女子の日本記録を更新した野中生萌

男女で日本記録を更新/IFSCクライミング世界選手権2018【スピード】

 13日、オーストリアのインスブルックで開催中の世界選手権2018でスピードの男女決勝が行われ、男子は世界記録保持者であるイランのレザー・アリプアシェナが大会初制覇を果たし、女子でも同国対決を制したポーランドのアレクサンドラ・ルジンスカが初優勝を決めた。日本勢は決勝トーナメント進出はならなかったものの、楢崎智亜、野中生萌がともに日本記録を更新した。

 先に行われた女子決勝。予選通過16名によるトーナメントを勝ち抜いてファイナリストとなったのは、予選を首位で突破していたルジンスカと同6位通過のアンナ・ブロジェクの2人で、ポーランド人同士の対決となった。勝てばいずれも初の世界女王となる戦いは、序盤からリードしたルジンスカがそのまま最後まで優勢を保ち、7秒56の好タイムでフィニッシュ。今年7月におよそ2年ぶりに出場したスピードW杯(シャモニー大会)で優勝していた24歳が、世界大会で歓喜の初優勝を決めた。

 続けて行われた男子の決勝には、こちらも予選をトップ通過したアリプアシェナと、同2位通過でベテラン33歳のバッサ・マウェム(フランス)が進出した。トーナメントを進むにつれてタイムを縮めていった2人の戦いは、世界一を決めるにふさわしい出だしを見せ、互角のスピードでゴールまで迫っていく。ほぼ同時のタイミングでフィニッシュしたかに見えたが、マウェムの手が届かずにゴールタッチできず。アリプアシェナは自身の持つ世界記録5秒48の更新はならなかったものの、5秒63の好記録で優勝を決めて会場に向け雄叫びを上げた。まさかのミスに頭を抱えるマウェムだったが、最後はお互いの健闘をたたえ合った。

 一方の日本勢は、男女で日本記録を更新した。男子は先月のアジア競技大会で6秒83の日本新を計測した楢崎智亜が6秒69をたたき出し、さらに記録を更新。決勝トーナメント進出ラインとなった6秒38には約0.3秒足りなかったものの、日本男子最高となる21位で競技を終えた。女子でも自身の持つ日本記録9秒28を約0.2秒上回る9秒06でフィニッシュした野中の28位が日本勢最高。この2人のほかに、野口啓代や藤井快らが自己ベストを更新した。世界のトップにはまだ及ばないが、男女ともに予選を突破できる目安のタイムまで1秒を切っており、その差は着実に縮まってきている。

自己ベストを更新しガッツポーズする野口啓代。

自身の持つ日本記録をさらに更新した楢崎智亜。

女子決勝はアレクサンドラ・ルジンスカvsアンナ・ブロジェクのポーランド人対決となった。

優勝し歓喜するルジンスカ。

男子決勝は世界記録保持者のレザー・アリプアシェナvsベテランのバッサ・マウェム

互角の戦いを演じるも、マウェムがゴールタッチできず。

アリプアシェナが初の世界王者に輝いた。

 

<女子決勝>

1位:アレクサンドラ・ルジンスカ(24/ポーランド)/7秒56
2位:アンナ・ブロジェク(23/ポーランド)/7秒65
3位:マリア・クラサヴィナ(28/ロシア)/不戦勝
―――――
28位:野中 生萌(21)/9秒06 ※日本記録
47位:野口 啓代(29)/10秒54 ※自己新
60位:小武 芽生(21)/12秒04

 

<男子決勝>

1位:レザー・アリプアシェナ(24/イラン)/5秒63
2位:バッサ・マウェム(33/フランス)/fall
3位:スタニスラフ・ココリン(28/ロシア)/6秒02
―――――
21位:楢崎 智亜(22)/6秒69 ※日本記録
36位:藤井 快(25)/7秒28 ※自己新
42位:楢崎 明智(19)/7秒62
46位:原田 海(19)/7秒81
47位:杉本 怜(26)/7秒84 ※自己新
61位:渡部 桂太(25)/8秒46
89位:高田 知尭(23)/9秒711 ※自己新
110位:緒方 良行(20)/False Start

※左から氏名、年齢、所属国、成績
※1・2位選手の成績は決勝タイム、3位選手の成績は3位決定戦タイム
※日本人選手の成績は今大会の最高記録

リザルト詳細は国際スポーツクライミング連盟/大会ページから
日本代表出場選手、大会スケジュールなどはコチラから

CREDITS

編集部 / 写真 窪田亮

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