければ5位に終わるサ・ソルがラストトライで完登する粘り強さを見せ、一気に2位へとジャンプアップ。これが決め手となって、優勝争いのゆくえは総合順位で暫定首位のサ・ソル(2ポイント)、ガンブレット(5ポイント)の2人に絞られた。これはサ・ソルが最後のリードで6位となった場合12ポイントになるが、暫定3位のピルツが1位となり12ポイントを維持して同ポイントで並んだとしても、スピードとボルダリングでピルツの順位を上回るサ・ソルが上位となるためだ。

 

肩の負傷もあったが、第3課題を完登し笑顔を見せる野中。

第4課題に食らいつく野口。しかしこの課題を攻略できず、2完登で3位に終わる。

サ・ソルが最終課題をラストトライで完登し、日本勢金メダルの可能性が潰える。

 暫定6位の野口(18ポイント)と暫定5位の野中(16ポイント)にとって、銀メダルの可能性が残る中で迎えた最終種目のリード。大会最終日、そしてコンバインド最後の種目とあって、蓄積された疲労が2人の体力を奪っていく。ともに中盤の31+(野口)、26+(野中)で力尽き、あとの選手の結果を待つこととなった。3番手のペトラ・クリングラー(スイス)は野中と同じ26+に終わるも、4番手のピルツが単種目でリードを制した実力を見せてTOPまでたどりつく。すると5番手のガンブレットも2年連続でリードW杯年間女王の実力を発揮して連続完登を決める。最後に登る暫定首位のサ・ソルだったが、最もリードを苦手としており、高度を伸ばせずに23+でフォール。この瞬間、ボルダリングで1位、リードでも完登に要した時間で1位を獲得したガンブレットが、総合5ポイントでサ・ソルの12ポイントを上回り初代複合の世界女王に輝くこととなった。

総合3位のピルツはボルダリングでは6位。彼女がさらに力をつけてくると、日本勢にとっては相当な脅威となる。

各種目安定した成績でコンバインド決勝に勝ち残り2位に入ったサ・ソル。

ボルダリング1位、リード1位のガンブレット。2020年東京オリンピックの金メダル最有力と言っても過言ではないだろう。

 

野口啓代コメント
「優勝を狙っていたので、とても悔しいです。スピードは初めて使うパット(フライング計測用のフットパット)で、予選からフォルススタートする選手が多くて、気を付けていたつもりでしたが、スピードの結果でヤンヤにプレッシャーを掛けたい気持ちがあったので、攻め過ぎてしまいました。コンバインドもメダル圏内にはいると感じることができましたが、金を目指すには、一回りも二回りも強くなる必要がありますね」

 

野中生萌コメント
「リード、ボルダーはすでに強い選手が確立していますが、スピードはまだフラットな状態。だからこそ、この種目で勝てるようにトレーニングをしていきたいです。結果的に今回はフォルススタートになってしまいましたが、安易に守りに入らず攻める姿勢は大切にしていきたい。表彰台は狙えないポジションでしたが、最後まで楽しんで競技することができたと思います」

 

<決勝リザルト>

1位:ヤンヤ・ガンブレット(19/スロベニア)
   5ポイント(S 5位/B 1位/L 1位)
2位:サ・ソル(24/韓国)
   12ポイント(S 1位/B 2位/L 6位)
3位:ジェシカ・ピルツ(21/オーストリア)
   24ポイント(S 2位/B 6位/L 2位)
4位:野口 啓代(29)
   54ポイント(S 6位/B 3位/L 3位)
5位:野中 生萌(21)
   64ポイント(S 4位/B 4位/L 4位)
6位:ペトラ・クリングラー(26/スイス)
   75ポイント(S 3位/B 5位/L 5位)

※上段左から順位、氏名、年齢、国籍
※下段左から各種目順位を掛け合わせた複合ポイント、各種目順位(S=スピード、B=ボルダリング、L=リード)

リザルト詳細は国際スポーツクライミング連盟/大会ページから
日本代表出場選手、大会スケジュールなどはコチラから

CREDITS

取材・文 編集部 / 写真 窪田亮

back to top